桜才学園での生活   作:猫林13世

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またしても甘い展開に……


今日の予定

 生徒会室で作業していたのだが、急激に眠気が襲ってきた。生徒会長として、欠伸など出来ないが眠いと思ってしまうのは仕方ないだろう。

 

「眠い……」

 

「何かモノを噛めば眠気は覚めますよ」

 

「なるほど」

 

 

 何か噛むのに適したモノは……

 

「はむっ」

 

「きゃ!?」

 

「噛むモノはちゃんと選ばなきゃ駄目だな! 全然効果無かった」

 

「そもそも何で七条先輩の耳を噛んだんだよ……ガムとかあるだろ」

 

 

 そういって津田は、生徒会室に常備されているガムのボトルを指差す。

 

「だって、それ刺激が強すぎるだろ? 絶頂してしまったらどうするんだ」

 

「なに言っちゃってるの……」

 

 

 呆れながら自分の席に着く津田。これから会議だからな、しっかりとしなければ!

 

「アリア、今日の予定を教えてくれ」

 

「いいよ~。この後、体育館で朝会、お昼に予算委員会、放課後には進路説明会……あと危険日」

 

「うむ、分かった」

 

「最後のって、必要だったの?」

 

「俺に聞くなよ……」

 

 

 アリアの予定は完璧だったはずなのに、津田と萩村は首を傾げていた。何がそんなに気になったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予算委員会が終わり、とりあえず教室に戻ろうとしたら萩村が足を捻ってしまった。

 

「大丈夫か?」

 

「なんとか……」

 

「津田、萩村を保健室まで連れて行け」

 

「分かりました」

 

 

 会長に指示されなくてもそのつもりだったけども、足を捻ってしまったのだから、萩村自身に歩かせるのは良くないだろうな……

 

「萩村、おんぶするから背中に乗ってくれ」

 

「いやでも……私スカートだから、おんぶはちょっと」

 

「ならだっこだな」

 

「分かりました、だっこですね」

 

 

 会長に言われ、俺は萩村を抱きあげる。相変わらず軽くて助かるよな、萩村は……ん?

 

「萩村、何か言いたそうだけど?」

 

「別に……どうせ私にはお姫様はつきませんよーだ」

 

「何不貞腐れてるんだよ……」

 

 

 小声で何かを呟いたようだが、会長には聞こえなかったようだ。だけど萩村とある意味密着している俺には、ハッキリと萩村が何に不貞腐れているのかが聞こえた……確かにお姫様だっこだけどもさ、別に今はそんな事気にしなくても良いんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏休み以降、タカ君と会う機会がめっきり減ってしまった。そりゃ高校が違うんだし、タカ君は学年も下だから勉強の事で相談、なんて名目も使えない。それでもバイトなどで会えるのだけども、最近では同じシフトという事も減っているので、仕事終わりに一緒に何処かへ……などというイベントフラグも建てられないのだ。

 

「カナ会長、さっきから作業の手が止まってますけど、なに考えてるんですか?」

 

「サクラっち……いえ、ちょっとエロい事を」

 

「はぁ……余計な事考えてる暇なんて無いんですから、真面目に作業してください」

 

「冗談です。ちょっとタカ君の事を考えてました」

 

「タカトシさんの事を? 何故今タカトシさんの事を考えていたんです?」

 

「最近私とタカ君の絡みが減ってるので」

 

 

 メタ発言かもしれないけど、出番も減ってる気がしますし……

 

「でも私、この間タカトシさんと一緒に甘味処にいきましたよ?」

 

「なんですかそれ! 会長、聞いてませんよ!」

 

「え、ええ……言ってませんし」

 

「それってタカ君とサクラっちがいちゃいちゃデートを……」

 

「バイト終わりで立ち寄っただけです」

 

「そうですか。まだタカ君の貞操は守られているんですね」

 

「なに言ってるんですか!」

 

 

 サクラっちは意外とこういった直接的な表現を嫌いますからね。これで上手く誤魔化せるでしょう。

 

「とにかく、私ももう少しタカ君との時間がほしいんですよ」

 

「なら今日のバイト終わりにでも誘えばいいじゃないですか」

 

「私は今日お休みです。そんな事を言えるのは、サクラっちがタカ君と同じシフトだからですよ」

 

「……何かごめんなさい」

 

 

 サクラっちに頭を下げられて、私は複雑な思いに陥った。謝られたはいいが、これは何に対する謝罪で、私はなんと答えればいいのだろうか、と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カナ会長とのやり取りをタカトシさんに話したら、タカトシさんは呆れたような顔をしました。

 

「英稜の生徒会でも、仕事は捗らないんですね」

 

「英稜でもって……桜才でも何かあったんですか?」

 

「ええまぁ……」

 

 

 ため息を吐いてからタカトシさんは今日あった桜才生徒会のやり取りを教えてくれた。

 

「さすが天草さんですね……七条さんもですけど」

 

「放課後の横島先生とのやり取りも、くだらないと一蹴してやりましたけどね」

 

 

 天草さんが生徒会顧問である横島先生に「休日は何をしているか」との質問をしたらしい。その答えは「寝ている」だったのだが天草さんは――

 

「誰とですか?」

 

 

――と繋げたらしい。

 

「布団で寝てるだけだと思ったんですけどね、俺は」

 

「普通はそう思いますよ。私だってそう思いますし」

 

「やっぱり会長がぶっ飛んでるのか」

 

 

 改めてそう思ったのか、タカトシさんが盛大にため息を吐いた。私もですけど、高校生がこれほどため息を吐かなければいけないなんて、生徒会って大変なんだなーって改めて思います。

 

「サクラさん、大変なのは生徒会の仕事ではなくツッコミです」

 

「ですよねー……薄々分かってましたけど」

 

「今度何処かで発散しに行きましょうよ」

 

「良いですよ。カラオケとかどうです?」

 

 

 今度はタカトシさんからナチュラルに誘ってくれ、私もナチュラルに行きたい場所を指定する。これではカナ会長が言ったように「いちゃいちゃデート」に見えても仕方ないかもしれませんね。




メタ発言したら、今号にウオミーが出てた……

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