桜才学園での生活   作:猫林13世

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ボケとツッコミの比率が……


七条温泉

 七条さんの家が温泉旅館を開くという事で、私たちもその旅館――というかホテルに招待される事になった。

 

「凄いですね、温泉を掘り当てるなんて」

 

「普通に言われたので、てっきり福引にでも当たったのかと思いましたよ」

 

「あはは、七条さんらしいですね」

 

 

 私の隣では、サクラっちとタカ君が談笑をしている。最近この二人が自然に会話したり、自然な距離感を持って一緒にいるような気がするのですよね……

 

「ウオミー、どうしたのだ?」

 

「シノっち……NTR状態は最高だな、と思いまして」

 

「「貴女いきなり何を言うんだ!」」

 

「さすがのツッコミですね」

 

 

 私の事が聞こえたのだろう。サクラっちとタカ君が同時に、同じ言葉でツッコミを入れてきた。さすが桜才のツッコミキングと英稜のツッコミクイーンの称号を持つだけの事はありますね。

 

「アリア、お疲れだったな」

 

「別に切るだけだから疲れなかったけど、緊張して変な汗掻いてきちゃったよー」

 

「だから言ったじゃないですか。コートの下は何も着ない方が良いですよって」

 

「うん、その通りだったね」

 

「「まさか本当にその下……」」

 

 

 再び二人のツッコミが揃い、アリアさんの方に視線を向けている。

 

「んー? 津田君、もしかしてこの下がどうなってるのか見たいの?」

 

「いえ、別に」

 

「ダメだなータカ兄は。そこは『俺が脱がせてやる』くらいな事を言わないとー」

 

「お前、折角招待されたのにろくな事言わないな……」

 

「まぁトッキー、これがコトミなのよ……」

 

 

 コトミさんのボケに、お友達の時さんと八月一日さんが呆れた顔でツッコミと諦めのセリフを言う。やはりコトミさんは将来有望ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会メンバーや英稜のお二人、それに一年生三人が泊りがけで温泉旅行に行くという情報を聞き、私は風紀が乱れないように同行する事になった。

 

「当たり前のように、貴女もいるんですね畑さん……」

 

「当然。津田君の乱れた生活を……」

 

「旅行中、畑さんのカメラは没収しておきますね」

 

「止めて! 私の身体の一部を取らないで!」

 

 

 今の発言を津田君に聞かれ、畑さんのカメラは津田君に没収された。いきなり現れても驚かなくなったのは、私がそれなりに津田君に慣れているからだろう。

 

「それで、部屋割なのですが」

 

「ん? まだ決まって無かったんですか?」

 

「いえ、コトミさんがお友達と一緒が良いと申しましたので、津田さんと同室になる相手を変更しなければならなくなりました」

 

「……二人部屋ですよね? 八月一日と時さんが同室で、俺とコトミが同室で決まったんじゃないんですか?」

 

「それが、コトミさんが『ソファでも良いから!』と懇願したようでして」

 

「ですが、それなら俺が一人で部屋を使えば良いだけなのでは」

 

 

 確かに津田君の言うとおり、津田君を一人にして後のメンバーで部屋を割り振ればいいのではないのだろうか。

 

「いえ、それがこの部屋には仕掛けがありまして……ほらこの通り」

 

「シングルベッドが消えてダブルベッドに!?」

 

「これで何時でも合体が可能。さらに行為の後も余裕を持って二人で寝られる仕組みになっているのです」

 

「で? この仕掛けがなにか?」

 

「つまり、一部屋三人で割り振る事が可能なのです!」

 

「……普通に二人で良いんじゃね?」

 

 

 津田君のツッコミは当然なものだったけども、多数決という名の数の暴力で、津田君の意見は却下されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏休みにこう言った展開になったのだけども、まさかこんなに早く同じような展開が訪れるとは。前は津田と同じ部屋になれなかったが、今回こそは……

 

「シノさんはスズさんとカナさんと同室ですね」

 

「………」

 

 

 クジというのは、狙って引くとろくな結果にはならないんだな……

 

「お嬢様は私とランコさんとですね」

 

「じゃあまたカエデちゃんとサクラちゃんがタカトシ君と一緒の部屋なんだ」

 

「あれ? 出島さんも同室なんですね」

 

「もちろんです! お嬢様とくんずほぐれつを……」

 

「カメラがあれば!」

 

 

 出島さんたちが何かを言い始めて津田に怒られているが、私の耳にはそんな事は聞こえてこなかった。

 

「シノっち、狙ってたのに残念でしたね」

 

「とりあえず、温泉にでも行きましょうよ」

 

「ああ……そうだな……」

 

 

 カナと萩村に促されて、私は温泉に向かった。少し意識が回復した時に、背後にぞろぞろと人がついて来ているのが分かった。どうやら全員でお風呂に入るらしい。

 

「じゃあ俺はここで」

 

「ええ、また部屋で」

 

 

 津田と森がまるで恋人みたいなやり取りをしていたので、私たちは一斉に森に視線を向けた。

 

「な、何でしょうか?」

 

「お前、津田と付き合ってるのか?」

 

「いえ。お付き合いはしていませんけど」

 

「サクラちゃん!」

 

「は、はい?」

 

 

 急にアリアが大声を出したので、森は少し驚いたような顔をした。

 

「サクラちゃんはタカトシ君の息子を……」

 

「何を言い出すんですか、先輩は!」

 

 

 アリアが何かを聞こうとしたのを、萩村のツッコミが遮った。まぁ何となく続きは想像出来たし、そんな事を聞いても森の奴は答えなかっただろうな。

 温泉では巨乳の独壇場だったが、明日のスキーでは私の華麗なる滑りで視線を集める事が出来るだろう。だがアリアや五十嵐、森が巨乳である事は知っていたが、まさかウオミーまであんなにデカイとは……水着の時は気づかなかったが、やはり布が無くなると凄いんだな……

 

「(嫌な事は寝て忘れよう)」

 

 

 ベッドに潜り寝ようとするのだが、明日のスキーが楽しみ過ぎて寝る事が出来ない……こんなんだから何時まで経っても子供っぽいと言われるのだろうな……




ツッコミは疲れますよ……

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