ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第53話 出逢うのは……

22層の森の中にある小さなログハウス。

 

現在その家には、カイとミトが暮らしている。

 

22層は低層の為、面積が広いが、その殆どを森林と湖で埋められており、主街区も小さく、フィールドにはモンスターも出現せず、迷宮区の難易度も然程大したことないため、攻略組がこの層にとどまった期間は3日程度だった。

 

だが、カイはこの層が何処となく好きで、暇さえあれば度々訪れていた。

 

そう言った理由もあり、ミトもこの層で暮らすのに賛成した。

 

更に言うと、キリトとアスナも22層にログハウスを購入したらしく、4人もとい2組の夫婦はご近所さんになった。

 

もっとも、ご近所さんと言っても、歩いて30分ぐらいは掛かる距離の為、言うほどご近所さん感覚はない。

 

そして、カイとミトが結婚して6日が経ったある日の朝。

 

カイは、いつも通り8時に起床した。

 

隣ではまだミトが寝ており、カイはミトを起こさない様にそっとベッドから抜け出そうとする。

 

すると、寝ていたはずのミトが手を伸ばし、カイを再びベッドの中へと引きずり込む。

 

「………ミト」

 

「もうちょっと寝よ……」

 

「もう8時だぞ」

 

「あと5分……」

 

「そう言って、5分で起きた奴を俺は知らない」

 

寝ぼけているミトの頭を撫で、カイは息を吐く。

 

「5分だけだぞ」

 

「うん……」

 

そう言いつつ、結局カイも眠るミトの頭を撫でたり、髪を触ってる内に睡魔に襲われ、2人仲良く二度寝をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ミト。流石にこんな生活駄目だと思うんだ」

 

「そう?私は結構好きだけど」

 

5分どころか3時間も寝た2人は、朝食兼昼食を食べており、食事をしながらカイはそんなことを言い出した。

 

「俺も同じ気持ちだが、ここに来てからの俺たちの生活を振り返ってみろ」

 

「そうね……」

 

カイの言葉に、ミトが記憶を振り返る。

 

朝は2人で8時に起床、のはずがミトの我儘で二度寝し、結局昼頃に起床。

 

朝食兼昼食を食べ終えると、そのまま居間でごろごろもといイチャイチャし、夕方になると夕食の買い出しを2人でし、夕食後は眠くなるまでお喋りをしてイチャイチャして寝る。

 

「見事に、買い出し以外で外に出てないわね……」

 

流石にこの生活はどうなのかとミトも思い、引きつった笑みを浮かべる。

 

「だろ?」

 

「それじゃあ、今日は何処か出掛ける?」

 

「まぁそう言う訳だな」

 

食後のコーヒーを飲みつつカイは言う。

 

「ほら、俺達ってさ。本来付き合うことからするべきだったのに、行き成り結婚しただろ?」

 

「そうね」

 

「だから、恋人らしいことを何一つしてないし、デートでもしないかって思ってさ」

 

「デート……か」

 

デートと言う単語を口に出し、ミトは少し顔を赤くする。

 

「なんか、口に出すと恥ずかしいわね……」

 

「そうだな。………で、どうする?デートするか?」

 

「……ええ、喜んで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食兼昼食を終えると、2人は身支度を整え、家を出た。

 

「それで、何処に行く?」

 

「う~ん………47層、はベタか」

 

「いいじゃない。ベタってのは王道ってことよ」

 

「なら、王道らしく行くか」

 

行き先を47層にし、2人は手を繋いで向かう。

 

「攻略に来た時も思ったけど、本当に綺麗な場所ね」

 

《フローリア》に着くと、ミトは早速花壇の周りを巡る。

 

そんなミトの後をカイが追う。

 

「ミトは花は好きか?」

 

「まぁ人並みにね」

 

「へ~………ちなみに好きな花とかあるのか?」

 

「そうね………サネカズラだったかな」

 

「サネカズラ?」

 

「花を咲かせる樹木なのよ。夏頃に花を咲かせ、秋になると真っ赤な果実が付くの。まぁ、聞きなれない花よね」

 

「そっか……だったってことは今は違うのか?」

 

「うん。今は、アングレカム。熱帯アフリカ、マダカスカル、スリランカが原産地の珍しいランなの」

 

「どうして今はそれが好きなんだ?」

 

「…………あってるからかな」

 

「あってる?」

 

「………やっぱなんでもない!いいでしょ、好きに理由なんて付けるのはナンセンスよ」

 

そう言いミトはカイの手を取る。

 

「ほら、折角のデートなんだから楽しもうよ!」

 

「そうだな」

 

そのまま手を繋ぎ、47層を歩いて他愛のない話をしてる内に時間は過ぎて行った。

 

「もう16時ね」

 

「時間が経つのが速いな」

 

「と言うより二度寝したのがいけなかったわね」

 

「だな」

 

お互いに笑い合い、夕食の買い出しに向かう。

 

