ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第50話 落下

トバルが狙っている金属素材(インゴット)は、55層の片隅にある小さな村で発見されたものだった。

 

NPCの長老曰く、西の山に住む白竜は、そこにある水晶を餌としており、腹の中には貴重な金属があるとのことだった。

 

明らかに武器素材クエストの為、多くのパーティーによって白竜は討伐されるも、未だに誰1人として金属素材(インゴット)をドロップした者はおらず、未だにその金属素材(インゴット)の姿を見た者はいない。

 

現在では、様々な方法で検証が行われている。

 

「その検証の中に金属素材(インゴット)は鍛冶師しかドロップしないなんてのもあるんだ。噂が正しかったとして1人当たりどれだけドロップするか分からないし、数は多いに越したことはないからな。お前さん、戦闘もそれなりに出来るんだろ?生半可な鍛冶師連れて行って、死なれても困るしな」

 

「その言い方、なんかムカつくわね。まぁ、55層ぐらいなら死ぬことはないはずよ」

 

「なら、さっさと行くぞ。時間が惜しいからな」

 

そう言って、トバルはリズと共に55層へと向かった。

 

例の村に着くと、トバルとリズは早速長老の元へと向かい、長老の話を聞く。

 

長老の幼少期から青年期、熟年期の話を聞き続け、ようやくクエストフラグを設立させ、すぐに山へと向かった。

 

「へっくしゅ!」

 

山に着くなり、リズは盛大にクシャミをした。

 

「おい、これ使え」

 

すると、トバルはアイテムウィンドウからマントを取り出し、リズへと渡す。

 

「あんたはどうすんのよ?」

 

そう言って、リズはトバルの姿を見る。

 

トバルは、袴姿で防寒の類は1つも付けていない

 

「いらねぇよ。この程度の寒さで音を上げられるかっての」

 

そう言い、トバルは雪道をずんずんと進む。

 

「何よ、嫌味?」

 

そんなトバルの後姿を眺めながらも、裏地が毛皮になってる暖かそうなマントをリズは纏った。

 

労せず山を登り、頂上に着くと、そこには大量の水晶が柱の様に伸びていた。

 

その光景に、リズは思わず歓声を上げそうになった。

 

「おい、リズベット。ここから先は、俺1人で行く」

 

「はぁ!?何言ってんのよ!相手はドラゴンよ!死ぬ気なの!?」

 

「死ぬつもりなんざねぇよ。ただ、相手はここに来るまでに出て来たスケルトン系のモンスターとは違う。お前のメイスじゃ、空を飛ぶ奴は倒せねぇだろ?」

 

トバルの言う通り、リズの武器では飛行系モンスターとの相性は悪い。

 

「ドラゴンが現れたら、転移結晶持って、水晶の陰にでも隠れてろ。ドラゴン1匹ぐらい、俺1人でもなんとかなる」

 

そう言い、トバルは山頂を進む。

 

リズは素直に転移結晶を取り出そうとした。

 

その時だった。

 

「リズ、隠れろ!」

 

トバルが叫んだ。

 

叫ぶと同時に、上空から猛禽類を彷彿させるような高い雄たけびが降って来る。

 

長老の話に合った例の白竜が現れた。

 

「えっと、確か……ドラゴンの攻撃は、左右の鉤爪と氷ブレス、それから突風攻撃!気を付けて!」

 

リズは早口にそう言い、水晶の陰に隠れる。

 

トバルは慌てもせず、ゆっくりと腰の刀を抜く。

 

それと同時に、ドラゴンは口を大きく開け、氷の(ブレス)攻撃を仕掛ける。

 

「ブレスよ!避けて!」

 

隠れながら見ていたリズが叫ぶ。

 

だが、トバルの耳にリズの声は届いていなかった。

 

トバルは、ただ真っすぐにドラゴンを見ていた。

 

そして、ドラゴンの口から冷気を纏い、細かい氷塊を含んだ(ブレス)が吐かれる。

 

「うるっせぇな」

 

