桜才学園での生活   作:猫林13世

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タカトシ争奪戦、勃発?


正月の夜から…

 五十嵐や森に後れを取っている我々としては、何とかして津田と……タカトシと同じ部屋で寝泊まりが出来るようにしたい。だが、あくまでも公平を期すために、部屋決めは毎回くじ引きなのだ。

 

「今回は何と! 私とタカ兄も部屋を動くかもしれません!」

 

「は? 俺とお前は自分の部屋で良いだろ」

 

「ダメダメ~。今回はもっとスリリングに行きたいからね~。タカ兄が私と一緒の部屋の場合、倫理観から凄くドキドキするでしょ?」

 

「……そんな事を考えている時点で、俺はお前の事が心配でドキドキしてるんだが」

 

 

 妹のコトミの性癖に呆れ、タカトシは盛大にため息を吐いた。苦労しているのは生徒会だけではなく妹もなんだよな……何時タカトシの胃に穴が空いてもおかしくはないな。

 

「それではくじを引きたいと思いますが、順番はどうします?」

 

「この中で、Sっ気が強い人からで如何でしょう?」

 

「そうなると、タカ兄からだね」

 

「……普通にじゃんけんで決めればいいだろ」

 

 

 タカトシの一言で、くじを引く順番を決めるじゃんけんを取り行う事になった。

 

「では、津田副会長、コトミさん、天草会長、五十嵐さん、七条さん、魚見会長、萩村さん、森さんの順番でくじを引く事になりました。ちなみに、私は泊まらないのでこのように実況を務めさせていただいています」

 

「……誰に言ってるんですか、貴女は」

 

「細かい事は気にしちゃダメよ~」

 

 

 タカトシはじゃんけんも強かったな……だがコトミに負けたのは納得いかないな……

 

「それでは~ただいまから~津田家お泊り部屋決めくじの発表を行いたいとおもいま~す」

 

「だから誰に言ってるんだよ!」

 

 

 畑のふざけにも、タカトシは正確なツッコミを入れていく。相変わらずのツッコミ技術であり、私たちには真似出来ないだろうな。

 

「まず~リビングに泊まるのは~……天草会長、コトミさん、そして萩村さん!」

 

「ちょっと待って! またツッコミが追いつかない夜が……」

 

「次に、津田副会長の部屋に泊まるのは~……五十嵐さん、森さんです」

 

「と、言う事は……」

 

「コトミさんの部屋に泊まるのは、津田副会長、七条さん、そして魚見さんですね~」

 

 

 ま、またしても私はタカトシと一緒にはなれなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の家のはずなのに、何故俺は自分の部屋ではなくコトミの部屋で寝なければならないのだろう……しかも同室者がアリアさんとカナさんの二人……意識を手放さなくても、手放しても面倒な二人が揃ったな……

 

「こうしてタカトシ君と同じ部屋で寝泊まりするのって、去年の夏以来かな~?」

 

「あの時はまだ、我々の事を苗字で呼んでましたし、森っちはまだタカ君と出会ってなかったんですよね」

 

「そう言えばそうですね」

 

 

 もう長い付き合いかと思ってたけど、サクラさんと俺はまだ一年も付き合いが無いんだった。一緒にいると自然で、一番安心する相手だから気にしてなかったけど、付き合いは短いんだったな。

 

「今頃タカトシ君の部屋で、カエデちゃんとどっちがベッドを使うかで揉めてるんじゃない?」

 

「タカ君の匂いが染み込んだベッドでソロプレイを……」

 

「その発想はおかしい……」

 

 

 第一あの二人がそんな事するだろうか……この二人や会長、コトミならあり得そうだけど、カエデさんと萩村、そしてサクラさんはそんな事しないと思うんだけどな……

 

「シノちゃんはくじ運が悪いんだね~」

 

「シノっちは狙って引くからいけないんですよ。くじというのは、狙って引くとろくな結果になりませんからね」

 

「……狙って無くてもろくな結果じゃねぇんだけど」

 

 

 この二人と一緒の部屋というのは、精神的に疲れるだろう組み合わせだと思うのだ。萩村もだけど、ボケ二人にツッコミ一人だと精神的にも、そして肉体的にも疲労感を覚えるだろう。その点では、カエデさんとサクラさんの二人は当たりくじだったのだろう。

 

「それで、誰がコトミのベッドを使うんですか? さすがに俺は布団を使いますが」

 

 

 妹のベッドを使う事は出来ないし、そうなると必然的に俺は布団を使う事になるのだ。

 

「では、再びじゃんけんですね。勝った方が布団です」

 

 

 ん? 普通勝ったらベッドじゃないのか? ……まぁ、何処となく地雷臭がするからツッコむのは止めておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 せっかくタカ兄と一緒に寝られると思ったのに、今回も私はタカ兄と同じ部屋にはなれなかった。

 

「シノ会長、何がいけなかったんでしょうね?」

 

「知らん! 私ばっかり津田と別になって! 不公平だとは思わないか!」

 

「会長、あんまり五月蠅いと、津田が怒りますよ」

 

「へ? 私は別に怒らないですよ?」

 

「アンタじゃなく津田……って、そうか、アンタも『津田』だったわね」

 

 

 スズ先輩は普段から私の事を「コトミ」もしくは「コトミちゃん」と呼んでいるので、「津田」と言えばタカ兄の事なのだけども、ここはスズ先輩にもタカ兄の事を名前で呼ばせちゃいましょう。

 

「スズ先輩だって、タカ兄に名前で呼んでもらってるんですから、スズ先輩もタカ兄の事を名前で呼ばないとダメですよ~?」

 

「な、何で知って……アンタ、最近畑さんに毒されてない?」

 

「教育してもらってるんです! ジャーナリズムというやつをね!」

 

「畑さんもだけど、ジャーナリズムを履き違えてるわよ……」

 

 

 スズ先輩のツッコミをさらりと流して、私はスズ先輩にタカ兄の事を名前で呼ぶように勧める。

 

「あんまり五月蠅いと、タカトシが怒りますよ」

 

「おぉ! スズ先輩がタカ兄の事を呼ぶと、何だか更に親しい感じがしますね~。今のところ、タカ兄の事を呼び捨てにしてるのはスズ先輩だけですからね」

 

「わ、私も呼び捨てだぞ!」

 

「シノ会長は苗字じゃないですか。名前を呼び捨てにしてるって事ですよ」

 

「も、モノローグでは呼んでるぞ!」

 

「声にしなきゃ駄目ですよ」

 

 

 変なところでビビりなんですよね、シノ会長は……タカ兄だって特に気にしないと思うのに、シノ会長はタカ兄の事を名前で呼べないんですよね~。

 結局騒がしくしたらタカ兄に怒られるので、私たちは大人しく寝る事にした。そう言えば私の部屋にタカ兄がいるんだよね……何だか興奮してきた!




これはチャンスになるのだろうか……

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