僕がチルドレンのママになるんだよ!   作:はっぽーしゅ

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グーテンモーゲン(すごい上手い発音)
遅くなってすみません。ゆるしてください何でもゆるしてください(?)

今回はミナトくんオンリー回です。トウジとシンちゃんのガンダムファイトはまた次回…

…一応書いておきますが、今回はちょっちラブコメ注意です。





えぴそ〜ど17:ヤマアラシのほにゃらら

 

 

 

 NERV本部内、はかせのお部屋。

 今日は毎週恒例の、レイちゃんとシンくんに関する定期報告の日だ。

 

「それでそれでっ!シンくんがですね?特売のめんたいこをふたつも」

「はいストップ」

「えー」

「えーじゃない」

 

 今日もはかせはクール&ドライ。気怠げにタバコをスパスパしながら、容赦なく話を遮ってくる。うーん悲しみ…もっとはかせとお話したいんだけどなぁ。

 

「それにしても意外ね」

「意外?」

 

 短くなったタバコを灰皿に押し付けながらそう言うはかせに、はてと首をかしげる。

 

「シンジくん。もう学校で友達を作ったって」

「そうなんですよ!矢口くんに神永くんに、高屋さんに天野さ」

「はいストップ」

「えー」

「えーじゃない」

 

 はかせカッターの切れ味がすごい。うーんフリーズドライ。

 …いちいち盛り上がっちゃう僕が悪いんだけどね。

 

「続けていいかしら?」

「はーい…」

「はいは伸ばさない」

「はいっ!」

 

 ピンッ!と丸椅子の上で背筋を伸ばすと、はかせははぁーっとため息をひとつ吐いてから、新しいタバコに火をつけた。

 

「ふぅー…私の所感だと、シンジくんって友達を作るには少し不向きな性格に見えたから」

「あ、意外ってそういう…」

「NERVでの様子だけ見てると、どうしてもね」

 

 …確かにシンくんは、対人関係についてはほんのちょっぴり難儀な子かもしれない。そこまで重い人見知りではないけど、人の顔色を伺いがちというか、遠慮しがちな感じというか。今朝もレイちゃんに食べたい物を聞かれて、僕はなんでもいいよ〜なんて曖昧に笑って、目を逸らしていた。

 …まだまだ日も浅いし、仕方がないけど、寂しいよね。

 

「…優しい子なんです。もっとワガママ言って、甘えてもいいのに、我慢して…とってもいい子で、賢い子です」

「そうね。でも臆病とも言えるわ」

「それはっ…そう、ですね」

 

 はかせのハッキリした物言いに、思わず言い返しそうになってしまったけど、我慢した。

 はかせははかせなりに、シンくんの事を慮ってくれている。あくまでエヴァンゲリオンの開発者、NERVの技術主任としての立場からではあるけど、それがはかせの仕事なんだ。チルドレンの精神性を客観的に把握する事は、エヴァの運用において最も重要とも言える事項。だから変に入れ込み過ぎない様に、フラットな目線を徹底してるんだと思う。

 そんなはかせの言葉なんだから、僕はしっかりそれを受け止めないといけない。肝に銘じないといけない。はかせの意見を正しくアウトプットしてチルドレンを導く事が、僕の仕事なんだから。

 でも、それってそんなに難しい事じゃない。簡単じゃないけど複雑じゃない、とってもシンプルな事。

 それは僕たちが、『家族』になるって事なんだ。

 

「明日はシンくんのお弁当に、おっきいハンバーグ入れちゃいます、ハンバーグ弁当」

「ハンバーグ?」

「はいっ!」

 

 お互いにお互いを思いやりながら、伝えたい事ははっきりと、甘えたい時は遠慮なく。与える愛情は、深く大きく真っ直ぐに。そんな優しい家族に、僕はなりたい。

 …なりたい、じゃない。なってみせる。というか、なっちゃうもん!なっちゃうもんね!

