桜才学園での生活   作:猫林13世

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連続でいきます!


修学旅行 1年生編

「おかしいわね」

 

 

生徒会室に来たら、萩村がドアの前で唸っていた。

 

「如何かした?」

 

「七条先輩から預かった鍵、このドアのじゃないみたいなのよ」

 

「ちょっと見せて」

 

 

萩村から鍵を受け取り、鍵穴を覗き込んで型を確認する。確かにこのドアの鍵じゃ無いようだ。

 

「いったい何の鍵なんだろう」

 

「これじゃあ仕事出来ないわね」

 

「どっちかの家でする?」

 

「各自、家ですれば良いでしょ」

 

「そうだね」

 

 

生徒会室に入れないので、今日の仕事は各自が家で処理する事になった。こんな時間に家に帰るのは久しぶりだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、やるか!」

 

 

部屋の机に向かい、生徒会の仕事を始めようとしたら……

 

「タカ兄、お母さんが餃子包んでってさ」

 

「え、俺生徒会の仕事が……」

 

「よろしくー」

 

 

何だよ……せっかく人がやる気だしたって言うのに。思いっきり出鼻を挫かれたぞ……

 

 

 

 

 

 

「我ながら見事な包み具合だ!」

 

 

結局餃子を包んでしまった……まあ、俺も食べるから良いんだけどね。

 

「タカ兄、次はお風呂掃除だって」

 

「お前が言われたんじゃ……」

 

「よろしくー」

 

「おい!」

 

 

コトミのヤツ、絶対に俺じゃ無くって自分が頼まれたんだろ……

 

 

 

 

 

 

 

「汚れなく、綺麗になった!」

 

 

こっちも結局掃除しちゃうんだよね……

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今度こそやるぞ!」

 

 

夕飯を食べ、今度こそ生徒会の仕事に取り掛かろうとしたら……

 

「タカ兄ぃ」

 

「今度は何だ!」

 

 

見計らったようにコトミが部屋を訪ねてきた。若干涙目なのは何故だ……

 

「部屋の模様替えしようと思ったら……」

 

「何で今、しようと思ったんだ……」

 

 

コトミの部屋はグチャグチャに散らかっていた。

 

「明日、小テストがあるの……それで気分転換にと思って……」

 

「ちゃんと勉強しろよ……」

 

 

現実逃避のために模様替えをしようとしたのか……現実はそんなに甘くないんだぞー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わった」

 

 

結構あった書類だったけど、私の手にかかればこんなものよ!

 

「津田はちゃんとやってるんでしょうね?」

 

 

真面目だけど、何処か抜けてるのよね。津田って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、何でこんなに終わってないの!」

 

「ゴメン……」

 

 

結局あの後2時間くらいコトミの部屋の片付けをして、その後少しは仕事をしたんだけど終わらなかった。萩村はさすがに全部終わってるみたいで、俺は素直に怒られているのだ。

 

「何か理由でもあるの?」

 

「言っても言い訳にしかならないよ……」

 

「いいから」

 

 

萩村に促され、俺は昨日あった事を素直に話した。

 

「……なんて言うか、アンタって不運なのね」

 

「同情してくれてありがと……」

 

「でも、これじゃあ今日も同じ事になりそうね……」

 

「教室に残ってやってくよ」

 

「また何か起こるわよ?」

 

「ありそうだね……」

 

 

先輩たちは居なくても、まだあの先生が居る。

生徒会顧問横島ナルコ先生。今、この学園の中で1番問題のある人だ。

 

「それじゃあ私の家に来る?」

 

「萩村の?」

 

「私の家なら資料もあるし、誰にも邪魔されないと思うけど?」

 

「そうだね……それじゃあお邪魔します」

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 

萩村と一緒に教室を出て下駄箱に向かう。それにしても、女の子の家って初めてかも知れないな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、コンビニ寄っても良い?」

 

「良いけど」

 

