桜才学園での生活   作:猫林13世

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眠いです……


気崩した結果

生徒会書記、七条アリア先輩。いいところのお嬢様らしいのだが、良くありがちな近づきにくさは無く、綺麗で優しくスタイルの良さで共学間もないにも関わらず男子の間で人気の高い人だ。

 

「(でも、あの発言をされるとそんな風に思えないんだよな)」

 

 

普段の七条先輩は、如何やら下ネタ発言しないらしく、俺がいくら言っても男子たちは信じてくれない……夢見るのも良いが現実も見ようぜ。

そんな事を考えていたら、階段下に七条先輩が居るのに気付けなかった。手を振ってるが、もしかしてさっきから振ってたのだろうか……それだったらかなり失礼だったよな。

 

「スミマセン先輩、ひょっとして結構前から手を振ってくれてました?」

 

「ううん、今さっき気付いたとこだよ」

 

「そうですか……ちょっと考え事してたもので」

 

「そうなんだ~」

 

「ところで、先輩は何をしてるんですか?」

 

 

階段の前で立ち尽くす理由が分からなかったので、俺は素直に聞くことにした。

 

「あっそっか!」

 

「何です?」

 

「学校はエスカレーターじゃ無いんだよね」

 

「よく今まで気付かなかったな……」

 

 

貴女2年生でしょうが……天然なのか、お嬢様過ぎるのか分からない発言をされ、俺は盛大にため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下を歩いていたら今度は会長と出会った。生徒会室に向かう廊下だから出会っても不思議では無いので、俺は会長と一緒に生徒会室に向かう事にした。

 

「それにしても暑いですね~」

 

「そうだな~」

 

 

5月なのにこの暑さ……地球温暖化か此処まで進んでしまったのか。本当なら思いっきり着崩したいのだが、校則違反を生徒会役員自らする訳にも行かないので我慢している。

 

「会長は暑くないんですか?」

 

「私だって暑いと思ってるさ」

 

「じゃあ着崩しても良いですか?」

 

「それは駄目だ」

 

「暑いんですよね?」

 

「だからと言って生徒会役員がそれでは示しがつかんだろ」

 

 

会長は普段と変わらない顔で普段通りの服装をしている。本当にこの人も暑いと思ってるんだろうか……

 

「だから私は校則に違反する着崩しはしない!」

 

「生徒の長ですもんね」

 

 

生徒会長は伊達じゃないんだな~。

 

「したがって、見えないところで着崩している///」

 

「照れるなら言わなきゃ良いのに……後、暑過ぎて頭おかしくなってません?」

 

 

見間違えじゃ無きゃ頭から湯気出てるし……やっぱり暑いんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室に着いたら、萩村が机に突っ伏していた。

 

「萩村、寝ちゃってますね」

 

「仕方ないだろう……会議だが休ませてやるか」

 

 

萩村は昼寝しないと体がもたないって言ってたし、寝てるのを無理矢理起こすのも気が引けるからな……

 

「では今回の議題だが」

 

 

会長は萩村の事を気にしながらも会議を始めた。まあ、俺と七条先輩のどちらかが後で教えれば良い事だしな……

 

「よし、今回はこんなところかな」

 

 

会議も終わり、会長がふぅっと一息吐いた丁度その時……

 

「では部費の予算の割り当ては私がやっておきます」

 

 

起き抜けに萩村がそう言った。

 

「そうか、任せるぞ」

 

「分かりました」

 

「さすが天才……」

 

 

睡眠聴取出来るとは……会長も特に気にした様子も無く会話してたから、最初から知ってたんだろうな。あれ?……じゃあ何で寝てる萩村を心配そうに見てたんだ?

聞こうと思ったが、また変な事を言われたら大変なので、此処はスルーしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、見回りのためにウロウロしていたらクラスメイトの三葉が居た。

 

「あっ、タカトシ君!」

 

「三葉、柔道部の調子は如何?」

 

「おかげさまで順調だよ」

 

 

そっか。発足まで色々あったが、今では順調に事が進んでいるようで安心した。

 

「でも、部長ってポジションが大変でね~」

 

「何か問題でも?」

 

「備品そろえるために部費のやりくりとか」

 

 

ん?

 

「胴着の他に何か必要なのか?」

 

 

必要経費なら生徒会に申請してくれれば幾分考慮してくれるんだが……柔道部が胴着以外に何が必要なんだろう……畳は学校が準備してくれたはずだし、照明も武道場に完備されてるよな?

 

「ひもぱん」

 

「は?」

 

 

それが柔道に如何繋がるんだ?

 

「下着のライン隠すのに必要だって」

 

「……それ、誰に聞いた?」

 

「七条先輩」

 

「またあの人か!」

 

 

あの人の発言を真に受ける三葉にも少なからず問題があるが、それ以上にあの人のテキトー発言の方が問題だ。

俺は三葉にそれは必要ないから気にしなくて良いと言ってその場から移動した。もちろん七条先輩に説教するために……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後七条先輩を見つけ軽く説教して生徒会室に戻ったら、そこには三葉が居た。如何やら会長に相談してるようだな。

 

「先日2年の先輩が入部してくれたんですが、部長を代わった方が良いのでしょうか?」

 

「無理に年功序列にする必要は無いだろ。それに君は経験者なんだろ、それなら君が部長のままで良いんじゃないか?」

 

「そうですかね?」

 

「未経験のチェリーが百戦錬磨のお姉さんをリードしても様にならないからな」

 

「?」

 

「アンタいきなり何言い出すんだよ!」

 

 

ピュアなのか、三葉は会長の発言を尊いものだと思って頷いたが、途中までは兎も角最後は頷くところでは無い。俺はたまらず大声でツッコミを入れた。

 

「だってそうだろ?」

 

「そう言う話をしてんじゃねぇよ!」

 

 

結局グダグダで相談は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室で作業しているが、此処って暑いんだよあ……無理しても仕方ないしネクタイ抜いて上着を脱ぐか。

 

「あっ、津田君」

 

「何です?」

 

「そんな風に気崩してたらシノちゃんに怒られるぞ」

 

「無理して倒れた方が問題ですよ。今は室内に居ても熱中症になるんですから」

 

 

それに、此処なら殆どの生徒には見られないので問題にはならないだろうな。

 

「そっか、じゃあ私も」

 

 

そう言って七条先輩も上着を脱ぎ、リボンを外し、更にボタンも外して行く……って、ちょっと待て!

 

「何処まで脱ぐんですか!」

 

「津田君なら見られても平気だし」

 

「そう言う問題じゃねぇよ!」

 

 

俺はたまらず生徒会室から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室に向かっていたらネクタイを抜き、上着を脱いだ津田が生徒会室から走り去って行った。何があったんだ?

 

「あ~あ、逃げられちゃったか」

 

 

アリア~……お前、神聖なる生徒会室で何をしようとしたんだ。




原作ではアリアが逃げ、タカトシが誤解されるんですが、この作品ではタカトシが逃げてアリアが疑われるようにしました。

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