僕がチルドレンのママになるんだよ!   作:はっぽーしゅ

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※この回は読み飛ばし推奨です※

※ある意味夏のホラー回です※

※本編と全く関係ない(しかも無駄にアスカが先行登場します)おふざけゼンカイの番外編です。本編以上にIQとモラルの低下が著しい完全悪ふざけ回なので、嫌な予感のする方は華麗にスルーして頂くか、通常の3倍広いお心をもってご覧ください※

※本編の続きも近日中に上げますので、本当に読み飛ばしてしまってください※

※何度でも言いますがこの回は読み飛ばし推奨です(念押し)※












すぺしゃる:綾波レイの暴走〜入江ミナトから○○は出るのか〜

 

 

 

 

 碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーが入江家の一員となってしばらく経った頃

 

 

 

 

 

 

「アスカ…」

「んー」

 

 すっかり慣れてしまった(納得はしてないけど)レイとの相部屋。

 アホのミナトから拝借した3DSでミナトのポケモンXを勝手に進めていると、保護者に負けないくらいのアホさを持つアホの同居人がぼそりと話しかけてきた。

 

「三尉は…」

「…んー」

 

 ベッドに寝転がってゲームをしながら、テキトーに聞き流す。

 よりにもよってアホのミナトの話題、心底どうでもいい。

 

「三尉は…三尉からは…」

「んー」

 

 あ、ここモーモーミルクまとめ買いできるじゃない。所持金いっぱいまで買っとこうかしら?いや、そんなに敵強くないしとりあえず2ダースくらい…

 

「母乳は、出るのかしら…」

「……」

 

 …そうね、3ダースにしましょう。ひとつで100回復をたくさん持っておけばもう回復に気を回す必要もなくな…

 

「母乳は、出るのかしら…」

「……」

「母乳、出る…?」

「……」

「アスカ、ぼにゅ」

「あーもーうっさいわね!」

 

 アタシは3DSを放り捨てて上半身を跳ね起こした。二段ベッドの下にいるアホにしっかり苛立ちが伝わる様に、ベッドの支柱のゲシゲシと蹴っ飛ばす。

 

「男からっ!お乳がっ!出るわけっ!ないでしょっ!?」

「…そうね、出ないと思う」

「なら言うなっつーのよ!ったくもう!」

 

 全くいきなり何を言い出したかと思えば。アホだアホだと思ってはいたけど、ホンッットにアホアホのアホねこのコは!明らかにあのアホ保護者の悪影響が出てるじゃない!

 

「ごめんなさい…」

「いいわよもう、バカバカしい」

「そう…?」

「そーよっ!…はぁ、別に怒ってないから。ほら、もう寝たら?」

「…わかった」

 

 下から聞こえてくるか細い声に、怒る気力も失せてくる。

 …やっぱり、このガキんちょはアタシがしっかり見といてやらないと。この何も知らない幼児みたいな天然小娘、外で何を口走るか知れたもんじゃない。

 

「アスカ…」

「なによ」

「電気、消していい…?」

「だめ」

「どうして…?」

「ただいまゲーム中」

「明るいと眠れない…」

「目ぇ閉じときゃ寝れるわよ」

「……」

 

 はー、全く。なぁんでこのアタシがこんなガキのお守りなんてしてんのかしら。同い年の娘だなんて、ナンセンスにも程があるわよ。

 

 ったく…

 

「おじゃまします」

「ホァッ!?」

 

 っアホが登ってきたァ!?

 

「なんでいっつも入ってくんのよアンタは!?」

「眠れないから」

「意味不明!降りなさいよクソ暑いんだから!」

「いっしょに寝たいの」

「イヤだっつってんでしょ!?」

「……Zzzz」

「えぇ…ウソでしょアンタ…」

 

 追い出す隙すら与えずに、レイはアタシの胸に顔を埋めて眠ってしまった。すーすーと静かに寝息をたてながら、スリスリと甘える様に頬擦りまでしてくる始末。

 

「んぅ…あすか…すぅ……」

 

 したっ足らずな寝言を漏らしながら、安心しきった顔でアタシにしがむつくレイ。もう完全に赤ん坊そのものだ。

 

