ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第14話 《央都アルン》と世界樹の中

古代遺跡めいた石造りの建造物が並び、黄色い篝火や青い魔法光、桃色の鉱物燈が列をなして瞬き、その明かりの下を9種族の妖精が均等に入り混じって行き交う街。

 

そして、その街の中央には天に向かって巨大な樹木が聳え立っている。

 

現在時刻は午前3時。

 

ミト、キリト、ジーク、リーファ、そして、ノアとユイ。

 

計6名はようやく《央都アルン》へと辿り着いた。

 

ここに来るまでの道はかなり険しいものだった。

 

ゲームを終えようと、近くの村に降り立ったらモンスターの擬態トラップで、飲み込まれたと思ったらALOの最高難易度ダンジョン《ヨツンヘイム》へと落とされ、なんとか脱出しようと策を練って居たら、動物型邪神と巨人型邪神の戦闘に遭遇し、劣勢だった動物型邪神に肩入れし、懐かれたので《トンキー》と名付けたり、そのトンキーが水妖精族(ウンディーネ)のパーティーに襲われたり、それを見過ごせず水妖精族(ウンディーネ)と戦闘したり、その際にトンキーが進化し助けてくれたり、《アルン》に繋がる階段まで送ってくれたり、その道中ALO最強の伝説武器(レジェンダリーウェポン)《聖剣エクスキャリバー》を発見したりなどとかなり濃い時間を過ごした。

 

「すげぇ……!」

 

「……あれが世界樹……。」

 

「間違いないよ。……ここが《アルン》だよ!」

 

「漸く着いたな」

 

「わあ……!ノア、凄いです!私、こんなに沢山の人が居る場所、初めてです!」

 

「ああ……!俺も初めてだ!」

 

6人が思い思いの感想を口にしていると、パイプオルガンから発せられるような音楽が鳴り響き、午前4時から週1の定期メンテナンスが行われるとのアナウンスが聞こえた。

 

「今回はここまでだな。続きは今日の午後3時からでどうだ?」

 

ジークがそう提案する中、ミトとキリトは世界樹の上の方を見ていた。

 

「キリト君?ミトさん?」

 

リーファが声を掛けると、2人はハッとしジークとリーファを見る。

 

「ええ、そうね。それでいいわ」

 

「俺もいいぞ。とりあえず、宿屋でログアウトしよう」

 

「あ、宿って言えばキリト、アンタ宿代はどうするのよ?」

 

「……あ!」

 

現在のキリトは、手持ちの(ユルド)を全てサクヤたちに渡してしまったので素寒貧だ。

 

「しょうがないから、貸してあげるわよ」

 

「すまない、助かる」

 

「トイチだからね」

 

「なるべく早く返す」

 

そう言い、近場の宿屋へと向かうミトとキリト。

 

そんな2人に遅れない様に、ジークとリーファも後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳥籠を脱出したアスナは、世界樹の中を移動しながら、ログアウトする方法を探していた。

 

世界樹の中は、外見とは裏腹に床も壁も天井も白色で、何の装飾もなかった。

 

それはまるで、何かの研究所の通路を彷彿させるような、寒気があった。

 

その寒気に耐えながら、アスナは世界樹の中を進む。

 

「《実験体格納室》………」

 

中を探索していると、アスナはそう書かれた部屋を発見した。

 

須郷はSAOプレイヤーを使い、非人道的な実験を行っている。

 

恐らくそこで、その実験が行われているのだとアスナは推察した。

 

「………この目で確かめないと」

 

仮にも須郷はアスナの父親がCEOを務めている会社の研究主任。

 

結城の人間として、須郷の行いを見る必要がある。

 

そう自分に言い聞かせ、アスナはその部屋へと入った。

 

然程長くない通路を進み、アスナはイベントホールの様な白い空間へと出た。

 

そして、そこには柱の様なものが、規則的に並んでいた。

 

その数は、ぱっと見300程あるように思える。

 

アスナは、1つの柱に近付き、それを確認する。

 

「………ッ!!」

 

そして、息を呑んだ。

 

その柱の中には人間の脳があった。

 

本物ではないが、精巧に作られた半透明の青色のそれは、紛れもなく脳だった。

 

半透明のグラフに表示される数字や記号に交じって、いくつかの英単語も書かれており、痛み、悲しみ、恐怖と言った単語だ。

 

「苦しんでる………!」

 

口を手で押さえ、アスナはそう呟く。

 

度々須郷がアスナのもとを訪れた時に言っていた『感情を操るテクノロジー』と言う言葉が、フラッシュバックする。

 

それと同時に、アスナは須郷への怒りが沸いた。

 

SAOプレイヤーを閉じ込めて、思考、感情、記憶までも操作する悪魔の研究をする須郷にだ。

 

「こんな事……許されない………!」

 

拳を強く握り、アスナは辺りを見渡す。

 

なんとかしてここにいる人たちを解放する。

 

「ごめんね……必ず助けるから……!」

 

