桜才学園での生活   作:猫林13世

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アニメ版も併せて作るので、ちょっと長いかも……


修学旅行 空港編

 本日より二年生は修学旅行で学校にはいない。生徒会メンバーの内、タカトシと萩村が二年生なので、その間の仕事は私とアリアの二人でこなさなければいけないのだ。

 

「ねぇねぇシノちゃん」

 

「何だ、アリア」

 

「タカトシ君が言ってた『置き土産』って何だと思う?」

 

 

 そうなのだ。昨日萩村がお土産を期待していてくださいと言った後タカトシが――

 

「置き土産にも期待しておいてください」

 

 

――と言ったのだ。

 そもそも置き土産とは何だ……旅行の前に土産があるとでも言うのだろうか……と、そんな事を考えていると、おもむろに生徒会室の扉が開かれコトミがやって来た。

 

「タカ兄の代理でやって来ました、津田コトミでーす」

 

「……戦力的にどうなんだろう」

 

 

 タカトシの代わりがコトミに務まるとは到底思えないが……主にツッコミ面で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沖縄に向かう為に空港にやって来た私たちは、搭乗までの時間をのんびりと過ごしていた。

 

「萩村は帰国子女だから、飛行機には乗り慣れてるんだろ?」

 

「そうね。最早飛行機に乗る事が生活の一部だったからね」

 

 

 あちこちと飛び回っていたので、飛行機なんて何回乗ったかなんて覚えてないくらいよ。

 

「飛ぶのには慣れたものよ」

 

「あっ、私も飛ぶのには慣れてるよ」

 

「轟さんも?」

 

 

 ネネが会話に加わってきて、私は何となく嫌な予感がしてタカトシの背後に隠れた。

 

「今日ももう、三回くらい飛んじゃってるかな」

 

「管制塔、着陸許可をお願いします」

 

 

 アドリブで凄いツッコミを思いつくわね……さすが桜才きってのツッコミマスターとの呼び声高いタカトシね。

 

「なあ津田」

 

「なんだ、柳本」

 

「あの制服って英稜だよな? あの子、凄い可愛いと思わないか?」

 

 

 男って何でそんな話をしたがるのかしら……でもまぁ、女子もカッコいい男子を見つけたら騒ぐんだし、仕方ないのかもしれないわね……現にタカトシを見た英稜女子が騒いでるもの……

 

「どの人だよ」

 

「ほら、あの髪を上で纏めてる巨乳の女子だよ」

 

「……サクラさん?」

 

「あっ、タカトシさん。おはようございます」

 

 

 タカトシの背後で騒いでいた男子は森さんに話しかけたタカトシに鋭い視線を向け、森さんの背後で騒いでいた女子たちはタカトシに話しかけた森さんに鋭い視線を向けた。

 

「英稜もこの時間だったんですね」

 

「目的地が同じで、近所の学校ですからね」

 

「お互いツッコミの機会が減ると良いですけどね……」

 

「英稜には会長以外重いボケをする人がいませんから」

 

「羨ましいです……」

 

 

 鋭い視線を向けていた男女だったが、二人の関係が同じ副会長でツッコミポジションだと分かるとホッと胸を撫で下ろしたようだ。

 

「(知らないって良いわね……この二人は二回もキスしてるんだから)」

 

 

 ショック療法と事故チューでだけど、タカトシと森さんは間違いなく二回キスしてるのだ。しかも私たちの前で……

 

「そろそろ時間ですので」

 

「そうですね。沖縄で会えると良いですね」

 

「さすがに沖縄と言っても広いですから、そうそう会えないとは思いますけどね」

 

 

 二人の会話が終わり、自然と離れていく。なんだろうこの感じ……あの二人が一緒にいるのも、こうして離れていくのも自然な気がしてきた……学校が違うし性別も違うからそんなに接点が無いはずなのに、あの二人は一緒にいるのも離れてるのも自然な感じがするのよね……

 

「スズ?」

 

「な、何でも無いわよ! ほら、搭乗ゲートに行くわよ!」

 

「そっち逆だよ?」

 

「………」

 

 

 動揺してるのを隠そうとして、結局はタカトシに心配されてしまった……これから数日の間は誰もライバルがいないと思ってたのに……

 

「スズちゃーん! 席隣だね、よろしく!」

 

「あっ、ムツミがいたのか」

 

「ん?」

 

 

 ピュア少女であるムツミは、自分がタカトシに恋してるという事すら自覚していない。だから私の中でもライバルの位置にいなかったけど、傍から見れば明らかにムツミはタカトシの事を意識しているのだ。

 私は失念していたライバルの存在を確認して、少しでも他の人より前に行こうと心に決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄の代わりに生徒会の業務を体験したけど、生徒会ってかなり忙しかったんだなって改めて思った。普段から遊んでるイメージしかなかったからそれ程忙しくないだろうと思っていたのに、これはタカ兄に報酬を要求しても怒られない気がしてきた。

 

「コトミ、この書類だが、誤字が十ヶ所以上あるぞ。ちゃんと勉強してるのか?」

 

「今の女子高生はだいたい携帯かパソコンで一発で変換しちゃうので、いざ書けと言われると出て来ないんですよねー」

 

「そうなのか? 私はそう言うのは苦手だから良く分からないが……アリアはどうだ?」

 

「そうだねー、ちょっとは分かるけど、普通にお勉強してれば何とかなると思うわよ」

 

「それはアリア先輩が優秀だからですよー」

 

 

 現にトッキーも漢字間違いが多くて補習になったくらいだ。でもトッキーだと普通に間違えたのかドジったのかが分からないから参考にならないかもしれないけどね。

 

「ところでシノ会長」

 

「なんだ?」

 

「あの水着でタカ兄に抱きついていた写真ですけど、あれでリードしたつもりですか?」

 

「あの写真、出回ってるのか!?」

 

「畑先輩に見せてもらいました。『貧乳会長が頑張った』というタイトルで」

 

 

 実際タカ兄は普通に怒ってたし、アリア先輩にも反応しなかったんだからシノ会長に反応するとは思えないしね。

 

「畑を探せ! 今から説教してやる!」

 

「畑さんなら今日はお休みだよ」

 

「……休み? 風邪でも引いたのか?」

 

「分からないけど、お休みだってさっき新聞部の子たちが話してたのを聞いたよ」

 

 

 畑先輩が休みなんて珍しいなー……スクープでも探してるのかな?




英稜も出すと、かなり難しくなりそうだ……

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