桜才学園での生活   作:猫林13世

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アニメでは畑さんのモノマネが面白かったですね


ミス・桜才コンテスト

 新聞部主催で行われるミス・桜才に、成り行きで私たちも出場する事になってしまった……こういった催しに参加するのは不本意だが、出るからにはトップを目指したいな。

 

「水着の衣装もありますが、着ますか?」

 

「着るわけないだろ!」

 

「そうですよ! 時期を考えて下さい、もう十月ですよ!」

 

 

 私の反対に萩村が続いた。コイツもなんだかんだでノリが良いし、優勝目指してるんだろうな……

 

「この時期は無駄毛の処理が疎かになってるんだぞ!」

 

「そうだ……あれー?」

 

 

 私の反論に続こうとした萩村だったが、どうやら私の意見は予想外だったようで、首を傾げて私の方を見ていた。

 

「そうですか……残念です。せっかくポロリも計画してたんですが……」

 

「全校生徒の前でポロリなど出来るかー!」

 

「安心してください! 記事にするつもりでしたので、全校生徒の前で無くても知れ渡りますから!」

 

「津田に頼んで、新聞部の活動は無期限停止処分にしてもらおうかしら」

 

「それだけは許して下さい!」

 

 

 本来部活動の処分などの決定権は会長である私にあるのだが、私が言い渡すより津田が言った方が効果があるだろう、という事で今年から副会長権限になっているのだ。

 

「あら? 会長に萩村さんも」

 

「五十嵐! お前も参加するのか?」

 

「ええ、まぁ成り行きで……」

 

「えー、ノリノリで参加してくれたんじゃないのー?」

 

「当たり前です! 誰がこんな破廉恥な催しに自分から参加するんですか!」

 

「破廉恥って……五十嵐、こんなのただのミスコンだぞ? 何を指して破廉恥だと言いきってるんだ?」

 

 

 どこの高校でも似たような事は開催されているし、別に特別破廉恥な事は無いと思うんだが……

 

「畑さんの計画では、水着審査も行われるようでしたし」

 

「それは全力で却下したから安心しろ」

 

 

 どうやら水着審査は畑の計画だったらしいな。まぁ畑以外の新聞部の連中がこんな事考えつくはずもないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ君と合流して早々、新聞部主催のミス・桜才コンテストを見学する事になった。タカ君はあまり乗り気では無かったけど、生徒会のメンバーが参加するんだからと説得して、何とか会場に来てもらったのだ。

 

「あれ? タカ兄じゃん! 珍しいね、こんな場所に」

 

「俺は来るつもりじゃなかったんだが……魚見さんが乗り気で仕方なく」

 

「ふーん……カナ会長も好きですねー」

 

「コトミちゃんほどじゃないですよ。あっ、これ借りてたゲームです」

 

「どうでした?」

 

「なかなかでしたけど、私的にはもう少しハードでも良いかなと思いました」

 

「なるほどー……でも、あれ以上ハードだと、もうSMじゃないと思うんですけどね」

 

 

 コトミちゃんから借りていたゲームの話をしていたら、タカ君とサクラっちが同時にため息を吐いた。この二人は桜才・英稜の良心と言っても良い存在ですので、何かと苦労が絶えないんでしょうね。まぁ、その最たる私が思う事ではないと思うのですが。

 

「天草さんに七条さん、萩村さんに五十嵐さん……知り合いばかりのミス・桜才コンテストですね」

 

「畑さんがかき集めた参加者ですからね……」

 

「おっと」

 

「? コトミ、何処か行くのか?」

 

「へっへー」

 

 

 いきなり立ち上がったコトミちゃんは、そのままステージの方へ歩き出した。

 

『エントリーナンバー5番。津田副会長の妹さん、津田コトミさん!』

 

「はっ?」

 

『いえーい! タカ兄、みてるー?』

 

「みてなーい!」

 

 

 タカ君が律儀に返事をしていましたが、返事をしてる時点で見てるのではないのかとも思いました。まぁ、私はツッコミでは無いので言いませんでしたが。

 

『色々あってエントリーナンバー14、桜才学園教師、横島ナルコ!』

 

「なにやってるんだ、あの人は……」

 

『先生は教師の中で唯一の参加ですね』

 

『そうなのよー!』

 

『ミスコンに出てる暇があるなら、ミセスになる方法でも考えては?』

 

『喧嘩売ってんのか、おい!』

 

「壇上で何やってるんだよ、まったく……」

 

「でも、横島先生ってこういうの好きだったんですね」

 

「見たまんまだと思いますけどね……」

 

 

 参加者最後だった横島先生の紹介が終わり、新聞部部員が私たちに一枚の紙を配りだした。男子だけではなく女子の票も有効のようで、私とサクラっちの分もあった。

 

『それではー、今配った紙に「この子に入れたい!」という名前を書いてください! あっ、ちなみに票の事ですよ? 間違ってもあっちの方じゃ……』

 

『そんなの、言われなくても九割の人間は分かってるだろ』

 

『そこは十割じゃなきゃ駄目よ』

 

「なに言ってるだ、アイツらは……」

 

「タカトシさんがいないから萩村さんがツッコミなんですね」

 

「そもそも、何で会長と萩村の声までマイクが拾ってるんですかね……」

 

 

 タカ君は呆れながらも、投票用紙に誰かの名前を書いて投票箱に入れた。ちなみに、私はシノっちの名前を書いて投票したんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 集計が終わったようで、畑さんが再び檀上に戻って来た。

 

『それではー今年のミス・桜才を発表したいと思います』

 

 

 ノリノリでドラムロールなんて流して……あと何で回ってるんだ、あの人は?

 

『今年のミス・桜才は、天草シノ会長です』

 

 

 やっぱり目が回ってるし……余計な事をするから大変な目に遭うんですよ……

 

「タカ君は誰に入れたの?」

 

「俺ですか? 俺は家族の好でコトミに。ゼロ票だと可哀想でしたので」

 

「サクラっちは?」

 

「私は五十嵐さんに」

 

「そうですか。ちなみに私はシノっちです」

 

「会長の好で、ですか?」

 

「いえ、シノっちは胸が無いので、せめて投票数くらいは多い方が良いかなと思っただけです」

 

 

 この人は……本人が聞いたらぶち切れそうな事を平然と言い放ったよ……

 

『ちなみに、二位は七条アリアさん、三位は津田コトミさん、僅差で五十嵐カエデさん。最下位は横島先生のゼロ票ですね』

 

「うわぁ……あの人ゼロなんだ」

 

「コトミちゃん、意外と人気で心配ですか? お兄ちゃん」

 

「いえ、あの変態娘を貰ってくれるなら、喜んで差し出しますけどね」

 

 

 じゃあお情けで票を入れる必要は無かったんだな。理由はどうあれ、コトミが人気者である事が分かっただけでも、この企画の意味はあったんじゃないかと思っている。本当に、理由はどうあれだがな。




酷い結果だ……

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