桜才学園での生活   作:猫林13世

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今回は意外と真面目に勉強してる……のか?


津田家での勉強会 その1

 シノっちからのメールを読んだ私は、すぐにサクラっちの胸を揉んだ。

 

「なんですかいきなり!」

 

「今度の土日、タカ君のお家で泊まり込みで勉強会を開くそうで、私とサクラっちにもお誘いが来てます」

 

「勉強会ですか? タカトシさんとスズさんがいるなら、私も質問出来ますし参加したいです。でも、それといきなり胸を揉んだ事は別ですよね?」

 

「集中してたサクラっちの意識を私に向ける為に必要な行為です!」

 

「……普通に呼べば気が付きます」

 

 

 集中力の高いサクラっちは、普段から呼んでも気づかない事があるので揉んだのですが、どうやら気持ち良くなかったようですね……もしかして、タカ君に揉まれて私では感じなくなってしまったとか!?

 

「何を考えているかは知りませんが、会長が考えている様な事はありませんよ」

 

「なら良いです。それでは、我々も参加するとシノっちに伝えておきますね」

 

 

 場所がタカ君の家なのに、何でシノっちが仕切ってるのかは良く分かりませんけど、これでまたタカ君の部屋に忍び込むチャンスが訪れましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休日、私は勉強会に誘われて津田君の家の前まで来ている。けど、インターホンを鳴らす勇気が出ない。

 

「このまま帰っちゃおうかしら……」

 

「折角来たのにもったいないですよー」

 

「うひゃ!? ……津田コトミさん、驚かさないでくださいよ」

 

「ムッツリなカエデ先輩は、タカ兄と合体する妄想でもしてたんですか?」

 

「そ、そんな事考えていません!」

 

「コトミ、誰か来たのか? あっ、カエデさん、いらっしゃい」

 

「お、お邪魔します……タカトシ君」

 

 

 普段は苗字で呼び合っているし、出来る限り名前で呼ぶのは控えていたけど、タカトシ君が私の事を名前で呼んでくれたので、私も名前で呼び返した。

 

「遅いぞ五十嵐! 既に勉強会は始まっている!」

 

「まぁ、コトミちゃんが逃げ出したから、今は中断してますけどね」

 

「そう言うわけで、コトミを捕獲してくれてありがとうございます」

 

「くっ、まさかカエデ先輩が囮だったとは!」

 

 

 何が何だか良く分からないけど、タカトシ君の役に立ったのなら良かったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勉強会という名目で津田先輩の家に来て、私はさっきからキョロキョロと周りを見渡していた。天草会長に七条先輩、萩村先輩に五十嵐先輩はまだ分かる。だが英稜の魚見会長や森副会長まで勉強会に参加するとは思っていなかった……というか、津田先輩を意識してる人がこんなに集まるなんて思ってなかった。

 

「マキ、さっきからなにキョロキョロしてるの? タカ兄のトレジャーでも探してるの?」

 

「リビングで何を言ってるのコトミは……そうじゃ無くて、普段交流の無い先輩たちに囲まれて緊張してるのよ」

 

「えっ? あぁ、マキはカナ会長やサクラ先輩とお出かけした事無いんだっけ?」

 

「無いわよ……てか、会うのも初めてかもしれない」

 

 

 さっき一応の挨拶は交わしたけど、それ以外の会話は無い。てか、生徒会メンバーに風紀委員長がいる中で平然としていられるコトミが凄いと思うんだけど……

 

「トッキーも意外と気にしてないよね」

 

「私はそれどころじゃネェからな……今回赤点だと色々とマズイ……」

 

「トッキーはドジっ子だからね~。回答欄を一つズラしてたり、問題が裏にもある事に気付かなかったりとか」

 

「そう言うコトミは普通に赤点だったからな。今回赤点だったら塾に通ってもらう。もちろん、小遣いは無しだ」

 

 

 何時の間にかコトミの背後に立っていた津田先輩が、コトミに冷ややかに宣告する。津田先輩の宣告を受けて、コトミは縋りつくように津田先輩の足にしがみついた。

 

「それだけは勘弁してください! 塾に行ったって私の頭は良くならないよ~」

 

「なら良くなるように努力するんだな。あっ、それから平均点以下だと小遣いは数ヶ月半分だから」

 

「シノ会長! 私の頭を良くしてください!」

 

「……普通に勉強するしか無いんじゃないか?」

 

 

 天草会長にツッコまれたコトミは、泣きながら問題を解き始める。てか、あの会長がツッコむなんて珍しいな……普段はボケてばっかだって聞いてたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十人分の昼食を用意する為に、タカトシはキッチンへと引っ込んだ。手伝いたいけど私の身長じゃ戦力にならないし……

 

「タカ君の手料理、楽しみですね」

 

「タカトシは料理上手だからな! 女として複雑な気分にはなるが……」

 

「まぁまぁシノちゃん、タカトシ君を嫁だと考えれば良いんだよ!」

 

「なるほど! つまりTSだな!」

 

「あんたらもっとしっかりした方が良い……」

 

 

 タカトシとサクラさんがキッチンで作業してるので、この場にいるツッコミは私くらいなのだ。八月一日さんはこの三人との交流が無いし、五十嵐先輩は無視してるし……コトミと時さんは勉強に必死になってるし。

 

「ところでシノっち、お泊りする部屋はどうやって決めるの?」

 

「公平を期すために、私がくじを作って来た!」

 

「どれどれ……シノちゃん、不正はダメだよ」

 

「何故分かった!?」

 

 

 会長が作って来たくじには、タカトシと同部屋になるように細工が施されていた。でも、良く一目で気付いたわね、七条先輩……ぱっと見じゃ分からない細工だと思うんだけどな……

 

「公平を期すには、タカトシ君に作ってもらうしかないんじゃないかな」

 

「そうですね。後でタカ君にお願いしましょう」

 

「今日こそはタカトシと同じ部屋で!」

 

 

 こういうイベントの時って、必ずって言って良いほど会長はタカトシと違う部屋になり、私はツッコミが大変な組み合わせになるのよね……今度こそは私もタカトシと同じ部屋になりたいわよ。

 

「お昼出来ましたよ」

 

「コトミも時さんも、一旦休憩。テーブル片付けてくれ」

 

「タカ兄、私はお小遣いが懸かってるんだよ! お昼なんて食べてる場合じゃ――」

 

 

 そこで盛大にコトミのお腹が鳴り、恥ずかしそうに勉強道具を片づけ始めた。てか、食べなかったらもたないと思うんだけど……




なんというか……コトミの為には赤点で良い気がしてきた……

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