「カイ……なんだよね……?」
ミトはあふれる涙を堪えることなく、カイに近付く。
「父上……」
ノアも、目の前にいるカイに驚きを隠せず、その目には涙が溢れていた。
「ああ、俺だ。待たせたな」
「カイ!」「父上!」
ミトとノアは、もう抑えることが出来ずカイに抱き付いた。
「おっと……!」
「カイ……良かった……本当に良かったよ………!」
「父上……俺、俺………!父上が死んだと聞いて、それで!」
「やれやれ、俺って奴は本当にどうしようもないな……ごめんな、今まで何も連絡せずに」
カイはそう言って、ミトとノアを抱きしめた。
「でも、どうして………?」
「それについては、あとでゆっくり話す。今は、この戦いを終わらせよう。行けそうか、ミト?」
「……うん!」
カイがそう尋ねると、ミトは涙を拭き、カイの手を取る。
「よし!ノアは、もう少し待っててくれな。全部終わらせたら、沢山話そう」
「はい、父上!ご武運を!」
ノアがミトの胸ポケットに収まったのを確認し、カイとミトはキリトとアスナの元へと向かう。
「久しぶりだな、相棒、それにユイちゃんも。今度は小さくなったな」
「小さいのはナビゲーションピクシーモードだからですよ、カイさん」
変わらないやり取りに、ユイは涙を拭って答える
「カイ、お前………本当にお前なのか?」
キリトは未だに信じられないと言う風に、カイに尋ねる。
「ああ、本物だ。なんなら、お前とSAOで俺が何したか、事細かに説明してもいいんだぞ」
カイがそう言うと、キリトはようやく本当のカイだと理解し、涙を流し始めた。
「何泣いてるんだよ、キリト」
「馬鹿野郎……俺、お前が死んだと思ってて……俺の所為で死なせたから……!それで、俺……俺……!」
自分でも何を言ってるのか分からなくなり、とにかくキリトは涙を拭きながら、自身の心の内を吐き出した。
「お前の事だから、絶対気にしてると思ったけどな。悪かったな、キリト。嫌な役やらしちまって」
カイは泣いてるキリトの頭を、優しく撫でる。
「アスナは無事だったか?」
「うん。手を出されることはなかったから全然平気」
「そりゃ、よかった。《業火刀》の力も便利なものだな」
「《業火刀》って、じゃあ、やっぱりあのバグは……」
「ま、それも追々な。今は、ココを突破するぞ」
そう言って、カイはゲートの方を見る。
そこには、数十体のガーディアンと、腕の欠損を直した巨大ガーディアンが立ち塞がっていた。
「後ろのガーディアンはディアベルたちとALOプレイヤーが引き受けてくれてる。だから、俺たちは正面だけに集中する」
カイは刀を構え、笑う。
「行けるか、ミト、キリト、アスナ。それに、ノアとユイちゃん」
「ええ、勿論よ!」
「いつでも行ける!」
「はい、父上!」
「私も準備できてます!」
「私も出来てるよ。もっとも、私は戦えないんだけど」
そう言うアスナは、少し悲しそうに笑う。
「おっと、そうだった。そのことなんだけど………」
カイはメニューウィンドウを操作し、ある物をアスナへと差し出す。
「ほら、アスナ。お前の剣だ」
カイの手には、一本の
それもただの
「こ、これって……《ランベントライト》!?」
「アスナと言ったら、この武器だからな」
「どうしてこの武器がここに!?それに、私武器の装備が……」
「ああ、分かってる。でも、それは大丈夫だ」
カイの言葉にどういう事っと聞きたいが、試しに装備してみると、店売りの
「どうして!?」
「それも後で説明するよ。さてと………」
カイはアスナ、キリトの順に顔を見て、最後にミトを見る。
「3人とも、行くぞ」
「うん!」「おお!」「ええ!」
アスナ、キリト、ミトの順にいい、4人は一気にゲートを目指し、翅を震わせた。
アスナの正確な突きが、ガーディアンの弱点を的確に貫き倒し、1体倒すのに1秒も掛からなかった。
キリトはようやく《エリュシデータ》を解禁し、二刀流にてガーディアンの群れを連撃で倒していく。
ミトは鎌の広範囲にわたる攻撃で、ガーディアンを複数体同時に倒していく。
カイは刀を使い、ガーディアンの頭をどんどん斬り飛ばしていく。
4人の猛攻に、ガーディアンの群れは成すすべなくその数を減らしていき、新たなガーディアンの出現も追いつかない程だった。
そして、最後に残った巨大ガーディアンは、4人を通さないと言わんばかりに巨大な剣を振り被る。
その剣を、カイとキリトは何も言わずに受け止める。
すると、巨大ガーディアンは新たに取り出した巨大な剣を持ち、横からカイとキリトに斬りかかる。
だが、それをミトとアスナの2人が受け止める。
「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
「「はあああああああああああああああ!!」」
4人は雄叫びを上げ、一気に剣を跳ね上げる。
巨大ガーディアンは、後ろへと仰け反り、体勢を崩す。
その瞬間、4人はあらん限りの力を籠め、突撃した。
そして、4人の攻撃は同時に巨大ガーディアンへと当たる。
二刀流スキル《ダブル・サーキュラー》
両手鎌スキル《カラミティ・ブラッドロード》
業火刀スキル《燎火一閃》
ソードスキルが存在しないにも関わらず、4人は寸分狂わず技を使い、巨大ガーディアンの中心に同時に当てた。
巨大ガーディアンが胸を貫かれると同時に、4人は貫いた穴から飛び出し、4人の背後で巨大ガーディアンが巨大な炎をに包まれ、消滅した。
そのままゲートへと到達する。
だが、ゲートは開かなかった。
「どういうことだ?ユイ!」
「はい!」
ユイがキリトの胸ポケットから飛び出し、ゲートを触る。
「これは、クエストフラグによってロックされてるものではありません!システム管理者権限によるものです!」
「どういうことなの!?」
「つまり、この扉はプレイヤーに絶対に開けられないということです!」
「やっぱりな。予想通りだったか」
カイはまるで分っていたかのようにそう言う。
「アスナ。トバルから、何か受け取らなかったか?」
「あ、そう言えば………」
アスナは思い出したように、トバルから受け取ったカードだった。
「ノア、ユイちゃん、これを使え!」
カイはそのカードを受け取り、ノアとユイに銀色のカードを差し出す。
「これは、システム管理用のアクセス・コードです!」
「これなら!」
「はい!」
ノアとユイは、カードに触れると、一瞬黄色に発光する。
光が収まると、2人は今度はゲートに触れた。
「コード転写!」
ノアがそう叫ぶと、ノアとユイが触れた場所から放射状に青い光が広がり、ゲートが開き出した。
「…………転送されます!」
「掴まってください!」
ノアとユイに言われ、4人は手を取る。
ユイの右手にキリト、左手にアスナ。
ノアの右手にカイ、左手にミト。
そして、カイたちは白く輝くスクリーンの中へと、データの奔流となって突入した。
いよいよクライマックスです