ミトに案内され、カイが来たのは61層の《セルムブルグ》だった。
《セルムブルグ》は所謂城塞都市で、周りの殆どを湖で占められ、市場もあり、その立地の良さと美しさからホームタウンにしようとするプレイヤーも多い。
だが、家を買うために必要なコルがかなり高額で、その額は《アルゲード》の3倍程掛かる。
「結構、良い所に家買ったんだな」
「私は住めればどこでもよかったんだけど、アスナが折角だから同じ層に住もうって言うから。まぁ、それなりに蓄えもあったから適当な物件をポンっとね。100万ぐらいだったかな?」
「100万の物件をポンッと買える貯えがあるってスゲーな」
「アスナなんかもっと凄いよ。内装も込みで400万も掛かってるんだから」
「それは凄い」
《セルムブルグ》の街を歩き、ミトの家に着く。
「はい、どうぞ」
「邪魔するよ」
ミトの家は所謂1LDK で、1人暮らし向けの内装だった。
年頃の女子の部屋が珍しいらしく、カイは部屋内を見渡す。
「私着替えてくるから、カイはその辺で寛いでて」
「ああ」
ミトに言われ、ミトが寝室と思しき部屋に向かうのを確認してカイはコートと装備を外す。
「何と言うか、落ち着かないな………」
手持無沙汰になり、カイは部屋の中をうろうろして、ミトが戻ってくるのを待つ。
部屋着に着替えたミトを迎え、カイは《ラグー・ラビットの肉》を取り出し、キッチンへと運ぶ。
「まさか
「それで、何にするんだ?」
「そうね……シチューとかどうかしら?」
「
「そういう事」
そう言ってミトは、手早く料理を始めた。
料理と言っても、様々な調理アイテムを使い、作りたい料理に必要なの食材アイテムを選択し決められた手順を行うだけの簡略化された料理だ。
だが、
そして、5分後には《ラグー・ラビットの肉》を使ったシチューにサラダ、スープ、バゲットが用意されていた。
「できたわよ」
「おお、結構豪華な料理だな」
「カイが持ってきた《ラグー・ラビットの肉》以外はあり合わせよ。それじゃ」
「ああ」
「「いただきます!」」
二人で手を合わせて、料理を口に運ぶ。
口に入れた瞬間、香ばしいにおいが口の中から鼻を刺激し、空腹が加速し、一噛みすると肉汁が溢れ、更に空腹を加速させる。
初めて味わうS級食材の味に、二人は感激しながら一気に平らげ、食後のお茶を飲んで一息入れていた。
「はぁ、S級食材、凄く美味しかったわね。こんな良い物、ありがとうね」
「いいよ、気にしないでくれ」
お茶を飲みつつ雑談をしてると、不意にミトがあることを言い出した。
「ねぇ、カイとキリトはギルドに入ろうと思わないの?」
「……唐突だな。そうだな……キリトが入るって言うなら俺も入るとは思うけど、多分それはないかな」
「どうして?」
「ソロならまだしも、俺はキリトとコンビでやってるし今の所コンビであることに不便を感じてない。アイテムやコルの分配で揉めることもないしな。それに、正直、俺はキリトぐらいの腕の奴としか組めないと思う。アイツの考えや動きに慣れてるから、キリトより腕が劣る奴と組めば、ミスが起きる可能性もある」
「なら、私やアスナはどうかしら?」
その瞬間、カイの耳元スレスレでナイフが飛び、背後のコルクボードにナイフが音を立てて刺さる。
ナイフを投げたのはミトだった。
ミトは勝ち誇った笑みを浮かべていた。
「そうだな。少なくともミトやアスナぐらいの実力のある奴となら考えてもいいかもな」
「じゃあ、明日パーティー組みましょう」
「え?」
「カイがどのぐらい強くなったか気になるし、久しぶりにカイと連携組みたいし。後、今週のラッキーカラーが赤色なのよ」
「人をラッキーカラーのアイテム扱いかよ。でも、ギルドの仕事はいいのか?それに護衛の子はどうするんだ?」
「大丈夫よ。うちはレベル上げノルマとかないし、抑々明日は私オフなのよ。コユキも付いて来ないわ」
「………そういう事なら俺は構わないぞ。あとは、キリトがいいって言うなら」
その瞬間、カイの視界にキリトからフレンドメッセージが届く。
明日の攻略にアスナが付いて来てもいいかと言う内容だった。
「どうやら、向こうも同じ状況みたいだな」
カイは苦笑し、キリトにOKのメッセージを送った。
「それじゃあ、明日は久しぶりに四人でパーティー組むか」
「ええ」
そして、ミトからパーティーの申請が届き、カイはYESをタップした。