〜 連邦軍ベラクルス基地近辺 〜
「リュウ…佐…シリュウ少佐、敵襲です!」
ダカールから数日、高速連絡機で目的地に到着する直前の事であった。
「状況知らせ!」
突然の激震と部下の悲鳴にブランケットを跳ね除け、大きく揺れる椅子から立ち上がったシリュウは気だるい眠気を跳ね除けてコクピットに近付く。
「海中からのミサイル攻撃です、機体エンジントラブルで高度上げられません!」
「現行の高度を維持、回避行動任せる。ベラクルス基地に応援を要請しろ。」
「先程から呼び掛けてますが、通じないんですよぉ!」
ミノフスキー粒子を撒かれているのかとシリュウが合点したと同時にコクピットから見えるベラクルスの街灯から一点が大きく膨張し、空気の振動が走る。
なんということだ、基地までもが攻撃を受けている。
終戦協定が結ばれはしたが一年戦争後もジオンとの戦争は終わりなどしていない。
その一因はティターンズの作戦行動が完全に対エゥーゴにスイッチしたこととそのエゥーゴとカラバ含め反連邦組織の奥に巨大な軍需産業が奴等に餌をバラ撒いているからに他ならない。
だからこそ、情勢の混乱に乗じたテロ攻撃を18mの機動兵器で行えるのだ。
「機をベラクルス基地に近付けろ!」
「いえ、あの…しかしここはベラクルス基地から離れるべきでは…」
「そんなに水中用MSに追い掛け回されたいのか?貴様らも機を預かる者なら操縦桿から手を離すんじゃない、やれ!」
ベラクルス基地近辺の散発的な爆発は次第に間隔を狭めている。
ベラクルス基地が反撃に転じているなら味方の支援を受けられる可能性にかけたいところだが…
不意に連絡機のコクピットを強力な雷光、いやメガ粒子が掠めていった。
残党のズゴックタイプは今の一撃が外れた事を視認すると海上からせり出し巨大な岩礁に着地するとそれを踏み台にシリュウが乗る連絡機に向けて大きくジャンプした。
ズゴックタイプがメガ粒子の砲口を連絡機に向けたとほぼ同時に基地方向から発射されたビームが右脚部を貫き、高度とバランスを維持出来なくなった機体の四肢をバタつかせながら海上の岩礁に激突し、数秒後に爆炎を噴き上げた。
「あぁ、ザクだ!」
やかましいパイロットに内心呆れながら、シリュウは不安定なSFS上から狙撃したハイザックの腕に感心していた。
基地の方を見やると、爆発が収まった事から大方片付いた事が粗方予想できた。
ハイザックは慣れた機動で連絡機に並ぶとモノアイをこちらに向け光信号を瞬かせた。
滑走路までのエスコートをしてくれるらしい。
しかし連絡機のパイロットの気持ちもわからなくはない、確かに近くで見れば見るほどハイザックの姿はシリュウの脳裏に悪寒を走らせた。