ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第43話 純粋な愛情

「ミト、どうしてここに………」

 

「アスナが教えてくれたの。キリトが訓練に行って、一緒に行った人たちの反応が消えたから何かが起きたって。それで、カイの事を追ったら、55層じゃなくて45層に居たからそれで」

 

そう言い、ミトはカイを優しく下ろした。

 

そして、倒れているコユキの方を見て、目つきを鋭くさせる。

 

「コユキ、これは一体何の真似かしら?」

 

コユキはゆっくりと立ち上がって言う。

 

「ミト様………私は、ミト様のためにやってんですよ。ミト様に這い寄る薄汚い寄生虫の駆除を。だって、ミト様はそんな奴より、私と居るべきなんです。私とずっと一緒に………!愛してるんです、ミト様………!」

 

「そう………貴女が私にそう言う感情を向けているのは分かってた。でも、私は貴女の想いに応えれないわ。それにね…………」

 

ミトは鎌を構え、言う。

 

「カイを殺そうとした貴女を、赦せるほど私は優しくないの」

 

そう言い、走り出しコユキに攻撃を仕掛ける。

 

ミトの攻撃は、コユキに当たりコユキのHPは一気に半分にまで落ち、その場に尻餅をついた。

 

「え?ミト様?」

 

コユキは何故自分が攻撃されるのか分からないらしく、ミトを見る。

 

「はは、ヤダなぁミト様。こんな危ない冗談は止めてくださいよ。そうだ、ミト様。覚えてますか?このダンジョン、私とミト様が初めて出会って場所なんですよ。あの時、ミト様が私を助けてくれた。あの時から、私とミト様は一緒になる運命だったんですよ?ミト様にもわかりますよね?」

 

「…………コユキ、悪いけどあれは運命じゃない。ただの偶然よ。偶然、未処理のトラップがないか私に団長が巡回の指示を出して、そこにトラップの囮にされた貴女が居た。ただそれだけのこと。それに………貴女の気持ちなんて分かりたくないわ。自分の事しか考えない気持ちなんてね」

 

ミトからの拒絶。

 

それがショックだったのか、コユキは固まった。

 

「でも、まだ貴女には償いのチャンスがあるわ。大人しく《黒鉄宮》の牢獄に行って反省を」

 

「………嘘だ

 

「……コユキ?」

 

噓だ嘘だ噓だ噓だ噓だ噓だ噓だ噓だ嘘だ噓だ噓だ噓だ噓だ噓だ…………嘘だ!

 

コユキは勢いよく立ち上がり、ミトに攻撃をした。

 

「ぐっ!?」

 

「ミト様は…………そんなこと言わない!ミト様は優しいんだ!私を嫌いになるはずなんて無いんだ!あり得ないんだ!ミト様は………私を受け入れてくれるんだ!私を、愛してくれるんだ!」

 

子供の様に癇癪を起し、剣を振り回すコユキ。

 

「コユキ、落ち着きなさい!これ以上は!」

 

「私を愛してくれないミト様なんて、ミト様じゃない!偽物だ!本物を返せよ!偽物野郎!」

 

コユキの攻撃が、ミトの鎌を弾き飛ばす。

 

「死ね、偽物!」

 

コユキの剣が、ミトの心臓に向けられる。

 

その瞬間、カイは動き、コユキの剣を防いだ。

 

そして、そのままコユキの剣を弾き、コユキを斬り飛ばした。

 

《業火刀スキル》、カウンター技《残月》。

 

その一撃で、コユキのHPはレッドになり、残り数ドットで止まった。

 

《残月》はカウンター技であると同時に、急所に当たったりクリティカルが発生しても相手のHPを必ず残す技でもある。

 

それにより、コユキのHPは無くならなかった。

 

動けなくなったコユキをロープで拘束する。

 

「ミト、大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫。それにしても………」

 

ミトは縛られ気を失ってるコユキを見る。

 

「私の所為だ」

 

「ミト、それは違う」

 