「あ、そうだ。ミト、ちょっとケイタに用があるから悪いけど、1人で行ってもらっていいか?」

 

「いいわよ。それじゃあ、後でね」

 

ミトと別れ、カイは《月夜の黒猫団》のギルドホーム兼店へと向かう。

 

「いらっしゃいませってカイじゃないか!」

 

「よぉ、ケイタ」

 

ケイタに挨拶をし、カイは近寄る。

 

「6日ぶりかな?新婚生活はどうだい?」

 

「ああ、充実してるよ。それで、例の物を受け取りに来たんだ」

 

「アレか。てことは、決心が付いたんだな」

 

「そんな所だ」

 

「待っててくれ。今取って来る」

 

そう言いケイタは店の奥へと向かう。

 

数分も掛からず、ケイタは小さな箱を手に戻って来た。

 

「お待たせ。要望通りに仕上がってるはずだけど、一応確認を頼む」

 

箱を受け取り、カイは中身を確認する。

 

「バッチリだ。助かったよ」

 

カイは満足そうに箱を仕舞い、ケイタに代金を支払う。

 

「毎度………カイ、頑張れよ」

 

「ああ、ありがとうな」

 

ケイタにお礼を再度言い、カイは店を出る。

 

「カイ」

 

店を出ると、丁度ミトがやってきた。

 

「ミト、買い物はもういいのか?」

 

「ええ。帰りましょう」

 

再び手を繋ぎ、転移門広場までの道を歩く。

 

カイはミトの歩幅に合わせ歩き、ミトはそんなカイの優しさに笑みを浮かべる。

 

「あのさ、カイ」

 

「ん、どうした?」

 

「またさ。今日みたいにデートしよう。今まで会えなかった分も」

 

「………そうだな。現実で会えなかった分、SAO(ここ)では沢山デートしよう。それと………」

 

そこで言葉を区切り、カイは立ち止まる。

 

「なぁ、ミト」

 

「ん?」

 

「俺は、昔のミトとSAOでのミトしか知らない。今の現実でのミトの事を知らないんだ。前、キリトと少し話したんだ。今でこそ、SAOは俺たちが今を生きてる場所だ。でも、ゲームをクリアしたら、この世界での出来事はなかったことになるんじゃないかって。それを聞いた時は、何を馬鹿なって思ったんだけど、ミトと一緒に居て幸せを感じれば感じる程、キリトの言葉が現実味を帯びてる様な気がするんだ」

 

「……そんなこと、言わないでよ。私は、誰かを遊びで好きになったりしない。それどころか、カイの事ずっと好きだったんだよ。SAOは仮想世界で、本当にここに私たちが居るわけじゃないけど、気持ちや想いは本物。私は、その気持ちや想いまでなくなるとは思わない」

 

ミトが真剣な表情でカイを見つめる。

 

「SAOクリアしても、私はカイと現実(あっち)でも会う、絶対に諦めないから」

 

「………ああ、そうだな。俺もそのつもりだよ。だから、これはその覚悟を形にしたものだ」

 

そう言い、カイはケイタから受け取ったあの箱を出そうとした。

 

「ミト、俺は………」

 

言葉と共に、箱を出そうとした。

 

その瞬間、カイの服の裾を何者かが引っ張った。

 

引っ張られたことに気づいたカイは思わず、後ろを振り返る。

 

そこには、10歳を超えてるかどうかと言った年頃の少年が居た。

 

少年は、カイの事をぼーっと見上げていた。

 

「えっと………君、俺に何か用かな?」

 

カイは箱を出すのを止め、少年の方を向き目線を合わせて尋ねる。

 

「………父上」

 

「………え?」

 

少年の口から発せられた言葉に、カイは思わずそう言い返した。

 

「父上、やっとお会い出来ましたね!」

 

そして、少年はキラキラと瞳が輝き、カイに抱き付く。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

カイは慌てて少年は離し尋ねる。

 

「君、俺が父上って一体」

 

「どういうことだ?」っと聞こうとした瞬間、カイの首に刃が引っ掛けられた。

 

それはミトの鎌だった。

 

「カイ………どういう事?」

 

「ま、待て!ミト、俺に身に覚えがないんだ!」

 

「子供まで居て身に覚えがないとは言わせないわよ。相手は何処の誰?ちょっと話し合いで決着付けるから」

 

「絶対に話し合いで済まない雰囲気だぞ!」

 

圏内だからダメージは入らないものの、今のミトは殺意マシマシだった。

 

「止めてください、母上!」

 

すると、少年は今度はミトを母上と呼び、カイを庇う。

 

「……え?母上?」

 

「母上!父上を虐めないで下さい!」

 

カイを「父上」、ミトを「母上」と呼ぶ、謎の少年。

 

カイとミトは思わず互いに顔を見つめると、再び少年の顔を見る。

 

少年はそんな二人を不思議そうな顔で見た。

 




カイとミトを、父と母と呼ぶ謎の少年。

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