 

「シンくん、ちっちゃい頃の事はあんまり覚えてないみたいなんですけど、ハンバーグは昔から好きみたいで!」

「ストップ、ストップよ入江くん。ストップ」

「あ!もちろんレイちゃんには特製豆腐ハンバーグを!」

「ス ト ッ プ よ ?」

「はーい…」

 

 無念、はかせカッター斬鉄剣が如し。吸い終わったタバコをもみ消しながら、片手間にバッサリ斬り捨てられてしまった。試合終了です…

 

「はぁ…まったく、貴方と話していると自信を失くすわ」

「へ?」

「だって、そうじゃない」

 

 そう言ってはかせは、薄く口紅が塗られた唇を、ほんのちょっぴりツンと尖らせた。

 

「私も私なりにあの子たちを分析して、我ながら冷たい事も言っているつもりなのに。貴方ときたらいつもそうやってニコニコ受け取って、怒りも凹みもしないで、頑張ります、なんて言ってくれて。どうしてそんなに頑丈なのよ、貴方」

「えーっと…もしかして、褒めてくれてます?」

「部分的にそうね」

「部分的に!?」

 

 突然アキネイターと化してしまったはかせ。ぶすっとした不貞腐れた様な表情が、なんだかすごく子どもっぽくて、可愛くて。

 

「…ふふっ」

「?」

 

 真面目な話をしながらも、僕はこっそりドキドキしてしまった。

 

「はかせはかせっ」

「なにかしら?入江三尉」

 

 いつも以上にツンツンした声。三尉、だなんて。わざとらしく冷たい言い方をするはかせが、すごくかわいい。

 

「部分的にって事は、ちょっとは褒めてくれてるんですよね?僕のコト」

「ちょっとだけよ。あまり調子づかないで頂戴。鬱陶しいわ」

「わ、ひどい」

 

 つっけんどんに返して、そっぽを向いてしまうはかせ。

 …かわいい。かわいい人。ちょっぴりクールでこわいけど、とんがった針の向こうにある柔らかな優しさが、こんなにも温かくて、愛らしい。

 

「はかせって、なんだかヤマアラシみたいですね」

「…ヤマアラシ?」

 

 三本目のタバコを口に咥えたはかせが、訝しげに片眉をあげながらライターを点ける。

 ふわりと立ち昇った紫煙を眺めながら、僕は怒られないかとちょっぴり怯えながらも、ついつい想いのままに話してしまった。

 

「ヤマアラシってトゲトゲしてて、ツンツンしてて、ちょっぴりだけど、怖いでしょ?でもホントは優しい動物で、仲間や家族相手には針をぺた〜って倒して、すりすり〜ってくっつくんです!かわいいですよね!」

「……」

「戦うだけの動物じゃない、目に見える以上に優しくって、強い動物!」

「……」

「正にモア・ザン・ミーツ・ジ・アイズ!ねっ、ねっ!はかせにぴったりじゃないですか、ヤマアラシ!」

「ふぅー…っ」

 

 はかせは遮る様に紫煙を吐き出して、そのままクルリと椅子を回して後ろを向いてしまった。

 

「入江くん」

「はい!」

「なんで英語で言ったの?」

「好きなフレーズなので!」

「そう。これはアドバイスだけど、変に横文字を混ぜるのはやめなさい。逆にバカに見えるわ。バカにね。バカ」

「三回もバカって言った!?」

「すうー…」

 

 はかせは僕に背を向けたまま、背もたれにもたれかかってタバコを吸い込み、呟いた。

 

「ブザマね…」

「へ?」

「お疲れ様入江くん。今日は上がっていいわよ。一応、発令所にも顔を出しておくこと。いいわね」 

「はぁ」

 

 振り返ったまま顔を見せてくれないはかせ。もっとお話したかったけど、暗にもう帰れと言われてしまった。

 

「わかりましたっ!」

 

 でも、僕はちっとも悲しくない。あと一週間経てば、またここではかせに会えるんだから。

 

「ふふっ…♪」

 

 照れたらツンとそっぽを向いて、耳を真っ赤にしてヘソを曲げてしまうかわいい人。トゲトゲで愛らしい、ヤマアラシの様なこの人に。

 

「入江三尉」

「はーい!では失礼します、赤木博士!」

 

 ちょっぴり熱くなってしまった頬と、ドキドキと甘く高鳴る胸の鼓動を楽しみながら。

 僕ははかせの、僕と同じ色をした小さな後ろ髪に、またねのウィンクをこっそり贈った。

 

「…えへへ♪」

 

 

 

 つづくっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『緊急警報発令!総員第一種戦闘配置!』

「はえっ!?」

 

 

 

 …つづくっ!?

 

 

 

 






シャムシエルくん「ラブコメの波導を感じたので襲来しました。通してください」
ヘブンズドア「いやです…」



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