ソードアート・オンライン~焔の剣聖~   作:ほにゃー

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第17話 再会と正体

病院から帰ると、ミトは真っ先にナーヴギアを被り、ベットに横になる。

 

待つこと数秒、時刻は午後3時となった。

 

「リンク・スタート!」

 

そして、ALOにダイブすると、集合場所となってる宿屋の1階に降りる。

 

ミトが早いらしく、まだ他のメンバーは来ていなかった。

 

暫く待つと、キリト、リーファ、ジークの順で現れる。

 

「全員揃ったわね」

 

「ああ。後は世界樹まで行くだけだ」

 

「ねぇ、今更なんだけど、本気で《世界樹》に挑む気なの?」

 

「挑戦するなとは言わないが、やはりサクヤとアリシャの2人から連絡来るのを待つべきだと思うぞ」

 

「悪いが、俺もミトも、もう1秒たりとも我慢できないんだ」

 

「ようやくあそこに、目的の目の前に来てるの。それを前にして待てができる程、我慢強くないのよ」

 

ミトとキリトの目は好戦的で、今すぐにでも宿屋を飛び出して《世界樹》に挑みたがってる。

 

更に言うと、須郷が強硬手段に出て、アスナとの結婚を早める可能性もある。

 

その為、2人は一刻も早く《世界樹》へと向かいたかった。

 

「………分かった」

 

そんな2人の気持ちを悟り、ジークはそう言った。

 

「ちょっとジーク!?」

 

「分かってる。……2人がそこまで言うなら、挑戦することを止めはしない。だが、1つだけ条件がある」

 

「条件?」

 

「俺も共に戦う事だ」

 

「ジーク!?」

 

ジークからの条件に、ミトもキリトも、そして、リーファも驚く。

 

「すまないが、嫌とは言わせない。キリト、ミト………俺だって、君達2人を友達だと思ってる。友達が無残にやられるのを、黙ってみてることはできない。これが、俺に出来る最大限の譲歩だ」

 

決して一歩も退かないと言う意思に、リーファも覚悟を決めた。

 

「キリト君、ミトさん!あたしも一緒に戦うわ!これでも、数回《世界樹攻略戦》に参加したことがあるの!足手纏いにはならないわ!だから、2人の友達として、あたしも戦わせて」

 

ジークとリーファの2人を見て、キリトとミトは嬉しそうに溜息を吐く。

 

「じゃあ、お願いできるかな?」

 

「迷惑じゃなければだけど」

 

「「当然だ(よ)!」」

 

四人は覚悟を決め、宿屋を出ると世界樹へと向かった。

 

アルン中央市街を抜け、階段を上り終え、《世界樹》の前へと着く。

 

「デカいな……」

 

「遠くから見た時でも、大きく感じたのに、近くで見ると尚更ね」

 

「《世界樹》の中に入るには、根元のドームから入るしかない」

 

「こっちよ」

 

ジークとリーファに案内され、《世界樹》に入るためのドームへ行こうとした、その時だった。

 

突如、キリトの胸ポケットに居たユイが顔を出した。

 

「ユイ?どうしたんだ?」

 

「……います。パパ!近くにママがいます!」

 

その言葉に、キリトもミトも驚き、目を見開いた。

 

「ノア!」

 

ミトはノアに声を掛ける。

 

ミトの胸ポケットから顔を出したノアは目を閉じる。

 

僅かに沈黙した後、目を開いてミトを見る。

 

「母上!ユイの言ってる通り、近くに反応があります!」

 

「場所は!?」

 

「こっちです!」

 

ユイがキリトの胸ポケットから飛び出し、先導する。

 

その後を、キリトとミトは橋って追い掛ける。

 

ユイは世界樹から離れて右へ左へと飛ぶ。

 

その後を、ミトとキリトは必死に追いかける。

 

そして、着いたのは建物に囲まれた小さな家だった。

 

「《アルン》にこんな場所があったなんて………」

 

「知らなかったな………」

 

かなり見づらい位置にある裏路地を抜けて行かないと見つからない場所にあり、後ろを追い掛けていたジークとリーファは驚いていた。

 

「母上。ここはどうやら、一時的空間(インスタンス)の様です」

 

一時的空間(インスタンス)とは、クエストを受けたパーティーごとに、一時的に生成される空間のこと。

 

だが、街の中で、それもクエストも受けてないのに一時的空間(インスタンス)が生成されることはありえない。

 

そう思った時、家の扉が開き、何者かが現れる。

 

長い栗色の髪に、胸元に赤いリボンをあしらった薄い布で作られた白のワンピースを着たそのプレイヤーをキリトとミトは知ってる。

 

妖精の様に耳が尖っているが、その顔を2人は間違えることはない。

 

それはアスナだった。

 

「ママ!」

 

誰よりも早くユイが動いた。

 

ナビゲーション・ピクシーモードから、本来の姿へと戻り、アスナへと抱き付いた。

 

「ユイちゃん………なんだよね?」

 

ユイを抱き止め、アスナはそう尋ねる。

 

「はい!ママ、ずっと……ずっと会いたかったです!」

 

「うん!私も、ユイちゃんと会いたかった!」

 

アスナとユイは互いにあらん限りの力で抱きしめ合う。

 

そんな2人に、キリトが近寄る。

 

「……アスナ」

 

「……キリト君……なんだよね」

 

「……ああ!」

 

その言葉を皮切りに、キリトはユイごとアスナを抱きしめる。

 

「ごめん……来るのが遅くなった……!」

 

「ううん、きっと来てくれるって信じてた……!」

 

ようやく再会できた家族は、共に喜びあった。

 

「良かったね……キリト、ユイちゃん………アスナ………」

 

その光景に、ミトも涙を流していた。

 

