ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第8話 一緒に生きたかった

《スイルベーン》が遥か後方に遠ざかり、シンボルの翡翠の塔が見えなくなるまで離れた《古森》エリアでミト達は羽根が生えた巨大な蜥蜴《イビルグランサー》に襲われた。

 

風妖精族(シルフ)領の初級ダンジョンのボス級の戦闘能力を持ち、《邪眼》と呼ばれる呪い(カース)系の魔法攻撃でステータスを大幅に下げて来る厄介なモンスターだ。

 

だが、そんな敵もお構いなしにミトとキリトは、防御も回避もせず突っ込み、手にした鎌と剣で斬り割いた。

 

5体も居たモンスターはあっさり倒され、残りの1体もジークが攻撃をし、HPを減らした所でリーファがホーミング系の魔法を使い倒した。

 

そこで、4人の滞空時間に限界が来たので、一度地面に降りることになった。

 

地面に降りると慣れない空中戦闘に疲れたミトとキリトは体を伸ばしたり、肩を回したりする。

 

「疲れた?」

 

「いや、まだまだ」

 

「頑張るわね。でも、空の旅はここでおしまいよ」

 

「どうして?」

 

「あれよ」

 

ミトの質問にリーファは聳える山を指差す。

 

「あの山の高さが飛行限界高度を超えてるのよ。だから、山越えにはあの山にある洞窟を抜けないといけないのよ」

 

「洞窟って長いのか?」

 

「かなり長いな。短時間で通り抜けるのは不可能だろう。一応、途中に中立地帯の鉱山都市があるから、休むこともできるがな」

 

「えっと、リアルだと今は夜の7時ね。私やジークは大丈夫だけど、2人は?」

 

「俺は問題ないぜ」

 

「私も平気」

 

「じゃあ、もうちょっと頑張ろう。ここで、ローテアウトしよっか」

 

聞きなれない言葉にミトとキリトが首を傾げる。

 

「ローテアウトってのは、交代でログアウト休憩することだ」

 

「中立地帯だから即落ち出来ないのよ」

 

そんな2人の表情から察して、ジークとリーファが答える。 

 

「なるほどね。だから、交代で残った人が空っぽのアバターを守るって訳ね」

 

「そういうこと」

 

「なるほど、なら、先にリーファとミト、ジークから落ちてくれ。俺は後でいいから」

 

「いや、何かあった時1人だと危険だ。俺も残ろう」

 

「いいのか?悪いな」

 

「じゃ、お言葉に甘えて」

 

「よろしくね」

 

そう言ってミトとリーファはログアウトした。

 

ログアウトした後、ミトはすぐさまシャワーを浴びる。

 

ずっとベッドに横になって寝てるだけかと思うが、仮想世界での戦闘は緊張で汗を掻くので長時間ダイブした後は無性に汗を流したくなる。

 

かつて、SAOのβテストをしていた時に知ったことだ。

 

シャワーを終えると、キッチンの冷蔵庫から10秒で栄養の摂取が可能な飲むゼリーを呑んで簡単に食事を済ませると、ALOにダイブした。

 

ミトがダイブするとちょうど、リーファも戻ってきたとこだった。

 

「おう、おかえり」

 

「早かったな」

 

キリトとジークの2人は口に何かを咥えていた。

 

「ただいま。何咥えてるの?」

 

「出発前に雑貨屋で買ったんだ。茎パイプ、スイルベーン特産だって」

 

「あたし、知らないわよ」

 

「俺もキリトに今教えられたんだ。こんな物があったなんて知らなかった。リーファもどうだ?」 

 

そう言ってジークは、リーファに新しい茎パイプを渡した。

 

「キリト、面白そうだし私にもくれる?」

 

「ええ~、今咥えてるのが最後なんだけど……」

 

「どうせ今から落ちるでしょ」

 

そう言い、ミトはキリトの口から茎パイプを奪い取り、咥える。

 

「あ……」

 

そのミトの行動に、リーファは思わず声を漏らした。

 

ついさっきまでキリトが咥えていた物を、恥ずかし気も、躊躇いもなく咥えるミト。

 

それは間接キスに他ならない。

 