トバルは不機嫌そうに、刀スキルを発動し、正面からドラゴンの(ブレス)を斬り裂いた。

 

「………は?」

 

その光景に、リズはそうとしか言えなかった。

 

「予想通り、あのブレスはスキルと同じか。それなら、ソードスキルで打ち消せれるとは思ったが、案の定だな」

 

トバルはそう言うと、今度は跳躍し、水晶の上に乗る。

 

「おらぁ!」

 

更に跳躍しドラゴンに一太刀浴びせた。

 

「ふっ!」

 

そして、そのまま背後を取り、その背中に刀を突き刺す。

 

突き刺すと、そのまま柄を握り締め、ドラゴンの背中を滑り降りるように落下する。

 

それにより、ドラゴンの背中には真一文字の傷が付く。

 

ドラゴンは絶叫し、トバルを振り落とさんばかりに暴れまわり、地面へと急降下する。

 

地面にたたきつけられる前に、トバルは素早くドラゴンの背中を降りる。

 

そして、体を擦り付けるよ言うに地面へと落ちたドラゴン目掛け、刀を逆手で持ち、上空からドラゴンの頭目掛け突き刺す。

 

「す、すごい………!」

 

リズは、トバルの言葉からトバルがある程度戦いに慣れているのだと思った。

 

だが、ある程度所ではなかった。

 

トバルは、攻略組にも匹敵するほどの力を持っており、本当に鍛冶師なのか疑いたくなるほどだった。

 

「はっ!」

 

ドラゴンの頭に刺した刀を抜き、そのまま刀スキルの強攻撃を数発、頭へと叩きこみ、ドラゴンのHPはぐんぐんと減り、残り3割以下となった。

 

この調子なら、後1、2撃程の強攻撃で倒せる。

 

トバルは連続で強攻撃発動した事で、硬直に入っていた。

 

だが、これなら問題はない。

 

リズはそう思ったからこそ、水晶の陰から体を出した。

 

「やるじゃない、トバル!正直、アンタの事疑ってたけどこれなら納得の「馬鹿野郎!何出て来てやがる!まだ終わってねぇんだぞ!」

 

リズが出てきたことにトバルは叫んだ。

 

「何よ?もう終わりじゃない。さっさと片を付けて……」

 

その瞬間、地面に倒れていたドラゴンは勢い良く体を起こし、飛び上がった。

 

ドラゴンの頭の上に乗っていたトバルは、その影響で落とされる。

 

そして、ドラゴンは量の翼を大きく広げ、振った。

 

突風攻撃。

 

ドラゴンの起こした突風攻撃には然程ダメージはなく、トバルもリズも無傷だったが、突風は地面の雪を巻き上げ、雪煙を起こした。

 

雪ごと吹き飛ばされたリズは、受け身を取ろうと体勢を整える。

 

そして、雪煙が晴れるとそこは近くにあった巨大な穴の真上だった。

 

「嘘でしょ?」

 

そう言葉が漏れた。

 

浮いてた体は、そのまま重力に従い落下し、リズは穴へと落ちていく。

 

「きゃああああああああああ!!!」

 

「リズ!くそっ、間に合え!」

 

なんとか、水晶の上に着地していたトバルは、穴に落ちそうになるリズを見つけ、水晶の上を跳躍で移動し、穴へと移動する。

 

そして、そのまま穴に飛び込み、下に落ちるリズを捕らえる。

 

「もう少し………!」

 

限界まで腕を伸ばし、リズの腕を掴むとそのまま抱き寄せる。

 

リズの身体を左手で抱きしめ、そのまま右手に持った刀でソードスキルを打つ。

 

刀スキル、突進技《紫電一閃》。

 

それにより、2人の身体はグイッと引っ張られ、穴の壁へと飛ぶ。

 

壁に激突する直前で、トバルは刀を突き出し、壁に刀を突き刺す。

 

そして、そのまま落下するスピードを刀でブレーキを掛けつつ、底へと落ちた。

 

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