短いのをご了承ください
「以上が、あたしがアイツを好きになった経緯よ」
リズは恥ずかしがることなく、世間話の〆をするかのようにそう言った。
「リズさんも、トバルさんとは最初の頃に逢ってたんですね」
「そうね。でも、後から知ったことだし、別にその時一目惚れしたとかでもない。本当に、ほぼ初対面の状態で、丸1日雪山のドラゴンの巣で一夜明かしただけなのよ。それで好きになるとか、アスナやミト、シリカと比べるとチョロ過ぎるから、あまり話したくなかったのよね」
「そんなことないわよ」
リズの言葉をミトが否定した。
「確かに、リズがトバルを好きになるまでは短かったかもしれないけど、それは別にチョロいとかチョロくないとか関係ないわ。リズは、私やアスナ、シリカがそれぞれの好きな人と過ごしてきた時間を、その1日で感じる程その人と素晴らしい時間を過ごしたのよ。だから、私はリズがトバルを好きになったその話、大事にするべきだと思うわ」
「そうだよ、リズ。それに、人を好きになるのに時間とか関係ない。大事なのは、その人をどれだけ大切に思えるか、でしょ?」
「あたしもそう思います!正直、リズさんのお話聞いてるだけで、あたしもドキドキしちゃいましたから」
「ミト、アスナ、シリカ………うん、ありがとう」
その後、レオからシリカにパーティーが終わったので、宿屋に戻ると連絡が来て、時間もちょうどいいので女性陣もパーティーをお開きし、全員が帰宅した。
ミトも自分の家に帰り、カイが帰って来るのを待った。
「ただいま」
すると、カイはものの数分で帰って来て、ミトはカイを出迎えた。
「おかえり。パーティーはどうだった?」
「ああ、クラインが結婚できない自分を嘆いて、挙句、俺とキリトにあーだこーだ言って幸せになれって泣いてたよ」
「クラインらしいわね」
そう言い、2人は今に置いてあるソファーに腰掛ける。
「そっちはどうだった?」
「実は、全員で自分の好きな人を好きになった経緯と馴れ初めについて話したの」
「それは楽しそうだな」
「ええ、皆幸せそうに語ってた。聞けば聞く程、皆の想い人はカッコいいなって思った」
「例えば?」
「そうね……レオはシリカの為に強くなろうとした。きっと並大抵の覚悟じゃなかったと思う。それを声に出して実現させた。凄くカッコいいと思う」
「そうだな。今のレオは、準攻略組クラスには強くなってる。いずれは、攻略組として最前線で戦う日も来ると思う」
「トバルも、彼の生き方はカッコいいと思う。なんていうか職人気質ね。妥協を許さず、もっと高みを目指そうとするあの姿勢、素直に感心する。リズが好きになるのも分かるな」
「トバルには、俺もキリトも随分世話になったからな。“紅雪”を打ち直して“焔群”を打ってくれた時は、素直に嬉しかったよ。アイツの刀は、本当にいい刀だ」
「キリトは、誰よりもこの世界で生きてる人だと思った。このデスゲームで、キリトだけはありのままで居るのかもしれない。私の親友は、本当にいい人と結ばれたと思う。これ以上に嬉しいことはないわ」
「俺の相棒だしな。キリトは本当にいい奴だ。俺も、アイツが幸せになってくれるなら最高だ」
そこまで話すと、ミトはカイの膝の上に乗り、対面になる。
「でもね、一番カッコいいのはカイだよ」
「………どんな所が?」
「優しくて、頼りになって、弱い所もあるけど、そこも魅力的かな。後、私の事をちゃんと愛してくれるし…………沢山あり過ぎて一晩じゃ語りつくせないかも」
そう言って、ミトは笑う。
「そっか。俺も同じだよ、優しくて頼りになる。俺が辛い時は必ず傍に居てくれた。過ちを犯した俺の傍に居て、愛してくれる。ミトのいい所があり過ぎて困るな」
「少ないよりはいいじゃない」
「違いない」
そこで、カイはミトを抱き寄せる。
「もう1つ、ミトのいい所があったな、そう言えば」
「ん?何?」
「俺がミトを愛すれば、それだけミトも愛を返してくれる。昨日の夜みたいにな」
そう言われ、ミトは昨夜の情事を思い出し、一気に顔を赤くした。
「馬鹿!そんな恥ずかしい事言わないでよ、意地悪!」
「嫌だったか?」
「………意地悪な所もちょっとだけ好き」
「うん、ありがとう」
そう言うと、カイはミトを優しく抱きしめ、ミトも抱きしめ返した。