休み時間に、俺は気になった事を柳本に聞くことにした。
「五十嵐先輩って知ってるか?」
「名前と写真では知ってるが、直接は会った事は無いな。きっと本物はもっと綺麗なのだろうな……」
聞いておいてなんだが、これ以上ヒートアップするようなら距離を取らせてもらおう。
「お前もついに女子に興味を持ったのか。そうかそうか……」
「勝手に納得するな。それに、唯単に知ってるか聞いただけだろうが」
「お前から女の名前を聞かれたのは初めてだからな」
「……五十嵐先輩って男性恐怖症みたいなんだが」
「何!?」
ん?柳本の目が見開かれたが、何かおかしな事言ったか?
「お前……それ、誰からの情報だ」
「誰って、新聞部の畑さんからだが……」
この前聞いて、この目で確認したからな……俺だけに震えてるのならちょっとショックなんだが……
「俺ですら知らない情報を……さすが畑先輩だ」
「なんだ、知らなかったのか」
「何て言ったって、五十嵐先輩を直接見た男子生徒は居ないからな!」
「直接見る以外で如何やって見るんだよ?」
「畑先輩から写真を買ってるんだ」
「またか!」
俺は柳本との会話を打ち切り、昼休みに新聞部に行く事を決めた……後で萩村にも言って一緒にいってもらおう。
昼休みになり、萩村を探すためにまずは生徒会室にやって来た。中から声が聞こえるな……
「萩村は牛乳が好きなんだな」
「ええまあ」
如何やら中に萩村が居るようだ。一発で見つかってよかった
「牛乳は成長を促すからな」
「そうですね」
「お~い萩村、ちょっと一緒に……」
「会長は牛乳、嫌いですか」
「よくも目線を下げてくれたな」
何でこんな気まずいんだよ……
津田君が来てスズちゃんと一緒に何処かに行ってしまってから暫くして、シノちゃんが何かを探している様子……
「無い、無い、此処にも無いか……」
「ひゃあ!」
「ただいま戻りまし……」
「……アンタってタイミング悪いわね」
「俺もそう思ったよ……」
シノちゃんに胸を揉まれてるタイミングで津田君とスズちゃんが戻ってきた。
タイミング悪く生徒会室に戻ってきてしまった俺と萩村だが、会長がさっきからキョロキョロと何かを探している様子なので一応聞くことにした。
「何か探してるんですか?」
「私が買って置いておいたメロンパンが見当たらないのだが……」
「そんな所にねぇよ!」
「津田君も揉みたい?」
「今はそういう冗談は言わないでください!」
会長にツッコムのだけで精一杯なんですから、七条先輩もボケないでくださいよ、まったく。
「置いておいた時には鍵が掛かってたはずなのだが……」
「なるほど……」
つまりは内部犯って事か……
「津田君、何か分からないかな?」
「全ての謎は俺が解く、推理タイムの始まりだ!」
「何言ってるの?」
「……俺、何か言った?」
今一瞬だけの記憶が無いんだけど……
「アンタまで壊れたのかと思ったわよ」
「ゴメン……」
「横島先生、私のメロンパン食べたでしょう」
「一直線に来た!?」
会長は最初から誰がメロンパンを食べたのか分かってたようで、横島先生にパン代を請求している……無言で手を突き出して。
「まぁ、確かに私が天草のメロンパンを食べたんだがな。ほら、これお金」
「生徒のものを勝手に食べないでくださいよ」
「いや~、だって辛いもの食べた後って甘いもの食べたくなるだろ?」
「辛いもの食べたんですか?」
「だからと言って生徒のものを食べないでくださいよ」
珍しく会長がツッコんでる……明日は雨なのだろうか
「いや、私の場合は辛いものじゃなくって苦い飲み物なんだけどね」
「これからは気をつけてくださいね」
「この人は一生気をつけないので言っても無駄ですよ……」
教師なんだから自重しようとか思わないのだろうか……
「それにしてもシノちゃん、良く先生が犯人だって分かったわね」
横島先生を説教して追い出してから七条先輩が会長に聞いていた。確かに良く一発で言い当てたよな……
「君たちは私のメロンパンの行方を捜そうとしてくれた。つまり知らないって事だったのだろう。そして、私は君たちが嘘を吐くような人間だとは思って無いからな」
「シノちゃん……」
何だかいい感じな雰囲気が出てるが、そもそも俺と萩村は生徒会室から出て行ってたし、その前からメロンパンは無かったような気がするんだが……
「………」
「会長?」
何さっきから萩村をちらちらと見てるんだ?
「言っておきますが、年齢偽ってませんからね」
「分かってるさ。ただ、万が一と言う場合があるかも知れないからな」
「だからねぇっての!」
今日も会長は何時も通りだった……
放課後、廊下を歩いていたら会長と七条先輩が居た。
「さっき枝毛見つけちゃったの。ショックだよ~」
「うむ、キューティクルが痛んでるんだな」
やっぱり女子ってそう言う会話してるんだな。
「気にする必要は無いと思いますよ。人の髪の毛は10万本あるそうですから」
おっと、あれは風紀委員長の五十嵐先輩。また震えさせたら悪いし、此処は素通りして行こう……
「違うのカエデちゃん」
「何が違うんですか?」
確かに、何が違うと言うのだろうか……
「陰○の話だよ」
「!?」
「普通の生徒が大勢通る場所で何て話をしてるんですか、貴女は!」
素通りするつもりだったが出来なかった。
「津田、女の子の話を盗み聞きか、関心しないぞ」
「そうだよ~」
「俺よりアンタたちの方が問題でしょうが!」
五十嵐先輩は気絶しちゃってるし……
「津田君も見たい?」
「そう言う事を言ってるんじゃねぇよ!」
五十嵐先輩が意識を取り戻したのは、それから結構な時間が経ってからだった。一応見張っては居たが、盗撮者は現れなかった。
「あれ、私……」
「気が付きました?」
「つ、津田君!?」
「その反応は傷つくぜ……」
俺は何もしてないのに……
「会長と七条先輩には俺からキツク言っておいたので」
「そっか……私気を失って……ッ!?」
五十嵐先輩は慌てて下半身を確認し始めた……
「何もしてねぇから!」
「良かった……」
「何で信用されてないんだろうか……」
五十嵐先輩の中の男は如何言ったものなのだろうか……次の日に会長と七条先輩に改めて五十嵐先輩に謝罪させて、この件は終了した。この学園には変人しか居ないのだろうか……
早くウオミーも出したいです。