ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第16話 病院での出会い

ミトは日課となっているアスナのお見舞いに向かう。

 

病院に向かっていると、ちょうど病院の最寄りのバス停にバスが止まり、バスからキリトと誰かが降りて来るのが見えた。

 

「バスで来るなんて珍しいわね。いつもは自転車なのに」

 

ミトはキリトの背後から、そう声かけた。

 

「あ、ミ……深澄か。今日は筋トレは休みだよ」

 

慣れ親しんだキャラネームではなく、ミトの本名を言うキリトにミトは何故?と思うが、キリトの隣にいる少女を見て納得した。

 

「和人、この子は?」

 

「俺の妹。スグ、こいつは深澄。SAOで出会った友達だ」

 

「あ、初めまして!桐ヶ谷直葉です!」

 

直葉は頭を下げ、自己紹介をする。

 

「初めまして。兎沢深澄よ。よろしくね」

 

互いに握手をし、3人でアスナの病室へと向かう。

 

受付で通行パスを発行してもらい、エレベーターに乗る。

 

最上階にあるアスナの病室に着くと、直葉はネームプレート見る。

 

「結城……明日奈さん?キャラネームも本名と同じなんだ。そう言う人って、あまりいないよね?」

 

「良く知ってるな。俺が知る限りじゃ、本名使ってたのはアスナぐらいだったかな」

 

「アスナって、オンラインゲーム初心者中の初心者だったから」

 

そう言い、ドアのスリットにカードを通し、ロックを解除する。

 

変わらず、ベッドに横たわるアスナの下へ誘導するように、キリトが直葉を案内する。

 

「スグ、彼女がアスナ。《血盟騎士団》第一副団長で、《閃光》の2つ名を持つ剣士だ。アスナ、俺の妹の直葉だよ」

 

眠るアスナに、直葉を紹介すると、直葉が一歩前に出る。

 

「初めまして、アスナさん。妹の直葉です。兄が、お世話になってます」

 

直葉の自己紹介が終わると、キリトとミトはSAOでのアスナとの思い出を話して、時間を潰した。

 

暫くすると、ミトと直葉の2人はキリトとアスナを2人っきりにしてあげようとそれとなく理由を付けて、病室を後にし休憩所へと向かっていた。

 

「はい、どうぞ」

 

「すみません、ありがとうございます」

 

自販機で買ったココアを直葉に渡し、ミトは自分の分のココアを飲む。

 

「あの、兎沢さん。ちょっと聞いてもいいですか?」

 

「ん?何?あと、深澄でいいわよ」

 

「あ、はい、深澄さん。それでなんですけど、お兄ちゃんと明日奈さんってどうやって出会ったんですか?」

 

「あの2人の出会い?」

 

「はい、お兄ちゃんってあまり自分からぐいぐい行くタイプじゃないから、あんな美人な人と、それも恋人同士になれたってのがちょっと驚きで………」

 

「なるほどね。あの2人の出会ったのは…………ある意味私が原因ね」

 

そう言い、ミトはあの日の事を語った。

 

「元々は私とアスナでコンビを組んでたの。でもある日、私がドジした所為でアスナが危ない目にあった。その時、私はアスナと離れ離れになっててすぐにアスナを助けに行けなかったの。その時よ。あの2人が出会ったのは」

 

「つまり、明日奈さんの危機をお兄ちゃんが助けたってことですか?」

 

「そうよ。そっからの縁で、私たち4人はよくパーティーを組むようになったの。私とアスナがギルドに入るまでね」

 

ミトは懐かしさに浸りながら、話し続ける。

 

「でも、その頃はどちらかって言うとアスナはキリトの事命の恩人ぐらいにしか見てないかな。感謝はあっても、恋慕の情はなかったと思う」

 

「え?じゃあ、どうして?」

 

「大きなキッカケがあったのよ」

 

そう言って、ミトはアスナがキリトを意識した瞬間の、あの話をした。

 

「SAOを攻略じゃなくて、生きてる………」

 

「多分、その考えはSAOに居た人の大半には理解できないかもね。あの世界では、所詮はゲームって考えの人もいたし、ゲームクリアを目指してたプレイヤーたちも攻略第一の考えが多い。その中で、あの世界で生きていた和人は誰よりも人間らしかった。そんなところに、アスナは惹かれたのよ」

 

