桜才学園での生活   作:猫林13世

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色々ヤバいです……


萩村、陥落?

 午前中だけで森さんは大分海に潜ったり浮く事が出来るようになった。五十嵐さんも足を攣る恐怖を克服したのか、普通に泳ぐ事が出来るようになった。まぁそれでもまだおっかなびっくりな感じはするのだけども。

 

「津田! じゃなかった、タカトシ! 偶には私たちも構え!」

 

「そうだよ~。カエデちゃんやサクラちゃんばっかズルイよ!」

 

「タカ君と遊びたいのは私たちも一緒なんですからね!」

 

「あの、俺は別に遊んでは無いんですが……」

 

 

 森さんや五十嵐さんが普通に泳げるようになれる手助けをしているだけで、海に来てから今まで「遊んだ」のかどうか俺には分からない。少なくとも、自分の感覚では遊んだ覚えは無いのだ。

 

「タカ兄ー! 一緒に遊ぼうよー!」

 

「お前もか……」

 

 

 ビーチから大声でコトミに呼びかけられ、俺はがっくりと肩を落とす。俺が遊んでるように見えるのなら、眼科か脳外科に行くことをお勧めする。それでなくても思春期全開で如何にかしてほしいのに。

 

「いや~津田副会長はおモテになりますね~。『津田副会長のイケナイハーレムの実情』って記事を作ってもよろしいでしょうか? ……駄目ですよね、ハイ」

 

 

 いきなり現れた畑さんに、視線を向けただけでくだらない提案を自分から却下してくれた。それは良いんだけども、俺そんなに睨んでないよな?

 

「タカトシさんも大変ですね」

 

「サクラさんだって普段はカナさんの相手をして大変なのでは?」

 

「ですが、私はカナ会長だけですので。タカトシさんのように大勢の相手をしろ、って言われたらすぐに根を上げますよ」

 

「そんなものですかね……畑さん、今のメモは回収しますので」

 

 

 メモには『津田副会長は複数の女性を相手にしている』と書かれている。ある意味では間違って無いのだけども、この人の場合は真実から大きくかけ離れた記事にするのだ。

 

「とりあえず、午後は会長たちと遊びますので、今は大人しくしててください」

 

 

 視界に横島先生と出島さんが入ったが、いい大人なので放っておく事にした。例えビーチでナンパして若い男性を襲っているのだとしても、見なかった事にするのが一番精神的に良いのだ……それが現実逃避だと分かっていてもである……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前中の津田は、五十嵐先輩と森さんに付きっきりだったが、午後は私たちと遊んでくれるらしい。別に嬉しい訳ではないけども、ずっとコトミちゃんの相手ばかりしてきた私としては、津田が側にいてくれるだけで楽が出来るのだ。主にツッコミで。

 

「スズ先輩、顔がにやけてますよ?」

 

「そんな事無いわ」

 

「いや、スズはにやけてるぞ! そんなにタカトシの側にいられる事が嬉しいのか! この淫乱ロリッ子め!」

 

「誰がロリだ! この貧乳会長!」

 

「まぁまぁ、スズちゃんがロリなのもシノちゃんが貧乳なのも事実だけど、不毛な争いは止めた方がいいと思うよ?」

 

「「よっし、喧嘩しようじゃないか!」」

 

 

 七条先輩の悪気の無い毒に私と会長は反応した。本当に悪気が無いのか、それともわざと言っているのかは分からないけども、毒である事には間違いないのだから。

 

「相変わらずだな……何で仲良く出来ないんですか」

 

「だって! アリアがいじめるから!」

 

「そうよ! 私は断じてロリじゃないんだから!」

 

「そうですよね~」

 

 

 まさかコトミちゃんが味方してくれるとは思って無かったわ。意外と良い子なのかしら?

 

「スズ先輩はタカ兄でオ○ニーする変態さんですものねー。ロリじゃないですよねー」

 

「なっ!? 何言ってるんだ、このおバカ娘がー!!」

 

 

 いらん事を言いだしたコトミちゃんを全力で追いかける。背後から津田の冷たい視線が突き刺さってるけども、今はそれに反応している余裕は無い。

 少し離れたところでコトミちゃんを捕まえて、私はお説教を開始した。

 

「なんて事を言うのよ! 私が何時そんな事をしたって言うのよ!」

 

「昨日トイレでしてましたよね? スズ先輩の後に入ったら雌の匂いが充満してましたよ?」

 

「だ、誰が雌よ!」

 

「した事は否定しないんですか?」

 

「………」

 

「黙っててあげますから、お説教は勘弁してほしいですねー」

 

「……分かったわ」

 

 

 まさかコトミちゃんに屈服する日が来るとは思って無かったわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まともだと思っていた萩村が、最近会長たちに毒されている……その事は何となく気づいていたが、まさかコトミの影響まで受けていたとは……

 

「桜才学園生徒会はもう駄目だな……」

 

「英稜も似たような感じですので……」

 

「でも、酷いのは魚見さんだけですよね?」

 

「他の二人は会長のボケにも反応しませんし……ほったらかしなので」

 

「森さんもそうすればいいのでは?」

 

「変な空気のまま仕事をしたくないんですよ……」

 

「あっ、それ分かります」

 

 

 お互い苦労しているので、森さんとは話が合う。まぁ合う事を喜べばいいのか、自分たちの境遇を哀しめば良いのかは微妙なところなのではあるが……

 

「でも、津田さんの様に生徒会メンバー以外にもあれがいるというのは大変でしょうね」

 

「もう慣れました……慣れたくは無かったですけど」

 

「分かります。私も会長の相手は慣れてしまいましたので……慣れたくは無かったですが」

 

 

 会長、七条先輩に加えて萩村も毒されて、生徒会はこれで全員がボケとなった。それに加えて横島先生を筆頭に畑さん、轟さん、コトミ、出島さんと、俺の周りにはまだまだボケが大勢いるのだ。最近は五十嵐さんもそっち側なのではないかと思い始めているのだが……

 

「唯一の救いは、後輩にツッコミが出来る子がいる事ですかね。まぁその子はドジっ子なんですが……」

 

「それってツッコミとして成立してるのですか?」

 

「微妙ですかね……まぁ、もう一人いますし」

 

 

 八月一日さんはまともなはずだし、時さんだってコトミに対しては鋭いツッコミを入れている。ただ二人とも、ちょっとだけズレている時があるんだよな……特に八月一日さんは、俺の前では酷いし……

 

「仕方ない、と言ったらそれまでなんですけどね」

 

「? 何の事ですか?」

 

「さぁ、何でしょうね」

 

 

 テキトーにお茶を濁し、俺は萩村に執拗に言い寄っているコトミに拳骨を振り下ろす。この旅行中に、萩村が道を踏み外さないように注意して見てなければな……最終的には全部俺の負担になるんだろうし……




心のよりどころが……このままではマズイ……

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