「ううん、私の所為だよ。私はコユキの気持ちに気づいてた。でも、私はそれを無視した。歪んだ愛情であっても慕われるのが嬉しかったから、拒絶して、関係が壊れるのが怖かった。コユキの事、自分の事しか考えてないって言ったけど、私も自分の事しか考えて無かった。その所為で、カイが危険な目にあった………!」

 

ミトは涙を流して言う。

 

「私、カイの傍に居られない……居る資格なんてないよ………!」

 

「ミト……」

 

泣くミトを、カイは抱きしめた。

 

「カルマ回復クエスト受けた時の事、憶えてるか?あの時、ミトが俺に言った言葉。ミトは忘れてくれって言ったけど、俺はずっと覚えてるんだ」

 

『ずっと傍に居てよ』

 

「俺はミトとならずっと一緒に居たい。ミトだから、傍に居て欲しい」

 

ミトの顔を見ながらカイは言う。

 

「ミト、好きだ」

 

「あっ……!」

 

カイの告白に、ミトは驚いた。

 

そして、先ほどまで泣いていたのに、今度は顔を赤くした。

 

カイはミトの返事を待たず、そのまま顔を近づけ、ミトにキスをした。

 

兎に角ミトの事が愛おしく、ミトを自分の物だと主張したかった。

 

行き成りのキスにミトは驚くも、すぐさまそのキスを受け入れた。

 

今のミトの視界には、カイからのハラスメント行為により、《ハラスメント防止コード》発動を促すシステムメッセージが表示されている。

 

だが、そんな物お構いなしにミトはカイとのキスを味わう。

 

時間にして僅か数秒程のキス。

 

しかし、カイとミトには何分にも何時間にも感じるほどのキスだった。

 

2人の唇が離れる。

 

恥ずかしさが一気に込み上げ、ミトはカイの胸に顔を埋める。

 

カイはミトの頭を抱えるように抱きしめ、耳元で囁く様に言う。

 

「なぁ、ミト。今夜、一緒に居てもいいか?」

 

カイの言葉に、ミトは無言で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、応援に駆け付けた《血盟騎士団》によってコユキは、《黒鉄宮》の牢獄へと送られ、カイとミトは事の顛末をヒースクリフへと報告した。

 

その際、キリトとアスナも同席し、キリトの口からクラディールが《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の一員だったことが語られ、その事から討伐作戦の時、情報が漏れていたのはクラディールの仕業だったのではと推測された。

 

最も、クラディールが死んだ今、真相は分からずじまいだ。

 

そして、4人はギルドへの不信を理由にカイとキリトは退団、ミトとアスナは一時退団を申請した。

 

ヒースクリフは暫し黙考をし、そして退団を了承した。

 

だが、その時ヒースクリフは「君たちはすぐに戦場に戻ってくるだろう」と言って、謎の微笑を浮かべていた。

 

その後、キリトはアスナと共に手を繋いでアスナの家へと向かい、カイもミトと手を繋いでミトの家へと向かった。

 

家へ着くなりミトはすぐさま私服に着替え、料理を始めた。

 

そんな様子に、カイは「少しぐらい休んでもいいのに」と思いながらも、料理をしているミトの姿を見つめた。

 

料理が出来て食事をすると、ミトは「やっぱり《ラグー・ラビットの肉》には敵わないわね」と苦笑していたが、カイは十分だと言って料理を堪能した。

 

食後にお茶を飲み、適当な雑談をしていると時刻は21時になっていた。

 

時間に気づくと、ミトは急に黙り出し、カイはどうしたのかと見つめる。

 

「よし」

 

すると、ミトは意を決したのか立ち上がり、部屋の電気を消した。

 

「み、ミト?」

 

ミトの急な行動に、カイは驚く。

 

すると、今度は急に服を解除して、ミトは下着姿となった。

 

「なっ!?」

 

これまた急な行動に、カイは驚き椅子から転げ落ちそうになった。

 

「あの、さ……あんまりじろじろ見られると恥ずかしいんだけど……」

 

「わ、悪い!」

 

