桜才学園での生活   作:猫林13世

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タイトル誤字じゃないですよ


事故チュー

 一夜明けて、私たちはスキーをする事になった。ちなみに、コトミちゃんとマキちゃんは初心者らしく滑り方を簡単に教えてもらっているところだ。

 

「サクラっち」

 

「はい。何でしょう会長」

 

「昨日のタカ君は激しかったんですか?」

 

「はい? 何の話ですか」

 

 

 タカトシさんは別に普通に生活してましたし、会長が何を聞いて来ているのか分からなかったので普通に返しました。

 

「ですから、タカ君はベッドの上で激しかったのかと聞いているのです」

 

「何を聞いてるんですか、貴女は!」

 

「あらタカ君。サクラっちを抱いt……」

 

「「少しは自重しろ(してください)!」」

 

「相変わらず息ピッタリですね」

 

 

 タカトシさんとツッコミのタイミングが被ったのを、カナ会長は満足そうに聞いて天草さんたちの方へ滑って行きました。

 

「何がしたかったんでしょうね、あの人は……」

 

「もう結構一緒にいますけど、カナ会長の事は私も良く分かりません」

 

「そうなんですか……まぁ俺も、会長たちとは長いですけど、未だに何をしたいのか、何を言いたいのか良く分かりませんしね」

 

 

 苦笑いを浮かべながらタカトシさんが私に同調してくれました。

 

「そういえばタカトシさん」

 

「なんでしょうか?」

 

「じつは私、あまりスキーが得意じゃないんですよ」

 

「そうなんですか? じゃあ教えますよ」

 

「……お願いします」

 

 

 夏は泳ぎを、そして今はスキーをタカトシさんに習うとは……同じ副会長なのに、何故こんなにもタカトシさんに教わる事があるのでしょう……

 

「津田君、実は私もそれ程得意じゃないんだけど」

 

「そうなんですか? じゃあ五十嵐さんも一緒に教えますよ。何故二人が出島さんに習わなかったのかは、今のあの人を見れば何となく分かりますし」

 

 

 タカトシさんの視線の先では、出島さんが天草さんと七条さんに褒められていた。

 

『エロ~イ』

 

『ひわ~い』

 

『いや~それ程でも』

 

「「………」」

 

 

 はたしてあれは褒め言葉なのだろうか……私と五十嵐さんは同じ事を思ったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田が五十嵐と森の相手をしているので、私は萩村と一緒にリフトに乗っている。

 

「最近津田のヤツ、森や五十嵐ばっか相手してるな」

 

「そうですね。まぁ私たちは普通に滑れますし。滑れる人間が教わってるのを周りが見ると、単純にいちゃついてるようにしか見えませんしね」

 

「そうだな……優秀な自分が恨めしいぞ」

 

 

 自分で言うと厭味ったらしいが、本当に滑れる自分を恨みたい気分なのだ。滑れなければ私も津田に……

 

「そう言えば五十嵐先輩、津田に手を持ってもらってますけど大丈夫なんでしょうかね」

 

「アイツの男性恐怖症は、津田に限り治ったらしいからな。津田になら触っても問題ないし、背後から息を吹きかけられても失神せずに済むだろう」

 

「いや、後の方は男性恐怖症関係なく嫌ですよ」

 

 

 そうか? 私なら喜んで津田の吐息を感じるのだがな……

 

「うわぁ!?」

 

「ん? 大丈夫か、萩村?」

 

「え、えぇまぁ……ちょっとリフト降り失敗しました」

 

 

 萩村が思いっきり滑っているが、周りの目は子供がやる失敗程度にしか思ってないようで、微笑ましげな顔を向けている。

 

「シノちゃん。向こうでタカトシ君とサクラさんとカエデちゃんがいちゃついてる!」

 

「なんだと!? ……あいつらはスキーの練習をしてるんじゃないのか?」

 

「そうなの? でもタカトシ君は普通に滑れるんじゃないの?」

 

「だから五十嵐と森に教えてるんだろ。あの二人は出島さんに教わるのを嫌ったようだし」

 

「そのようですね。サクラっちと五十嵐さんめ……部屋割に続いて今回もタカ君を……」

 

「カナちゃん? NTR状態を楽しんでるんじゃなかったの?」

 

「ここまで来ると、興奮より嫉妬が勝ってますね」

 

 

 確かに……カナの言うとおり、何時までも津田を独り占め――二人占めか?――されているのは腹立たしい。津田は我々の共有財産だと言うのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田君に教わったおかげで、私と森さんはある程度は滑れるようになり、初心者コースなら手助けなしで滑る事が出来るようになった。

 

「津田君、ありがとうございました」

 

「タカトシさんのおかげで、苦手が一つ減りました」

 

「いえいえ。お二人とも元々筋が良かったので、教えるのも簡単でしたよ」

 

 

 津田君は謙遜ではなく本気で言っている。だから私たちは余計に恥ずかしいのだ。

 

「タッカ兄ー! みんなで雪合戦しようよー!」

 

「分かった! すぐ行くから待ってろ」

 

 

 向こうからコトミさんの声が聞こえてきて、私たちは移動する事にしました。

 

「うわぁ!?」

 

「おっと」

 

 

 私の隣で森さんがバランスを崩して倒れそうになった。でも津田君がしっかりと反応したおかげで、森さんは雪に顔から倒れ込む事は無かった。無かったのだけども……

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いえ、気を付けてくださいね」

 

 

 事情を知らなければ、森さんが津田君に抱きついているようにしか見えない。天草さんはそう思ったらしく、背後から雪玉を津田君目掛けて投げつけました。

 

「何をしているのだ、お前たちは!」

 

「ちょっと会長! 今避けられ……ッ!?」

 

「!?!?」

 

 

 振り返る事も、避ける事も出来なかった津田君の後頭部に、天草さんが投げた雪玉が凄い勢いで当たった。下が普通の地面だったら問題無かったのだろうけども、生憎下は雪で津田君が踏ん張っても少しは身体がぐらついてしまう。そしてぐらついた先にいたのは、津田君に受け止めてもらった森さんでして……

 

「シノっち! 何アシストしてるんですか!」

 

「そうだよ! タカトシ君の唇が!」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 ぐらついて体制を崩した津田君が、森さんの唇に自分の唇を重ねている……つまりキスをしているのだった……




様々な条件がそろっての事故チュー……完全に森さんがリードしましたね。

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