ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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お久しぶりです。

引っ越しや確定申告などがあり、更新が止まってました。

再び再開します。

そして、予定していたジークとリーファの現実での話は、次回になります。

展開的に、先にこの話をするべきと判断しました。


第5話 意味あるものに

「取り敢えず、リーファの言った通りここの宿屋で部屋を取ってログアウトしてくれ。自身の領地以外では即時ログアウトは出来ない。そうなれば、PKや盗みの対象になるからな」

 

リーファの行動に驚きを隠せなかったジークだったが、一先ずは置いといてログアウトした。

 

その後、残されたミトとキリトは2人の言われた通り、上の宿屋で部屋を取った。

 

「じゃあ、また明日な」

 

キリトはミトとノアにそう言い、ユイと共に部屋に入ろうとした。

 

「キリト、ちょっと待って」

 

すると、ミトがキリトを呼び止めた。

 

「ユイちゃん、ちょっとキリトと話があるから、少しの間だけノアの相手頼めるかしら?」

 

「パパとですか?いいですよ!ノア、お話しましょう!」

 

ユイはミトの頼みを快く承諾し、ノアに駆け寄る。

 

「じゃあ、ノア。少しの間、ユイちゃんと一緒に居てね」

 

「はい、母上!」

 

ノアはそう言い、ユイと共にミトの取った部屋へと入る。

 

「ミト、話ってなんだ?」

 

「あまり人に聞かれたくない話だから、部屋に入りましょう」

 

ミトにそう言われ、キリトは大人しくミトを部屋の中へと入れる。

 

「なんだが懐かしいわね」

 

宿屋の部屋を見て、ミトはそう呟く。

 

簡素なベッドと机、椅子があるのみの安宿屋。

 

SAOに居た頃、最初の頃はこんな感じの部屋にお世話になったとミトは思う。

 

後はもうメニューウィンドウを開き、《Log Out》をタップすればミトはすぐ現実に帰れる。

 

だが、その前にミトはどうしてもキリトと話したいことがあった。

 

「それで、話ってなんだ?」

 

キリトは椅子に腰かけ、ミトに尋ねる。

 

「その剣の事よ」

 

そう言い、ミトはキリトの背中にある武器を指差す。

 

「さっきはリーファやジークが居た手前、聞けなかったけど………それ、《ダークリパルサー》よね?」

 

キリトの背中にある薄く細い刀身が特徴的な白い片手剣《ダークリパルサー》。

 

SAOでキリトが愛用していた二振りの内の一つだ。

 

「ああ、どういう訳かデータが破損したアイテム群に紛れて無事だった」

 

「ちなみにだけど、理由に心当たりは?」

 

ミトがそう尋ねるが、キリトは首を横に振る。

 

「そっか……私の《イクシオン・サイス》と言い、キリトの《ダークリパルサー》と言い………一体どうなってるのかしら?共通してるのは、どちらもオーダーメイドの品ってことだけだし………」

 

「………いや、違うんだ」

 

ミトがそう口にしたら、キリトがそう言いだした。

 

「え?違うって?」

 

「………残ってたのは、《ダークリパルサー》だけじゃないんだ…………《エリュシデータ》も残ってた」

 

《エリュシデータ》。

 

それは、キリトがSAOで使っており、キリトこと《黒の剣士》を象徴する黒い片手剣だ。

 

第50層のフロアボスのLAB(ラストアタックボーナス)で手に入れた魔剣クラスのドロップ品。

 

トバル曰く、しっかりと強化すれば90層まで使える剣とのことだ。

 

「オーダーメイドの剣だけじゃなく、ドロップ品のレア武器まで………一体どういう基準で残ってるのよ」

 

「それは、俺にも分からない。でも、どスキル制のPK推奨ゲームなら重要なのは武器の性能とプレイヤースキルだ。世界樹に向かうなら、都合がいい」

 

「………そうね」

 

キリトの意見に、ミトは賛成だった。

 

正直な所、若干チートっぽく思ってしまうが四の五の言ってる場合ではない為、その言葉を飲み込んだ。

 

「でも……どうして《ダークリパルサー》なの?」

 

「え?」

 

「どうして……《エリュシデータ》の方を使わないの?」

 

《ダークリパルサー》は、キリトがユニークスキル《二刀流》の為に、トバルに用意させた《エリュシデータ》と同等の性能を持つ剣。

 

だが、やはり数値を比較すると、《エリュシデータ》に軍配が上がる。

 

《エリュシデータ》を使うか、《ダークリパルサー》と一緒に《二刀流》を使う。

 

しかし、キリトはどちらの選択も取らず、《ダークリパルサー》を使っている。

 

ミトはその理由を、キリトに尋ねる。

 

キリトはその質問に口を噤むが、暫く沈黙して口を開いた。

 

「あの剣は………カイを刺した剣だ……」

 

キリトの口から放たれた言葉に、ミトは思わず息を呑んだ。

 

「向き合わないといけない事だってのは分かってる。でも、《エリュシデータ》を握ると、カイの背中を刺した時の事を思い出すんだ」

 

キリトは自身の掌を見つめて言う。

 

「すまない……ミト………」

 

申し訳なさそうに目を伏せるキリトに、ミトは暫し沈黙し溜息を吐く。

 

「キリト……私がどうしてALOに来たか分かる?」

 

「え?」

 

唐突にミトから質問され、キリトは顔を上げる。

 

「なんでそんなことを………」

 

「いいから……それで、分かる?」

 

「……アスナを助ける為、なんじゃないのか?」

 

「ええ、それもあるわ。でも、それだけじゃない。私はね、カイの死を無駄にしたくないの」

 

「え?」

 

「カイは、最後まで決して諦めなかった。茅場明彦を倒して、全プレイヤーをデスゲームから解放する。例え、自分のHPが底を尽いて、自身が現実に帰れないとしても、私や貴方を、自分の大切な仲間を現実に返そうとした。でも…………まだ目覚めてないプレイヤーが大勢いる」

 

ミトはそう言うと、悔しそうに壁を殴った。

 

「許せないのよ………まるでカイの死は無駄だって言われてるみたいで。でも、アスナを救う事が出来れば、もしかしたらまだ目覚めない他のプレイヤーも救うことができるかもしれない。……………カイは、もういない。なら、せめて私はカイの死を意味あるものにしたいの。アスナを、まだ目覚めないプレイヤーたちを目覚めさせて、本当の意味でSAOを終わらせる。それが………私がALOに来た理由よ」

 

ミトの言葉を聞き、キリトは頭の中で復唱した。

 

(カイの死を無駄にしたくない、か………)

 

キリトは暫し無言になり、そして、勢いよく自身の頬を叩いた。

 

その行動に、ミトは少し驚いていた。

 

「そうだな………アスナを救って、SAOを終わらせる。それが、カイの相棒としての最後の務めなのかもな」

 

そう言うキリトの表情は、少し明るかった。

 

「ええ。そして、カイの恋人としての、私の最後の務めよ」

 

そんなキリトに、ミトは笑みを浮かべて言う。

 

「ミト……正直、俺はまだカイを刺した自分を、カイが死ぬ原因となった俺の行動を、俺自身まだ許せない。それでも、真の意味でSAOを終わらせたい。だから、力を貸してくれないか?」

 

「言われなくてもアスナは私の親友。最初からそのつもりよ。むしろ、私の方からお願いするわ。アスナを救うのを、SAOを終わらせるのを………カイの死を意味ある物にするために、力を貸して」

 

「ああ、勿論だ」

 

2人は握手を交わし、笑い合った。

 

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