桜才学園での生活   作:猫林13世

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?付きですが、そんな感じです


ラブコメ展開?

 散歩に出かけたスズ先輩が部屋に戻ってきた。何だかかなり嬉しそうな顔をしているけども、外に何があったんだろう?

 

「スズ先輩、ナンパでもされたんですか?」

 

「は? 何よいきなり」

 

「だってスズ先輩、嬉しそうでしたので。ロリ好きの変態紳士にでも出会ったのかと思いまして」

 

「その思考回路、焼き切れればいいのに」

 

 

 呆れたように吐き捨てるスズ先輩。心なしかツッコミのキレが復活してるようにも感じますね……と言う事は……

 

「スズ先輩、タカ兄に会いましたね」

 

「何でそう思うの?」

 

「だってツッコミのキレが上がってますし、スズ先輩の周りでツッコミ上手でスズ先輩が喜ぶ相手って言えばタカ兄しかいませんし! サクラ先輩って可能性もありますが、スズ先輩がレズじゃない以上タカ兄かなって」

 

「……その頭脳、何故勉強に使えないのかしら」

 

 

 どうやら正解だったようだ。それにしても、スズ先輩のあの目……タカ兄が偶に見せる蔑みの目にそっくりじゃないか……

 

「もっと罵ってください! ロリッ子に罵られるこの快感!」

 

「ロリって言うな! この変態!」

 

「あーん! もっと言ってくださーい」

 

 

 新たな快感に目覚めた私は、暫くスズ先輩に罵ってもらうように行動してました。そしたらタカ兄にバレて拳骨と憐れみの目を向けられてしまったのです……これがまた最高に気持ち良かったんですよね~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三日目となり、私も五十嵐さんも少しは泳げるようになりました。それでもまだ、足のつく範囲でなのですがね。

 

「足が付く範囲なら、プールで泳げるかもしれませんね」

 

「プール? 確かにそうかもしれませんが、それで満足してはいけませんよ」

 

「分かってます」

 

 

 慢心しているわけではないのですが、津田さんの言葉に私は肩を竦めました。なかなかに厳しい人なんですよね、津田さんって。

 

「ところで、五十嵐さんはどこに行きました?」

 

「え? ……そう言えば姿が見えませんね」

 

 

 さっきまですぐそばにいたはずの五十嵐さんの姿が消えていたのです。もし溺れたりしていたら津田さんが気づかないはずも無いのですが……

 

「あっ、いましたね」

 

「何処です?」

 

「あそこで畑さんとコトミに絡まれてます」

 

 

 津田さんが指さした方向に、五十嵐さんの姿がありました。どうやらお手洗いに行った帰りに畑さんとコトミさんに捕まってしまったようですね。

 

「……ところで津田さん」

 

「何でしょう?」

 

「昨日の事ですが、そんなに気にしないでくださいね?」

 

「昨日の事? ……ッ! 考えないようにしてたんですから、思い出させないでくださいよ」

 

 

 焦る津田さんを見て、私は少し可愛いと思ってしまいました。普段冷静で何事にも動じない津田さんが、こんなにも慌てるなんて思ってもみなかったからです。

 

「天草会長や魚見会長には悪いですけどね」

 

「? 何か言いました?」

 

「いえ、何でもありませんよ」

 

 

 まだ勝ちを宣言するところまでは進展してませんけど、これは明らかに数歩リードしたと言う事ではないでしょうか。付き合いが一番短い私ですが、ここまで進展しているのは他の誰でも無く私なのですから。

 

「タカトシさん」

 

「はい? 何ですかサクラさん」

 

 

 こうやって自然に名前で呼ぶ事も出来る。仕掛けたのは天草会長だけども、こうやって突っかかる事も恥ずかしがる事も無く自然に名前を呼び合えるのもこの旅行で私と津田さんが仲良くなった証拠だろう。

 

「私たちもビーチに行きませんか? みんなで遊ぶのも楽しいですよ」

 

「そう……ですね。また会長たちに文句言われる前に交ざりますか」

 

「はい!」

 

 

 ビーチに向かう途中、どさくさで津田さんに抱きついてみたら、少し慌てつつも津田さんはしっかりと私の事を抱きとめてくれました。津田さんの胸に押し付けた私の耳には、津田さんの鼓動がハッキリと聞こえていたのでした。

 

「ドキドキしてますね」

 

「そりゃ……俺だってしますよ」

 

「ふふ、タカトシさんも男の子ですものね」

 

「ええ……サクラさんのように美人さんに抱きつかれればドキドキもしますよ」

 

「っ!」

 

 

 津田さんをからかおうとしたらカウンターでからかわれてしまった……これが素面で言われたのならそれほどダメージは無かったでしょうが、少し顔を赤らめて視線を逸らしながら言われた所為で、ダメージ倍増なのです。まさか津田さんがこんな表情をするとは思ってませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前でラブコメ展開が繰り広げられそうになったので、私はビーチボールを津田と森に打ち込んだ。

 

「不純異性交遊は禁止だ!」

 

「別にそんな事してませんよ」

 

「そうですよ。ちょっと足がもつれて津田さんの方に倒れてしまっただけです」

 

 

 絶妙な言い訳で、これ以上ツッコメば私の脳内が思春期だからそう見えただけだと言う事にされてしまいそうだった。さすがツッコミコンビ、どうやれば躱せるかを弁えているな……

 

「シノちゃん。チーム戦で勝負するんじゃなかったの~?」

 

「そうだったな! ではチーム分けをするが……」

 

「私はカメラ専門ですので」

 

「ではこれで偶数になったな!」

 

 

 私とカナ、アリアと五十嵐、コトミ、萩村、そして津田と森。畑が抜けた事で八人となり、トーナメント表も作り易くなった。

 

「ところでスズ先輩、ちゃんと届きます?」

 

「大丈夫よ……多分」

 

「では今回はあみだくじで決めるぞ! 一人一本線を書き入れて場所を選べ!」

 

 

 これなら津田と同じチームになれる可能性だってあるはずだ!

 

「結果発表でーす」

 

「まずは私とシノちゃんペア」

 

 

 どうやらこの世界に神は存在しないようだった……

 

「スズ先輩とサクラ先輩ですね」

 

「コトミちゃんはカナさんとだねー」

 

「て事は、タカ兄はムッツリ先輩と……あだ!?」

 

 

 五十嵐をムッツリと呼んだコトミに、津田の鉄拳が振り下ろされた。だがコトミは恍惚の表情をしているので、津田は呆れたようにコトミから離れて行った。

 

「運動神経は全員問題ないから、ハンディは無しで良いよね?」

 

「待って下さい、アリア先輩! スズ先輩の身長を……あで?」

 

 

 今度は萩村に脛を蹴られたコトミ。今度は純粋に痛がっているが、津田と萩村とでその差はいったい……

 とりあえずハンディは無しに決まり、最初の戦いは私たちとカナ・コトミチームとなった。決勝で津田に勝って何としてでも見返さなければな!




明らかに二人がリードして、萩村も一歩他よりは前進、って感じですかね

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