「ルーズリーフがきれてたの忘れてたわ」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

萩村の家に向かう途中、コンビニに萩村が寄った。俺が悪いんだから、そこまで気にしなくても良いのにな……

 

「スミマセン(スペイン語)」

 

「ん?」

 

 

何か話しかけられてるんだけど、何を言ってるのか分からない……英語と日本語し分かんないよ……

 

「津田、如何したの?」

 

「萩村。多分道を聞かれてるんだろうけど、英語じゃ無くて分かんないんだ」

 

「あれはスペイン語ね。任せて」

 

 

そう言って萩村は男性にスペイン語で対応し始めた。やっぱり天才なんだな……

 

「ありがとう、お嬢ちゃん(スペイン語)」

 

「私はお嬢ちゃんじゃなーい!」

 

「!?」

 

 

いきなり日本語で騒ぎ出した萩村に、ちょっとビックリした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が私の家よ」

 

「デカイな~」

 

 

コンビニから少し歩いて、萩村の家に着いた。

 

「お帰りなさ~い」

 

「お邪魔します」

 

 

お母さんだろうか。萩村に似ている女性が奥から現れた。

 

「……娘が何時もお世話になってます」

 

「タメだよ!」

 

 

萩村って、家でもこんな扱いなんだ……

 

「上がって」

 

「ああ、お邪魔します」

 

 

リビングに通され、萩村は着替えるために部屋に向かった。つまり此処で待ってろって事か…… 

リビングの柱には、何かを測ったような傷跡がある……萩村も容姿相応な事を……ん?

 

目標

 

 

泣ける……

 

「お待たせ」

 

「え、ああ」

 

「?」

 

「それじゃあ仕事しよっか」

 

「そうね。こっちよ」

 

 

萩村の後ろについていき、階段を上がって部屋に通される。

 

「………」

 

「………」

 

「「ボケる人が居ないと、調子狂う」」

 

 

まさか萩村と同じ事を思ってたとは……

 

「そう言えば、萩村の私服姿って初めて見たかも」

 

「ちなみに、そこらへんの服じゃ無いわよ」

 

「ブランド品?」

 

「すべてオーダーメイド!」

 

「そっか……」

 

 

涙が出てきそうなのはキット気のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはあの資料がいるわね……」

 

 

萩村が椅子を引っ張ってきて高い場所を探している……探しているんだけど……

 

「ふー!」

 

「萩村?」

 

「手出し無用!」

 

「そうじゃなくって、高さあわせるから、一旦降りなよ」

 

「え?」

 

「俺が取るなんて野暮な事しないから」

 

「あ、ありがとう……」

 

 

ん?何で萩村の顔が赤くなってるんだ?

 

「え、っとっとっと……」

 

「萩村?」

 

 

バランスを崩し、萩村が俺の上に降ってきた。見た目通りなので、そこまで重くないが、これを誰かに見られたら誤解されそうだ……

 

「津田君、何か食べたいものは……」

 

 

何でこうタイミング良く現れるのかな……

 

「………」

 

「あ、あの。これは、その……」

 

「もう、満腹かー!」

 

「「他に言う事あるだろうがー!!」」

 

 

こうして色々あったが、何とか仕事も終わり、明後日には会長たちも戻ってくるから、生徒会室の鍵も見つかるだろう。

 

「何だか悪かったわね……」

 

「気にしないで良いよ。元はと言えば、俺が仕事を終わらせられなかったのが原因だし」

 

「そっか……」

 

「萩村?」

 

「何でもない///」

 

「そう?」

 

 

顔が赤い気がするけど、それを指摘すると怒られそうだから止めとこう。

こうして先輩たちの居ない生徒会はしっかりと仕事を終え、問題無く生活出来た……いや、何か面倒な事になった気もするんだよな……




スズフラグも建ちましたね……2年生編で完全にアリアがタカトシの事を意識してますが、スズはまだ気付いていません。
これから如何なるのか……お楽しみに。

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