「すぅ…すぅ……」

「ぐっ……」

 

 …腹立つ。ホンット腹立つわこの生き物。どんだけ自由に生きてんのよ。イエネコの百倍はフリーダムよコイツ。

 

「はぁー…」

 

 すっかり見慣れた天井を、投げやりに眺めながら。

 

「…アホらし」

 

 アタシは胸元をくすぐる空色の髪を、テキトーに撫で付けるのだった。

 

「すぅ…すぅ…」

「……」

「すぅ…すぅ…母乳…すぅ…」

「…吸うなっつーのよ……」

「すぅ…すぅ…母乳………はむっ

「だから吸うなっつーのよッ!?」

 

 

 

 

 

 

「ってなワケ。ねぇ信じられる?毎晩コレよ?もうベビーシッターかっちゅーの」

「問題ないわ」

「あるから愚痴ってんのよ!!!!」

「あはは」

「あほくさ」

 

 次の日の昼休み。さっそくアタシはクラスメイト二人に昨夜の(というかここ毎晩の)アホアホイベントを愚痴りまくっていた。

 

「アスカ、すっかりお姉ちゃんだね」

 

 一番の親友であるヒカリがほんわかと笑うと、レイはしきりにコクコクと頷いて私を見た。

 

「お姉ちゃん」

「やかましい」

「よぉレイ」

 

 四人の中で一人だけ菓子パン食を貫く悪友のナイコが、ニヤニヤとイヤらしく目を細める。

 

「ジャーマン乳首は美味かったか?」

「はっ倒すわよアンタ?」

 

 拳を握って睨みを効かすも、ナイコはケラケラと笑って受け流してくる。

 レイは再びコクコクと頷き、キリッとした顔で私を見た。

 

「美味しかった」

「はっ倒すわよアンタ!!!!」

「ぶははははは!」

「笑うなッ!」

「っぶへ!?」

 

 バカ笑いするバカナイコの顔面に冷えたおしぼりを叩きつけつつ、レイを睨む。

 

「ぬぁにが美味しかったよこのクソガキ!アンタいっちょまえにタヌキ寝入りまで覚えたってぇの!?」

「たぬき?」

 

 コテンと小首を傾げるアホの子。なんでドイツ育ちのアタシより日本語不自由なのよアンタは!?

 

「つーかよぉ」

 

 顔面に食らったアタシのおしぼりを、何でもなかったかの様にうなじに挟んで涼をとりつつ(返せコラ)ビリビリとジャムパンの包装を破るナイコが、いつもの様にダラダラと喋り出す。

 

「なんでミナトのアニキから母乳が出んの?」

「出るわけないでしょ母乳なんて」

「でも三尉はお母さん」

「それはそう」

「アンタらバカ?」

「お母さんなら母乳が出るわ」

「母乳はオンナの特権だろ」

「特権っつーか機能よ機能」

「確かにそう。でも三尉なら?」

「ワンチャン出るな」

「男の乳首にそんな機能ないわよ」

「じゃあどんな機能があるの?」

「いじるときもちいい」

「ホントフケツよねアンタって」

「こやつめ、フハハ」

「アンタたちっ!!」

「「「っ!?」」」

 

 左右のおさげをブワワッと怒らせたヒカリの鋭い一喝に、ビクッと飛び上がるアタシたち。

 

「ご飯中に 変な話しは やめなさい!!」

「…ごめんなさい」

「…アタシ悪くない」

「下ネタ万歳」

 

 反省の色皆無なナイコがヒカリにほっぺたをぐにぃーっとつねられているのを白けた目で眺めつつ、アタシは素っ頓狂な発言を繰り返すアホな妹分との今後を柄にもなく憂いた。

 

「母乳…」

「アンタね…」

 

 ホンットどうなってんのよ、コイツの頭ん中は…

 

 

 

 

 

 

 入江ミナト三尉は、私の母親。

 ディラックの海から生還したあの日から、私は自分の中でハッキリと三尉を母と定義づけた。彼が血の繋がらない施設の大人を父と敬い、私たちチルドレンを我が子と愛している様に、私もまた彼を親として、母として敬う事に決めたのだ。

 

 ただ、そうなると自然と気になってくる事柄がひとつある。

 

