先輩たちが京都から帰ってきて、再び4人で生徒会の仕事をする事になった。
「修学旅行のお土産だ」
「ありがとうございます」
あれ?昼休みに呼ばれたのって、お土産を渡すためだったの?
「それで、津田になんだが……その、異性にお土産を渡すのが初めてでな。君の好みにあうかどうか……」
「別に気を使わなくとも、心が篭ってればなんでも良いですよ」
異性だからって別段気にしなくても良いのに……会長も意外と初心なんだな。
「そうか。ならこの、『舞妓のおしろいは白濁液』と言う小説を……」
「悪意が篭ってますね……」
何の嫌がらせなんだか……
「それじゃあ津田君、これは私からのお土産よ」
「ありがとうございます」
七条先輩から手渡されたのは紙袋……何でこれだけで嫌な予感がするんだろうか……
「えーっと……布?」
「それは、私が修学旅行初日につけてたブラジャーとパンティーよ」
これをもらって如何しろと?
「シノちゃんの小説でムラムラして、私の下着でスッキリしてね♪」
「さすがアリアだ。お土産にもユニークさを忘れないとはな!」
「あんたら順番に説教だよ!」
当然受け取れないので返した。……萩村の視線が鋭くなってるのは気のせいだと思いたい。
昼休みは津田君に怒られちゃったけど、私はしっかりと見ていた。私のブラジャーをまじまじと見ていた――
「大きかったですね……」
「ああ、初日に見てへこんだぞ……」
――スズちゃんとシノちゃんの姿を!
「そう言えば私たちが居ない間、何も無かった?」
「七条先輩から預かった鍵がこの部屋のじゃ無かったので、それぞれの家で仕事しましたが、それ以外は大した事は無かったですね」
「スズちゃん、本当?」
「……ええ///」
スズちゃんの顔が赤くなった。これはつまり……
「津田君!」
「はい?」
「私たちが居ない間、スズちゃんと何があったの!?」
「萩村と?……まぁ、萩村の家には行きましたが」
お家に行ったですって!?
「ナニをしたの?」
「はい?」
「ナニをしたの!?」
「さっきから『何』のイントネーションおかしくないですか!?」
書類の整理をしていたら畑さんがやってきた。
「記事用の写真が余ったので献上しにまいりました」
「見せて見せてー」
「私も見たいです」
七条先輩と萩村が畑さんに近づいていく……俺の腕を引っ張って。
「えっと、何ですか?」
「ん?如何したのかな?」
「いや……萩村も如何した?」
「何がよ?」
「だって、2人とも俺の腕を引っ張ってるし……」
「「あっ!」」
「……もしかして無意識だったんですか?」
俺に指摘され慌てて手を離す七条先輩と萩村……これは無意識っぽいな。
下手に意識するのもアレなので、俺も写真を見ることにした。え~っと……
「会長は何処に写ってるんですか?」
「此処に居るではないか」
「何処?」
「ほら、此処に」
会長もこんな風に笑えるんだなー……てっきりドS風かドM風にしか笑えないと思ってた……意味はよく分からないが、柳本がそんな事を言っていたのを思い出したのだ。
「あっ、会長が寝てる」
「こら!人の寝顔を勝手に見るとは何事だー!」
「スミマセン!」
写真を捲ってたら出てきたんだけど、確かに勝手に見ていいものでは無かったな……
「そうよ、それは有料よ」
「え?」
まさか、この人商売してるんじゃないだろうな……
「ちなみにどれくらい売れました?」
「ざっと50は行きましたかね」
「よし押収だ!」
「新聞部で売ってたんですか?それとも貴女個人で売ってたんですか?」
萩村も畑さんの尋問に加わってくれた。正直俺1人では荷が勝ちすぎていたからな……萩村が加わってくれて心強いな。……なんだか俺って情けない。
「うわーん!せっかく売れたのにー!!」
「正直に白状すれば予算カットだけは勘弁してあげますよ?」
「1人1人にお金を返してくださいね」
「それで、写真の方は……」
萩村と目を合わせて頷きあう……
「「そのままに決まってるでしょうが!」」
「うわーん!焼き増し代掛かってるのにー!!」
畑さん、赤字決定の瞬間だった……
畑さんを追い出し、置いていかれた写真を見る。
「やはり、清水寺に行けなかったのが心残りだな」
「シノちゃん高いところ苦手だもんねー」
そう言えばそんな設定あったな……清水寺は思いのほか高いところに建っているし、会長は駄目だったのか……
「でも、そんなに高いところ駄目なんですか?」
「高いところに行くと、身体の力が抜け、全身が震えだすんだ」
「そうなんですか、大変ですね」
此処で会話を終わらせないと、何か面倒になりそうな気がしたので、強引に終わらせようとしたが……
「それはまるで、常に絶頂状態!」
「それはそれで良いんじゃない?」
「良くねぇーよ!」
この2人には俺の気持ちなど分からないか……せっかく強引に終わらせようとしたのにな。
「本当、アンタは良くやってるわよ……」
「うん、同情ありがとう……」
萩村に慰められてしまった……
シノちゃんがお土産を渡した相手から感想を聞いている。スズちゃんには生八ッ橋、横島先生には木刀、後輩Aには携帯ストラップ……など、シノちゃんは沢山の人にお土産を渡していたのだ。
それにしても、木刀って何処のお土産屋さんでも見かけるけど、使い道ってあるのかしら?
「七条先輩、何してるんですか?」
「あっ、津田君。私のあげたお土産は如何?」
「……返しましたよね?」
「コッソリと鞄の中に入れたの!」
「は?……うわっ、マジで入ってるよ!」
「それを被って津田君が……」
「被んねぇよ!」
「じゃあ穿くの?」
「穿きもしねぇっての!」
「………」
「七条先輩?」
「何か、罵倒されるのも悪く無いわね」
「……処置無しだな」
津田君は紙袋を置いていって何処かに行っちゃったけど、津田君になら私、罵倒されても良いかもしれないわね。
「しかも、津田君ってMだと思ってたけど、意外とSなんだな~。これは新たな発見かも♪」
私はどっちでもいけるし、津田君が望むなら何でもするつもりよ。……やっぱり津田君の事を考えると濡れるわね。
完全にアリアとスズはタカトシを意識してます。
もう少しでシノフラグも建つかな?