桜才学園での生活   作:猫林13世

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あのコンビってこんな感じだったような……


修学旅行 浜辺編

 二年生だけ海に行ったりしているのがズルイ! ということで、私たちは今、学校で夏を満喫しているところ。

 

「ビニールプールだが、意外と気持ちが良いものだな」

 

「会長、いくら胸アピール出来ないからって、お尻で勝負する必要は無いんじゃないですか?」

 

「コトミもアリアも大っ嫌いだー!」

 

 

 シノちゃんが大声を上げた所為か、見回りのカエデちゃんが私たちの許にやってきた。

 

「何をしているんですか! 直ちに片付けてください!」

 

「カエデちゃんも一緒に水着になる? カエデちゃんなら、水着姿だけで何十人の男の子のおかずになれるよ?」

 

「お、おかっ!? きゅ~……」

 

「おかずって単語の意味は分かってるんですね、五十嵐先輩も。あっ、黒だ」

 

 

 気を失ったカエデちゃんのスカートをめくったコトミちゃんが、下着の色を報告してくれた。

 

「ほぅ、黒か……畑の情報通り淫乱な女だな」

 

「でも、カエデちゃんが白だったらつまらなくない?」

 

「……確かにつまらないな。よし! 五十嵐のパンツが黒だという事を全校生徒に教えてやるか!」

 

「会長! そんな事をすれば帰って来たタカ兄に殺されてしまいます! ここは、私たちの心の中に止めておくべきかと!」

 

「確かに……タカトシに殺されるのは遠慮したいものだ……調教ならされたいがな!」

 

「わかる~」

 

 

 ……ツッコミ不在の為、私たちのボケは永遠に続いてしまう事を忘れちゃってた。ツッコミが期待出来たカエデちゃんは、おかずにされる事を想像して気を失っちゃったし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシとサクラさんに見つけてもらって、私は何とか他の人たちと合流出来た。でも――

 

「やっぱり沖縄は凄いな!」

 

「ええ! まさかちんこすうを売ってくれるなんて!」

 

 

――合流したくなかったかも!

 横島先生とネネが私を迎えに来てくれて、さっそく食いついたのがあのポップだった。

 

「スズの読み通り、誰か食いついたじゃん」

 

「先にタカトシが見つけてくれたんだから、もう食いつかなくて良いわよ……」

 

 

 こんなやり取りの他にも――

 

「マンタ!」

 

「チン!」

 

「マンタマンタ!」

 

「チン、チン!」

 

 

――マンタチンという看板を見て興奮したり……

 

「透け透け!」

 

「透け透けです!」

 

「丸見え!」

 

「全部見えちゃう!」

 

 

――船の中心に特殊なガラスで作った空間を覗きこんで興奮したり……

 

「立ってる!」

 

「太くて立派なのが!」

 

「そそり立ってる!」

 

「ブットイくて大きいのが!」

 

 

――灯台を見て興奮したり……

 この人たちは地元の人たちに頭を下げるべきではないのだろうかと思うくらいのぶっ飛んだ発想だ……

 

「ツッコミなさいよ……」

 

「面倒だから嫌だ」

 

 

 ツッコミをタカトシに押し付けようとしても、さっきからこの調子なのだ。さすがのタカトシでもあの状況はツッコめないらしい……

 

「おーい、津田ー! そろそろダイビングの準備しないと置いて行かれるぞー!」

 

「だってさ。スズも潜るんだろ?」

 

「ええ、じゃあネネたちは放置しておきましょう」

 

 

 確かネネや横島先生も潜る予定だった気がするけど、この人たちは別に放置でも良いわよね……

 

「あのー、私のお願い忘れてないわよね?」

 

「うわぁ!? ……何だ、畑さんか」

 

「大門先生と道下先生の関係を明るみに出来ないと、私帰れないんです」

 

「なら、強制的に送り返しましょうか? 二人の前に突き出せば帰れますよ、きっと」

 

 

 横から怖い顔で割り込んできたタカトシに、畑さんは顔を強張らせた。

 

「それだけはご勘弁を! これ以上内申に響くのは……」

 

「分かってるなら大人しく帰ってください。無断欠席は勘弁してあげますので、さっさと帰れ」

 

 

 タカトシに怒られて、畑さんはトボトボと空港に向けて歩き出した……てか、良くここまで尾行出来たわよね……

 

「さて、ダイビングの準備か。まずは水着に着替えないとダメだな」

 

「そうね。じゃあ後で」

 

 

 更衣室の前で別れ、私は自分の荷物から水着を引っ張り出す。その横では、随分とスタイルのいい女性が困った声を上げている。

 

「どうしよう……泳げないのバレちゃう……」

 

「サクラさん?」

 

「えっ? あっ、スズさん……桜才もこの辺りなんですね」

 

「ここまで来ると、学校間で何か取り決めがありそうな感じですけどね」

 

 

 作為的な感じが見え隠れしている修学旅行だったが、ここまでくれば確定と言い切っても良い気がしてきた。

 

「それで、何を悩んでるんですか?」

 

「いや、泳げるようになったって言い張ったんですけど、まだ若干不安でして……」

 

「そう言えばサクラさんは泳げなかったんでしたね」

 

 

 夏にタカトシに泳ぎを教えてもらって、その時に溺れかけたサクラさんにタカトシが――

 

「あの? 何で私の口許をそんなに見てるんです?」

 

「えっ? あっ、何でも無いです……」

 

 

 ついついサクラさんの唇を凝視してしまった……あそこにはタカトシの唇が触れた――というか完全にくっついたのよね……

 

「とりあえず、外に出て考えましょう」

 

「そうですね……」

 

 

 悩んでいても仕方ないと思ったのか、サクラさんは随分とあっさり更衣室から外に出る事に賛同してくれた。そしてサクラさんが外にでると――

 

「た、堪らん!」

 

「あれで同い年……」

 

「我が人生に悔いなし」

 

 

――バカな男子たちが鼻血を噴いて気を失った。

 

「何やってる……あぁ、サクラさんとスズか」

 

「タカトシさん、この人たちは?」

 

「バカは放っておいて良いですよ。ところで、さっき英稜の女子から聞いたんですが、サクラさんも完全に一人で泳げるように――」

 

 

 タカトシの言葉の途中で、サクラさんが視線を逸らした。それだけでタカトシは全てを察したようで、人気の無い方向を指差した。

 

「まだ時間ありますし、練習に付き合いますよ」

 

「お願いします!」

 

「私も付き合う」

 

 

 何となくだけど、この二人を二人っきりにするのは避けたいと思ったので、私もサクラさんの泳ぎの練習に付き合う事にした。とりあえず、浜辺に流れている血の事は無視する事で三人の考えは一致してるしね。




轟ネネ×横島ナルコ=混ぜるな危険!

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