「………そっか。お兄ちゃん、私が思ってるより、しっかりしてたんだな…………」

 

そう言い、直葉は昔の事を思い出した。

 

直葉には4年前に他界した祖父が居た。

 

祖父は、昔気質の人で厳しかった。

 

長年、警察官として奉職し剣道の達人で、警察官を引退してからも、剣道を続けた。

 

その情熱は、何時しかキリトと直葉の2人にも向けられた。

 

2人は小学校に上がると同時に、近所の剣道場に半ば強制的に通わされた。

 

しかし、キリトは竹刀よりもキーボードを好きになった。

 

その為、キリトは2年で道場を止めた。

 

その時の祖父の怒りは、凄まじいものだった。

 

キリトの好きになったコンピューターを否定し、もう一度道場に通えとまで言い、キリトがそれを拒否すると「軟弱者!」と叫び、殴った。

 

それを見兼ねた直葉は、泣きながら祖父に自分が兄の分まで頑張るから、殴らないでくれとキリトを庇った。

 

それからというもの、直葉は、自分がしっかりしないとキリトが酷い目に合うと思い始めた。

 

その思いもあり、直葉は剣道で全国に行けるほどの腕前にもなったし、高校もスポーツ推薦で進学することが決まった。

 

だが、自分が思ってたより、キリトがしっかりしており、自分の中で真っすぐな、決して折れない芯が出来ていることを知らなかった。

 

「男子三日会わざれば刮目してみよってね。それが2年ともなれば、大きく変わるわ」

 

「ま、私は6年ぐらい会えなかったけどね」っとボソッと付け加え、ミトは残りのココアを飲み干した。

 

「そうですね………あ、そう言えばさっき4人でよくパーティー組んでた言ってましたよね?お兄ちゃんとアスナさん、それに深澄さん……後1人って?」

 

「ああ、それね。最後の1人は…………キリトの相棒で、私の恋人よ」

 

「深澄さんにも恋人が居たんですね。どんな人ですか?」

 

「ん~……優しくて、頼りになって、弱い所もあるけど、そこも魅力的。そして、私の事をちゃんと愛してくれる………そんな人よ」

 

「へ~、良い人ですね(あれ?なんかどっかで聞いたような………)」

 

「ところで、私やアスナ、和人の恋バナ聞いておいて直葉の恋バナがないのは、フェアじゃないわよね?」

 

ミトはニヤッと笑い、直葉の肩を組む。

 

「み、深澄さん!?」

 

「ココア奢ったんだし、その代価として話してくれてもいいんじゃない?ほら、クラスに好きな男子とかいるでしょ?」

 

好きな男子と聞かれ、直葉は思わず順樹の顔を思い浮かべた。

 

一見頼りなさそうな体系だが、所謂着やせするタイプで、服の下は鍛えられた肉体をしており、男性アイドルとしてやっていけそうな顔。

 

クラスでも順樹は割と女子から人気あるのを直葉は知ってる。

 

そんな順樹とよく居る直葉は何度が、付き合ってるのかと聞かれたことがある。

 

その時決まって、直葉は「違う」と否定する。

 

顔を真っ赤にして…………

 

「……………す、好きな人なんていませんよ!」

 

「今の沈黙は絶対居るでしょ」

 

「違います!ちょっと気になってるだけです!と言うか、目が離せないだけです!花部君は、放って置けないってだけのただの男の子なんですから!」

 

顔を真っ赤にして否定するも、ミトはにやにやと笑う。

 

「おまたせ」

 

すると、そこに丁度キリトがやってきた。

 

「あ、おかえり。もういいの?」

 

「ああ。そろそろ帰らないと、予定の時間に間に合わなさそうだしな」

 

「あ、本当だ」

 

キリトに言われ、ミトは時刻を確認する。

 

「スグ、帰るぞってどうしたんだ?顔真っ赤だぞ?」

 

「な、なんでもないから!それじゃあ、深澄さん!ココア、ごちそうさまでした!」

 

素早く立ち上がり、ミトに頭を下げてそう言うと、直葉は足早に病院の外へと向かう。

 

「何かあったのか?」

 

「そうね~……乙女の内緒話かしら?」

 

そう言い、ミトは立ち上がって出口へと向かう。

 

後には、首を傾げるキリトだけが残された。




いよいよ、ALO編、最終幕に突撃です!
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