桜才学園での生活   作:猫林13世

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スズの母役の松来未祐さんがお亡くなりになられました。皆さま、ご冥福をお祈りしましょう……


七条家の防犯グッズ

 結局新学期が始まる前日までカエデ先輩とアリア先輩はウチに泊まり私の勉強を見てくれたおかげで、今回の休み明けテストは結構な手応えを感じていた。

 

「マキ、今回はマキに勝てるかもしれない」

 

「そんなに自信があるの?」

 

「だって、三年の学年二位と三位に付きっきりで勉強を見てもらったんだもん! 何時もの私と同じだと思うなよ! トッキーと赤点スレスレの低レベルな争いをしていた頃の私では無いのだよ!」

 

「……そのキャラは治って無いのね」

 

 

 あきれ果てた目で私の事を見てくるマキ。この目、偶にタカ兄がする目に凄く似ている……凄く興奮する!

 

「あれ? コトミちゃんたちも結果を見に来たの」

 

「スズ先輩! 今回は結構自信ありますからね」

 

「そりゃ、七条先輩と五十嵐先輩にみっちり勉強を見てもらったら、逃げ出すか優秀になるかのどちらかだとは思うけど」

 

「あっ! 性知識は更に深まったと自負しています!」

 

 

 アリア先輩と夜な夜なトークをしていたおかげで、私の踏み入れていない領域の知識も得る事が出来たのだ。今度実戦してみようかな。

 

「ところで、今日はタカ兄と一緒じゃないんですか?」

 

「津田なら、さっきクラスメイトに解説を求められていたから、今頃教室で即席の授業でもしてるんじゃないの」

 

「さすが我が半身、その能力の高さには……」

 

「あーはいはい」

 

「せめて最後まで言わせてくださいよ……」

 

 

 スズ先輩に途中でぶった切られてしまったが、マキもトッキーも似たような目をしているので止めておこう。

 

「結果が見えてきたわね」

 

 

 スズ先輩の言うように、漸く結果が見える位置までやってきたのだ。

 

「えーっと……やっぱりマキには勝てないなー」

 

「そもそも、名前無いじゃないのよ」

 

 

 学年五十位に入れるほど、私の頭は良くないのだ。ちなみに、マキは二十位とかなり好位置に名前を連ねている。

 

「そして、お前の兄貴も相変わらずだな……」

 

 

 トッキーの視線を辿ると、そこには二年の結果が貼り出されていた。

 

 一位 津田タカトシ 500点

 一位 萩村スズ   500点

 三位 轟ネネ    446点

 

 

 どうやったら満点なんて取れるんだろうなー……我が兄ながら不思議でならない……

 

「ところで、コトミちゃんは合計で何点だったの?」

 

「300点!」

 

「……それで良くマキに挑もうと思ったな、お前」

 

「なんだよ―! 何時もより100点近く高いんだぞー! ちなみに、トッキーは何点だったの?」

 

「……240点」

 

「はっはっは! 相手にならないな!」

 

「威張るなら、もう少しマシな点数を取ってから威張りなさいよ」

 

 

 スズ先輩にツッコまれたけど、私からしてみれば、平均60点は立派なのだ。別次元でツッコまれても、私には不可能なのだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近何かと物騒だという事で、放課後は柔道部に協力を要請して護身術を学ぶ事になった。

 

「てか、アンタは必要ないんじゃない?」

 

「でも、俺だけ不参加ってわけにはいかないだろ?」

 

「そりゃそうね……主にツッコミ要員で……」

 

「そっち!?」

 

 

 萩村から見た俺って、ツッコミ要員なんだ……

 

「家にあった防犯グッズを持ってきたよー」

 

「アリア、これはお尻に突き刺すヤツじゃないのか?」

 

「うん! だから襲われそうになったところを、これで撃退するんだよー」

 

「これじゃあご褒美じゃないか!」

 

「……あれって防犯グッズなのか?」

 

「……私に聞かないでよ」

 

 

 七条家にある防犯グッズは、庶民とは異なるんだろう。俺たちはそういう事で納得する事にした。

 

「これってスタンガンですよね? さすがに危なくないですか?」

 

「そんなに威力は高くないし、普段から電流に慣れてるからそれ程でも無いよー?」

 

「……普段から身体に電気を流してるんですか?」

 

「うん! 主に絶頂の時に!」

 

「なるほど……アリア、少し試しても良いか?」

 

「いいよ~」

 

 

 会長がスタンガンを手に取り、何故か俺に目掛けて突進してきた。

 

「ほっと」

 

「おい、避けるな!」

 

「危ないでしょうが」

 

 

 ちらっと見えたが、今の設定は最高だ。こんなのをまともに喰らえば、気絶で済まないと思うんだが……

 

「せっかく津田を気絶させて、その間に既成事実を作ろうとしたのに……」

 

「この人怖い……」

 

 

 人生で一番の恐怖を感じた俺は、一足先に柔道場に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシ君が見てる中で、私たちはムツミちゃんに教わりながら柔道の技を掛けあったりした。

 

「なかなか難しいわね~」

 

「仕方ありませんよ。私たちは初心者なんですから」

 

「だが、なかなか為になるな!」

 

 

 ちなみにタカトシ君は、さっきまで写真を撮っていた畑さんに注意をしているので、今は私たちの事を見ていない。

 

「カエデちゃんもやってみる?」

 

「いえ、そもそも私は護身術が必要になるような場所や時間に出歩きませんので」

 

「でもでも~、カエデちゃんなら人前でも襲われるかもしれないよ~? なんてったってその巨乳! オジサマたちの獲物にされても……あっ、気絶しちゃった」

 

「アリア、この状況の五十嵐を襲わないのは失礼だと思わないか?」

 

 

 気絶したせいで、カエデちゃんのスカートの中は丸見えだった。カエデちゃんは黄緑色なんだ~。

 

「じゃあさっきのビーズを突き刺して……」

 

「貴女たちも怒られたいんですか?」

 

 

 何時の間にか私たちの背後に立っていた――もちろんカエデちゃんのパンツが見えない角度だけど――タカトシ君が怖い顔をしている。

 

「でも、タカトシ君だって、目の前に気を失った美少女がいたら襲うでしょ?」

 

「普通は介抱するんですよ!」

 

 

 この後、私とシノちゃん、そしてカエデちゃんのスカートの中を盗撮しようとした畑さんの三人は、柔道場が閉まるまでずっと正座をさせられたのだった……




そのグッズの使い方は違うだろ……

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