誰かも知らないその脳の持ち主にそう言い、アスナは歩き出す。

 

警戒しながら部屋の中を探索し、進んでいくとある物を見つけた。

 

それは黒い立方体の様なものだった。

 

アスナは、それに見覚えがあった。

 

アインクラッドの第1層の地下迷宮にあったシステムコンソール。

 

「アレを使えば、権利者権限にアクセスできれば全員を解放できるかも………!」

 

期待を持ち、アスナはシステムコンソールに近付く。

 

素早くコンソールを操作し、アスナは《Exit virtual labo(仮想ラボ離脱)》のコマンドを見つける。

 

「これだ……!」

 

そのコマンドをタップすると、《Execute log-off sequense?(ログオフを実行しますか?)》と出て、その下に《OK》と《CANSEL》ボタンがあった。

 

《OK》のボタンを押そうとしたその時、アスナの背後からアスナの右腕を灰色の触手が巻き付いて抑えた。

 

思わず悲鳴が漏れそうだったが、アスナはそれを押し止めて、強引に《OK》ボタンを押そうとする。

 

が、新しい触手が現れ、アスナの身体を拘束し、アスナはそのまま高く吊り上げられた。

 

アスナを掴めたの巨大なナメクジだった。

 

そのナメクジに、アスナは見覚えがあった。

 

アインクラッド第61層で出現した《ブルスラッグ》と言うモンスターだ。

 

61層は別名《むしむしランド》と言われるほど、虫型モンスターが多く、アスナを含め多くの女性プレイヤーが嫌がる場所だった。

 

「あんた誰?こんな所で何してるの?」

 

《ブルスラッグ》から声が発せられ、それがプレイヤーだと言うのが分かった。

 

何故その姿なのかは疑問だが、相手が人間なら話が通じると思い、アスナは説得をする。

 

「離してよ!私は須郷さんの知り合いで、ここの見学をさせてもらってるだけよ!」

 

「見学~?そんな話聞いてないよ?てか、こんな場所、部外者に見せる訳ないじゃん」

 

あっさり嘘が見破られ、アスナは舌打ちをする。

 

「あれ?てか、こいつあれじゃない?須郷さんが世界樹のてっぺんで囲ってるって言う」

 

「ああ、そっか。道理で見覚えある訳だ」

 

素性がバレ、アスナは更に舌打ちする。

 

「貴方たち、科学者なんでしょ!こんな非人道的な実験………やってて恥ずかしくないの?」

 

吊り上げられ、身動きの取れないアスナは《ブルスラッグ》2人にそう叫ぶ。

 

「別に?てか、実験動物の頭開いて、脳に電極打ち込むよりはマシでしょ?」

 

「そうそう。それに、恐怖以外の夢も見せてやってるんだ。むしろ感謝されたいぐらいだぜ」

 

「……狂ってる」

 

罪悪感の欠片もない発言に、アスナは寒気を感じながら呟く。

 

どういう訳か、あの謎の触れると熱を感じるバグは起きておらずアスナは何もできなかった。

 

「取り敢えずさ、お前、現実(向こう)に戻って須郷さんに報告して来いよ」

 

「俺が?まぁ、別にいいけどさ………」

 

そう言うと、片割れのナメクジがアスナをじっとりとした目つきで見る。

 

「報告前に、少し楽しんでもいいんじゃないか?」

 

その言葉に、アスナは恐怖を覚えた。

 

「……そうだな。どうせ、この実験が成功すりゃ記憶も感情も思うがままだし、生の反応を楽しむ最後の機会だしな」

 

「……ッ!離して!ここから出して!」

 

「ダメダメ。そんなことしたら、俺らが怒られるし。アンタもさ、こんな何もない所で退屈してたでしょ?俺らもさ、人形相手は飽き飽きなんだよねぇ」

 

言葉と同時に、湿った触手がアスナの頬を撫でる。

 

アスナの腕や足、素肌に触れ、ワンピースの中にまで入ろうとしてくる。

 

そして、ワンピースの中に入ろうとした触手が、突然斬り落とされた。

 

「ぎゃあああああああああ!!」

 

触手が斬り落とされた《ブルスラッグ》は絶叫を上げ、アスナを離す。

 

アスナはそのまま重力に従い、落下する。

 

だが、床に落ちる直前で何者かにキャッチされ床への激突を避けれた。

 

「わりぃな、ちょっと助けるのが遅くなっちまった」

 

その人物は、左手にアスナを抱く様に抱え、右手に刀を持っていた。

 

「でも、もう大丈夫だ。お前さんを、必ず現実に、キリトの下に返してやるよ」

 

アスナを後ろに隠す様に下ろし、刀を構える。

 

「そのために、俺はここにいるんだからな」

 

そう言って、鍛冶妖精族(レプラコーン)のプレイヤー“トバル”は不敵な笑みを浮かべる。

 




トンキーとの出会いは、書いていて9割原作通りなので省きます。

カイがいれば、ミトといちゃついたりしてたかもです。
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