「ミト、あの人が探していた人なのか?」

 

話しに付いて行けてないジークが、ミトに尋ねる。

 

ミトは涙を拭い、ジークとリーファに向き直る。

 

「ええ、そうよ。私の親友で、キリトの恋人のアスナ。2人にも改めて紹介を………」

 

ミトはそこまで言うと、言葉を詰まらせた。

 

何故なら、リーファは目を見開いて、驚きのあまり口を両手で押さえていた。

 

「嘘……だってその人は………その名前は………!」

 

その言葉に、ミトはリーファがアスナの名前を知ってることに気づく。

 

だが、ここに来るまでにミトもキリトも、そしてユイもノアもアスナの名を口にしていない。

 

にも拘らず、アスナの名前を知ってる口ぶり。

 

ミトはどうしてっと思う。

 

リーファは弱弱しく歩き出し、キリト達に近付く。

 

「キリト君、その人………アスナって言うの?」

 

「リーファ。ああ、俺たちが探してた人だ。アスナ、紹介すると彼女は“リーファ”、そして、彼が“ジーク”。ここまでの道案内を「お兄ちゃん………なの?」

 

リーファから放たれた言葉に、全員が固まる。

 

「………え?リーファ、急に何を………あ」

 

急に「お兄ちゃん」と呼ばれ、困惑するキリトだったが、何かに気づき、リーファ同様驚き、目を見開く。

 

「スグ………直葉なのか………?」

 

キリトの言葉に、ミトは先程病院で会った直葉の顔を思い浮かべる。

 

「……どうして?」

 

リーファは唇を震わせ、そして、キッ!っと歯を噛み締め、叫んだ。

 

「どうしてゲームなんかしてるの!?」

 

リーファの叫びに、キリトもミトも、そして、ジークも驚く。

 

「何で……何でまたVRに……!」

 

「それは……アスナがこの世界に閉じ込められたって聞いて……いてもたってもいられなくって……」

 

キリトはしどろもどろになりながら、リーファに事情を説明しようとする。

 

「あたしが……お母さんが……どんなに心配したか……どんなに不安だったか、わかってるの!?残された人がどんなに心配してるのか、少しは考えてよ!!」

 

「そ、それは……」

 

「もう……いいよ……お兄ちゃんとあたしは血が繋がってない……だから!どうでもいいんでしょ!!」

 

リーファは目に一杯涙をためながら叫んだ

 

「ち、違う!俺は……!」

 

「言い訳なんていらない!!もう……ほっといて!」

 

 そう叫ぶと、リーファはその場を離れ、路地にへと消えて行く。

 

「あ、待ってくれ!スグ!」

 

キリトはリーファを追い掛けようとするが、それをジークが止めた。

 

「ジーク放してくれ!スグと話さないと!」

 

「今の彼女に何を言っても、聞く耳は持ってくれない」

 

その言葉に、キリトはハッとする。

 

「キリト……さん。俺のリアルでの名は、花部順樹と言います。桐ヶ谷……直葉さんの同級生です。こんな形で出会うとは、思ってませんでしたけど」

 

「……ああ、そうか。そう言えば言ってたな、同じ学校だって」

 

「はい。彼女の事、俺に任せてください。少し、落ち着かないと」

 

「……そうだな。今の俺じゃ、聞く耳を持ってくれないよな。……順樹君、すまないけど、スグに伝えてくれないか?《アルン》の北側のテラスで待ってるって」

 

「わかりました」

 

ジークは頷き、リーファの後を追った。

 

そして、キリトはアスナの下へと向かう。

 

「アスナ、ごめん。折角、また会えたのに俺行かないといけないんだ」

 

「ううん、行って上げて。私は待ってるから」

 

「……ありがとう」

 

キリトは笑い、北側のテラスへと向かう。

 

「アスナ」

 

残されたミトは、アスナに声を掛ける。

 

「ミト……久しぶりだね」

 

「ええ、本当に」

 

アスナは抱きしめていたユイを下ろし、今度はミトに抱き付く。

 

「ミト……辛かったよね」

 

アスナのその言葉が、何を意味してるのかミトには分かった。

 

「……うん、辛かった」

 

だから、ミトは正直にアスナにそう伝えた。

 

「カイが居なくなって……辛かった。でも、アスナが帰って来れてなかった」

 

「ミト………」

 

「アスナだけじゃない。まだ300人のSAOプレイヤーが戻って来れてない。………そんなの絶対に許せない」

 

ミトはアスナと目を合わせて言う。

 

「必ずSAOを終わらせる。それを果たすまで、辛いなんて言ってられないよ」

 

「……流石はミトだね。本当に強いよ」

 

「強くないわよ。無理して踏ん張ってるだけよ」

 

そうして、互いに笑い合った。

 

「ところで、どうしてここにいたの?私もキリトも、アスナは《世界樹》の頂上にある鳥籠の中に居るってずっと思ってたのに」

 

ミトからの疑問に、アスナは答えた。

 

須郷の隙を見て檻のパスコードを奪い、逃げ出し、そして、須郷たちの恐ろしい実験の正体を知り、危ない所をトバルに助けられ、トバルが時間を稼いでくれたおかげで《世界樹》から脱出出来た事。

 

「トバルが来てるの!?ってそれより、どうして《世界樹》に!?」

 

「それはわからないの。私も聞く前に、逃げろって言われて」

 

「………どちらにしろ、《世界樹》に乗り込む必要はあるわね。アスナもログアウトさせなきゃだし」

 

ミトは僅かに見える《世界樹》を見つめた。




次回はジークとリーファの会話。

それが済んだら、一気にALOはクライマックスへと突入します。

そして、ALO編が終わったらプログレ版の焔の剣聖を投稿します。

お楽しみに
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