 そう。

 

 母乳だ。

 

 三尉は母だ。男性ではあるが間違いなく母だ。

 母とはつまり、母乳を出すもの。体質によって出す事が出来ず難儀な思いをする女性もいるらしいが、あの三尉だ。

 間違いなく出る。

 

 そこまで思い至った時、私の胸にかつてないほどの強烈な使命感が大波の様に去来した。

 

 私は、三尉の娘だ。それも初めての娘、文字通りのファーストチルドレン。つまりはそう、長女なのだ。

 私は入江家の長女として、なんとしても彼の母乳を飲まなければならない。

 

(私は、一人目だもの。二人目だけど、一人目だもの)

 

 もちろん独り占めする気はない。三尉はみんなの母なのだから。碇くんも、アスカも、みんな彼の母乳を飲む権利がある。私のこの心の渇きが満たされるまで彼の雫を飲み味わった後には、喜んで彼の乳房を譲り渡そう。

 

 ただし最初に飲むのはぜったいにこの、私だ。

 

 

 

 

 

 

 といわけで。

 

「飲ませて」

「!?」

 

 私は今週に入って通算三回目のおねだりを、お風呂上がりの三尉に対して敢行した。

 

「……」

「……」

 

 ソファに並んで腰掛けた碇くんとアスカが、私の戦いを見守ってくれている。なんと心強い応援であろう。

 三尉はゆったりとした寝巻きの胸元をサッと隠して、怯えるように身を屈めた。

 

「…最近のレイちゃんっていっつもそれだよね!?僕のおっぱいのこと何だと思ってるのさ!?」

((いやそのリアクションはおかしい))

 

 真っ赤な顔で授乳を拒否する入江三尉。やはり今回もダメだった。どうして彼はこうも頑なに授乳を拒むのだろう。

 

「イヤなの?」

「イヤじゃないけど出せないのっ!」

((いやイヤがれよ))

 

 すっかり腹を立ててしまったらしい三尉は、そのままぷんぷんと頬を膨らませて自室に引っ込んでしまった。

 …任務、失敗。

 

「…ふぅ………」

 

 …私の心に、夜の帳が下りてゆく…

 

「ふぅー………」

 

 …そう、ダメなのね、もう……

 

「アスカぁ、綾波をなんとかしてよ…僕もう見てらんないよ…」

「アタシだって見たかないわよ男の乳首吸いたがる同居人なんて…」

「どうしたら綾波は満足してくれるのかな…」

「知らないわよ…牛乳でも飲ませてみれば?」

「うーん…一応試してみる…」

 

 母乳…母乳…

 

「綾波、これ…」

「…碇くん?」

 

 リビングに体育座りで撃沈している私に、碇くんがそっと小さなグラスを差し出してきた。

 背の低いロックグラスに半分ほど注がれているのは、真っ白な牛乳。いつも我が家で飲んでいる低脂肪牛乳だ。

 

「ごめん、牛乳ほとんど切らしてたみたいで…コレだけしか残ってなかったんだけど…コレ飲んで、元気出して」

 

 そう優しい声で(何故か顔が引き攣っている)手を差し伸べてくれる碇くんの優しさに、私の心のキズは幾分か癒された。

 

「碇くん、ありがとう…」

「いいよ、全然…うん、ほんとに全然いいんだ…うん…ほんとにいい…」

 

 グラスを受け取った私に穏やかな笑顔(やはり何故か引き攣っている)を向けた碇くんは、そのまま静かに自室へと下がっていった。

 ありがとう…感謝の言葉…あたたかい言葉…

 

「…アタシ、先に寝るからね」

「アスカ…」

「上の段、使いたきゃ使いなさい」

「いいの…?」

「今日だけよ。じゃ」

 

 ぶっきらぼうに言い捨てて廊下へと消えゆくアスカの背中の、なんと温かきことか。

 

「碇くん、アスカ、ありがとう…」

 

 大切で大好きな二人の家族の、まごころが、私に…

 

「いただきます…」

 

 こくり、こくりと、ほんの数口の牛乳を味わって飲み干す。渇きひび割れた心の大地が、優しい甘みとともに潤ってゆく。

 

