桜才学園での生活   作:猫林13世

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釘を刺されているのに……


それぞれの反省

 た、タカトシが使ってたフォークでタカトシのパスタを食べてしまった……これって完全に間接キスよね……べ、別にこの年で間接キスが恥ずかしいってわけでもないし、タカトシが気にしていないんだから、私も気にしなくていいのよね?

 

「わ、私のも食べる?」

 

「そうだね。少しもらおうかな」

 

 

 そういってタカトシは、自分のフォークで私のパスタを食べようとしてくる。それが普通なのだろうが、私はあえてそのフォークを遮り、自分が使っているフォークに適量巻き付けてタカトシに差し出す。

 

「さ、さっきのお返しなんだから、これが正しいでしょ?」

 

「まぁ、スズが気にしないならいいけど」

 

 

 そういってタカトシは、私が差し出したフォークでパスタを食べる。これも完全に間接キスね……しかも、次に私がまた使うんだし、なんだか恥ずかしくなってきたわね……

 

「食べ終えたらどこに行く?」

 

「へっ? そうね……小物でも見に行きたいけど、男のあんたが来ても面白くないかもしれないわね」

 

「別にいいよ。今日はスズに付き合うって決めたんだから」

 

「テストは同点だったのに、あんたは何も要求してこないのね」

 

「別にスズにお願いした事は今のところないし、何か出来たら頼むよ」

 

 

 た、タカトシに頼まれる事って、結構面倒な事っぽいわね……自分の事しか考えてなかったけど、タカトシから頼み事されるって大変じゃない……

 

「それじゃあ、そこに隠れてる会長たちを撒いて、スズの小物を買いに行こうか」

 

「えっ、会長?」

 

 

 タカトシが小声になったので、私もつられて小声に返したけど、どこに会長たちが隠れているのか、ついに私には分からなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシにバレてしまったので、私とアリアは大人しく買い物に行くことにした。

 

「完璧に隠れてたつもりだったのだがな……」

 

「畑さんを囮に使ったのにね~」

 

「コトミに忠告されていたが、やはり気になってしまったからな……怒られないよな?」

 

 

 アリアに問いかけるが、笑って誤魔化された……つまりはそういう事なのだろう……

 

「好奇心はほどほどにしないければ、と常々思っていたのにな……」

 

「仕方ないよ、シノちゃん。人間は好奇心には逆らえないんだから」

 

「まったくですね~」

 

「おぉ、畑」

 

「せっかくわざと見つかったのに、会長たちまで見つかってしまうとは……」

 

 

 あれってわざとだったのか……てっきり素で見つかったものだとばかり思っていたが……

 

「私はあくまで会長たちに付き合っただけで、私個人としては止めるべきだったと思っていましたからね。怒られてもそこだけは忘れないでくださいよ?」

 

「あっ、ズルいぞ! そもそもお前がこのボイスレコーダーと超小型カメラを渡してきたんだろ?」

 

「どっちにしろ怒られるんだし、諦めて遊びましょうよ?」

 

 

 既に開き直っているのか、アリアは怒られる事を恐れていないらしい。まぁ、決定事項ではあるのだから、今からあれこれ言っても仕方ないしな……

 

「それで、どこに行く?」

 

「女三人で映画を見に行ってもねぇ……ここは津田副会長たちみたいに、何か買いに行きますか?」

 

「それでしたら、私がご案内しましょう」

 

「出島さん、いつからいたの?」

 

「お嬢様が津田さんを尾行していた時から、私もお嬢様を尾行していました」

 

 

 つまり、出島さんはアリア専門のストーカーという事か……てか、今までいたことに気づかなかったぞ……

 

「是非その追跡の極意を教えてください」

 

「私の授業料は高いですよ?」

 

「これじゃあダメですか?」

 

 

 そういって畑が取り出したのは、アリアの着替え中の写真だった。どこで盗撮したんだ、こいつは……

 

「今回はこれで引き受けましょう。その代り、今後もお願いできますでしょうか?」

 

「では、交渉成立ですね」

 

「畑さ~ん、後で盗撮の件、聞かせてね~」

 

 

 出島さんとの間で交渉成立した畑だったが、アリアに後で怒られることが決定した。タカトシにも怒られる事になるのに、なんで自分から怒られる回数を増やしてるんだ、アイツは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄がスズ先輩とお出かけしてしまったが、私は追跡することなく家で大人しくソロプレイをしていた。だって、あんな表情のタカ兄を見てしまったら、体が火照って仕方ないのだから。

 

「やっぱりタカ兄だけで十回は絶頂出来るよ……なんでタカ兄がお兄ちゃんなんだろう……」

 

 

 それは、昔から思っていたこと。子供のころは無邪気に結婚の約束をしたりしたけど――実際は昼ドラの影響だったりしたけど――今そんな事言えばタカ兄に呆れられるだろう。だって、私とタカ兄は血のつながった兄妹なんだから……

 

「サクラ先輩やカエデ先輩のように、キスしてもらえないし……」

 

 

 タカ兄の近くで生活できる、という特典はあるけども、どう頑張っても最後の一線を越えることは私には出来ないのだ。

 

「私が、っていうよりはタカ兄がそんな事望まないだろうしね……」

 

 

 真面目が取り柄と言っても過言ではないタカ兄が、そんな背徳的なことを望むわけがないし……

 

「でも、そんな背徳的な妄想が堪らなく興奮するんだよね~」

 

 

 結局、タカ兄が帰ってくるまでの間、三十回は絶頂してしまい、部屋中汚しまくってしまった……

 

「で? どうやったらここまで汚れるんだ? 昨日掃除したと思うんだが」

 

「ちょっとソロ活動に気合を入れてしまいまして……誰もいないしリビングでって思ってました……」

 

「その活動の内容は聞かないが、夕飯が出来るまでに綺麗にしておけよ」

 

「はい、わかりました……」

 

 

 タカ兄は多分分かってて聞かなかったんだろうけども、それを今聞いたら余計に怒られるから黙っておこう。さてと、開放的な気分を味わえたのは良かったけど、なんでこんなに汚れてるんだろう……あっ、三十回も絶頂してたらこれくらい汚れるか……てか、何時間ソロ活動してたんだろう……




コトミなら、これくらい楽勝……ではないだろうな

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