思わず、リーファは手元にあるジークから貰った茎パイプに視線を落とす。

 

別にジークが口に咥えていた物ではないし、リーファが咥えた所でそれは別に間接キスにはならない。

 

だが、思わず「もし、この茎パイプがジークの咥えた物だったら」っと妄想してしまう。

 

そんな妄想をしたら、思わず顔が赤くなり、その妄想を消し去る様に頭を振る。

 

「じゃ、今度は俺達が落ちるな」

 

「少しの間、体は任せた」

 

そう言い、キリトとジークはログアウトした。

 

「へ~、これ結構スッてするわね。でも、癖になりそう」

 

ミトは楽し気に茎パイプの味を楽しんでおり、そんなミトにリーファは思い切って尋ねることにした。

 

「あの、ミトさん」

 

「ん?何?」

 

「ひょっとしてなんですけど………もしかして、キリト君とお付き合いしてるんですか?」

 

リーファからの質問に、ミトは思わず驚き、瞬きをした。

 

「いや、急に変なこと聞いてすみません!その、2人の距離が凄く近いし、さっきの戦闘も息合ってたし………今だってパイプの間接キスも気にしてなくて」

 

「え?………ああ、そういうことね」

 

リーファが唐突な質問をしてきた理由が分かり、ミトは笑って答える。

 

「悪いけど、別に私とキリトはそう言う関係じゃないわ。少し前に同じゲームやってて、それで仲が良いだけ。間接キスも、お互いに異性として意識してないだけよ。それに私、恋人いるからさ」

 

「あ、そうだったんですね………どんな人なんですか?」

 

「…………優しくて、頼りになって、弱い所もあるけど、そこも魅力的。そして、私の事をちゃんと愛してくれる」

 

「なんて言うか………素敵な人ですね」

 

「ええ、私には勿体ないぐらいの人よ。それこそ………私の一生を掛けてでも一緒に生きたかった」

 

「………え?今、なんて……」

 

「………ごめん、なんでもない。今のは忘れて」

 

そう言い、ミトは立ち上がり体を伸ばす。

 

「あ………はい」

 

リーファは頷き言うも、一瞬だけ悲し気な表情をしたミトの顔が忘れられなかった。

 

「ただいま」

 

「戻ったぞ」

 

「あら?早かったわね、ご飯は?」

 

「ああ、家族が用意しといてくれたから大丈夫だ」

 

「俺も大丈夫だ」

 

「じゃあ、行きましょう。リーファ、案内お願いね」

 

「あ、はい……」

 

「ん?リーファ、どうかしたのか?」

 

暗い表情のリーファにジークは、様子がおかしいと思い声を掛ける。

 

「あ、ううん。大丈夫、何でもないから。それじゃあ、行こうか!」

 

リーファはそう言い、翅を広げ、飛ぶ体勢に入る。

 

ミトとジークも飛ぼうと翅を広げる。

 

その時、キリトが何かに気づいたような表情で、後ろを振り向いた。

 

「どうした、キリト?」

 

「いや、誰かに見られてる気が……ユイ、ノア」

 

キリトはノアとユイに声を掛ける。

 

「パパ、どうしました?」

 

「近くにプレイヤーの反応はないか?誰かに見られてる感じがするんだ」

 

「待ってください………いいえ、ありません。ノアはどうですか?」

 

「………いや、こっちもだ。キリトさん、少なくともこの近くにプレイヤーは居ません」 

 

ユイとノアの言葉を聞き、リーファは少し何かを考えてから、口を開く。

 

「ひょっとしたら、トレーサーが付いてるのかも」

 

「トレーサー?」

 

「追跡魔法よ。大概ちっちゃい使い魔で術者に対象の位置を教えるの」

 

「解除は出来ないのか?」

 

「見付けられたら可能だが、術者の魔法スキルによっては対象との間に取れる距離も増える。この森だと見つけるのは無理だろう」

 

「そうか………まぁ、気のせいってこともあるかもしれないから、気にしなくてもいいだろ」

 

「じゃあ、先を急ぎましょう」

 

「うん」

 

頷き合い、空を飛び、4人は洞窟の所まで向かった。

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