「…ごちそうさまでした」

 

 様々な感情を乗せてグラスを口から離し、粛々とキッチンへと向かう。

 グラスを洗って戸棚に戻し、ふと気になって冷蔵庫を覗いてみると、やはり牛乳は今ので最後の様だった。流しの隣りに干されてある空の牛乳パックが、その現実を裏づけていた。

 

(もう、寝よう…)

 

 やはり、過ぎた願いだったのだ。紛い物の人間である綾波レイが、普通のヒトと同じ様に母の愛を受け取りたいなどと…なんとおこがましく、浅ましい執着であろうか。

 

(私は三尉の、こどもにはなれない…)

 

 必死に目を逸らしていた悲しい現実に押し潰されながら、私はキッチンを後に———

 

「レイちゃん」

「…三尉?」

 

 ———いつの間にか、三尉がそこにいた。

 

「はい」

「え…」

 

 優しく手渡されたのは、三尉愛用のキティちゃん柄のマグカップ。

 

「寝る前に飲むなら、ホットミルクのがいいよ」

 

 熱過ぎずぬる過ぎない、あたたかなマグを両手で受け取る。

 

「いつから…?」

「いつからって」

 

 可笑しそうにクスクス笑う三尉。

 

「ずっとレンジの前にいたじゃない」

「そんな筈は…」

「ふふっ」

 

 いつもと変わらない、柔らかな微笑をたたえる三尉。だが、どうにも普段とほんの少しだけ違う気もする。

 …というか、そもそももう牛乳はこの家には無い筈…

 

 ……このホットミルクは一体……

 

「レイちゃん」

 

 ふわりと近づいてきた三尉が、マグを持ったまま硬直している私の身体を羽毛の様に柔らかく包み、抱きしめる。私と同じシャンプーの香りが、私の感覚をまろやかに鈍らせる。

 硬直した私に柔らかく密着した三尉は、その桜色の唇を私の耳元にぴったりと寄せて———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「め し あ が れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ!?」

 

 ———そう妖艶な声で囁いて、ふわりと離れていった。

 

「さん——!?」

 

 一瞬思考がフリーズしてしまった私が慌てて顔をあげると、もうそこに三尉の姿はなかった……。

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、なに牛乳残してんのよレイ」

「綾波、具合悪い?お腹とか…」

「…なんでもない」

 

 あの日からもうしばらく経ったけど、やっぱりレイの様子がどこかおかしい。

 いつもは肉以外なんでもパクパク食べてゴクゴク飲んでたのに、牛乳だけはなかなか飲もうとしないのだ。ついこないだまで、あんなに母乳母乳と念仏みたいに繰り返していたのに。

 

「もー、レイちゃん?」

「…っ」

 

 見かねたミナトが隣りに座るレイに顔を向けると、レイはビクッと肩を跳ねさせた。何故か耳が少し赤い。

 

「好きキライしちゃ、めー、だよ?ほら」

「ま、まって、さん…」

 

 テーブルに置かれたレイのコップをそっと手に取ったミナトが、ふにゃりと気の抜けたいつものバカ面でレイに笑いかけた。

 

「はーいレイちゃん、めしあがれー♪

「ッッッッ!?」

 

 瞬間、レイは爆発した様に顔を真っ赤にして目を見開き、噛み噛みになりながらトイレに行くと言い残してトタトタ走り去ってしまった。

 

「…なにアレ?」

「やっぱりお腹痛かったんじゃ…」

「んー、心配だね」

 

 おかわりのトーストにいちごジャムをたっぷり塗りながら、ミナトはそっと目を伏せた。

 

「やっぱり夜だけじゃなくって、朝も——」

「「朝も?」」

 

 揃って首をかしげてしまうアタシとバカシンジ。

 ミナトはそんなアタシたちに、ニッコリと笑いかけてから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「——ホットミルクに、しようかな♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ赤なジャムがついた指先を、ペロリと舐めて微笑うのだった。

 

 

 

 

 おしまい

 

 

 

 

 








(ついったでとある方から頂いたコメントに私の脳内の80%が侵食されてしまったので、可能な限り健全な形で書き上げました)

本編の続きは近日中に更新予定です。お楽しみに!




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