慌ててそっぽを向くカイ。

 

「カイも……準備してよ……私だけなんか馬鹿みたいじゃん……」

 

ミトのその言葉と、自分がミトを抱きしめた時、何と言ったかカイは思い出し、ようやくミトの行動がなんなのか理解した。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

「え?」

 

「いや、その……そんなつもり、一切なかったんだ………」

 

「………は?」

 

顔を赤くしていたミトは一瞬で、真顔となった。

 

「本当にただ一緒に居たいなって思っただけで、そういうことするつもりは…………」

 

「…………そう言う事は」

 

「……はい?」

 

「思っても口に出すな!」

 

羞恥とは違う、怒りで顔を赤くしたミトからの全力の正拳突きがカイに直撃する。

 

犯罪防止コードによって、拳はカイには届かなかったがカイは思いっきりビビっていた。

 

「わ、悪い!てか、そう言う事ってできるのか?」

 

「……本当に知らないのね」

 

ミトは呆れた様に、自分の身体を手で隠しながら言う。

 

「オプションメニューの一番深い所に、《倫理コード解除設定》ってのがあって、それを解除すると出来るの」

 

「そ、そうだったのか………」

 

SAOの知らないシステムに、カイは少しだけ感心し頭を掻く。

 

「…………なぁ、ミト。俺なんかで、いいのか?」

 

「………うん」

 

カイの問いに、ミトは静かに答えた。

 

「………分かった」

 

カイはそう言うと、オプションメニューから《倫理コード》を解除した。

 

その行動に、ミトは再び顔を赤くし、ドキッとした。

 

「ミト」

 

優しくミトの名を呼び、近付き、カイはもう一度キスをした。

 

今度は《倫理コード》を解除していた為、ミトの視界に煩わしい《ハラスメント防止コード》発動を促すシステムメッセージは現れなかった。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

キスを終えると、ミトは慌てた様子でカイから離れる。

 

「そのさ……勢いで脱いじゃったけど、ここじゃなくて寝室でお願い……」

 

「………ああ、分かった」

 

カイはミトをお姫様抱っこで抱え、寝室へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く経って、一線を越えたカイとミトは同じベッドで横になっていた。

 

ミトはカイの隣で静かに寝息を立てており、カイはそんなミトを見ていた。

 

ミトの髪が、ミトの口に入りそうだったのでカイはミトの髪を払い除ける。

 

すると、ミトは目を開けた。

 

「悪い、起こしちゃったか?」

 

「んん、平気」

 

そう言い、ミトは体を起こす。

 

カイも体を起こしミトを見る。

 

「なぁ、ミト。なんか色々飛ばし気味になっちゃったけど、俺、まだミトからの返事、聞いてないんだけど」

 

「……あ」

 

カイはミトに好きだと言ったが、ミトはそれに対しての返事をしてなかった。

 

「ここまでしといて、今更聞くのは反則じゃない?」

 

「だとしても、ミトの口から直接聞きたい。ダメか?」

 

「馬鹿………好きだよ、私もカイの事、大好き」

 

「ありがとう、ミト」

 

ミトにお礼を言い、カイはミトを抱き寄せる。

 

「なぁ、ミト。少しだけでいいから、前線から離れないか?」

 

「え?」

 

「結構前に、キリトと22層の探索した時、東西エリアで森と湖に囲まれた良い場所を見つけたんだ。モンスターも出なくて、割と拠点にしてる中層プレイヤーも多いんだ。そこに、いくつかログキャビンが売りに出されてたからさ、そこで一緒に住もう。それと………」

 

「………それと?」

 

カイが次に何を言うのか、ミトには察しが付いていた。

 

にやにやとした顔でそう聞くミトに、カイは笑った。

 

「ミト、お前分かってて聞いてるだろ?反則じゃないか?」

 

「さっきの仕返しよ。それで………続きは?」

 

「………ミト、結婚しよう」

 

「うん、喜んで」

 

カイからのプロポーズに、ミトはとびっきりの笑顔でそう答えた。

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