桜才学園での生活   作:猫林13世

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視点分けが難しい話だ……


桜才学園七不思議 前編

 生徒会の仕事でたまたま学園に来ていた日に、たまたま新聞部から合宿の申請があった。

 

「この学園で合宿? 新聞部が何をするんだ?」

 

「実は、桜才学園にまつわる七不思議を体験取材しようと思いまして」

 

 

 畑さんが言った「七不思議」という単語に、スズが反応を見せた。それとは別に、シノ先輩とアリア先輩が目を輝かせたようにも見えたんだよな……なんとなく嫌な予感がする。

 

「噂の真偽は別として……危なそうなことには許可は出せないな」

 

「そうですよ!!」

 

「だから、我々生徒会が立ち会うのが条件だ!!」

 

「えっ!?」

 

「あぁ、やっぱりそうなったか……」

 

 

 こうして、新聞部主催、生徒会役員同伴の桜才学園七不思議体験取材、一泊二日の合宿が行われることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一度解散して、夕方に再び学園へとやってきた。出来ることなら参加したくないんだけどな……

 

「スズちゃん、お守りとか持ってきた?」

 

「そんなもの必要ありませんから」

 

「「「へー」」」

 

「ユーレイとか信じてませんから」

 

「「「へー」」」

 

「七不思議なんて子供だましですから」

 

「「「へー」」」

 

 

 会長、七条先輩、畑さんの三人が私の強がりに感心している。こ、これで怖がってることを誤魔化せたかしら。

 

「すごい度胸だねー」

 

「やはり念のためにな」

 

「てゆーか基本ですよ」

 

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

 三人ともしっかりとお守りを持ってきていた。てか、基本なら教えてよ!

 

「では第一の噂は、北校舎三階にある、ノロイの階段です」

 

「上りと下りで数が違うってやつですか?」

 

「ハズレー」

 

 

 タカトシと畑さんが何やら喋っているけど、耳をふさいじゃえば――

 

『ある日の放課後、女子高生が下校のためこの階段を下りていた時の事。ふと何か柔らかいものを踏みました。下に目をやるとそこには、男の顔が浮き出て笑っていたそうです』

 

 

 しまった! 読唇術で何を言ってるか分かっちゃった!

 

「女子高生に踏まれてうれしかったのか?」

 

「その説が濃厚かと」

 

「怖くない」

 

 

 な、何だ……いつも通りの下ネタ路線の七不思議なのね。それなら大丈夫かもしれないわね。

 

「第二の噂は『赤いプール』」

 

「じゃあプールに移動しましょう」

 

 

 でも、妙にタカトシがノリノリに思えるのは気のせいなのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プールにやってきた私とアリアは、とりあえず泳ぐことにした。

 

「夕焼けの日にここで泳ぐと、何者かに掴まれて水中に引きずり込まれるらしいのよ」

 

「そうなんですか?」

 

 

 タカトシと畑が七不思議について話してると、萩村が驚いた声を上げた。

 

「七条先輩の身体に何か掴まれたような跡が!!」

 

 

 よく見ると、アリアの肩らへんに跡が見える。これはもしかして――

 

「これは縄の――下着の跡だよ」

 

「もう誤魔化しとか無理だから」

 

 

――やはり縄の跡だったか。

 

「さっき解いてるの見たから、もしかしてと思ったが、やっぱりだったか~」

 

「紛らわしくてごめんなさいね~」

 

「「………」」

 

 

 後輩二人に蔑みの目で見られるアリア。なぜか水の中でクネクネしてるのは、きっとタカトシの視線が快感に変わったからだろうな。

 

「何もなさそうなので、お二人も着替えて次の場所に向かいましょう」

 

 

 そういわれたので、私とアリアは更衣室へと移動することにした。

 

「タカトシは外で待ってろ」

 

「別にタカトシ君なら覗いてもいいんだよ~?」

 

「覗きませんよ……」

 

 

 呆れたタカトシが先にプールの外に出てしまったので、私たちも急いで着替えることにした。

 

「お疲れさまでした~。下着どうぞ」

 

「コワクナイ、コワクナイ、コワクナイ、コワクナイ……」

 

 

 更衣室の隅っこで、萩村が何かを呟いているが、その光景がなんとなく怖いような気もするが……まぁいいか。

 

「ん? このブラ、アリアのじゃないか?」

 

「うん、こっちがシノちゃんのだね」

 

「え、逆でした?」

 

 

 畑が不思議そうな顔でこっちに近づいてくる。

 

「貧乳が大きいブラでポロリ、巨乳が小さいブラでポロリが私の定義でして」

 

「許さん!」

 

 

 そんな定義どうでも良いが、アリアのブラを渡された私の気持ちをどう考えるんだ! あんなに大きいなんて思ってなかったぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の検証場所へ移動して、私はやる気を見せた。

 

「次の検証場所は、旧館の女子トイレです」

 

「さすがに俺は外で待ってます」

 

「もう暗くなってきたから、さっさと済ませましょう。別に怖いとかじゃなく」

 

 

 津田副会長はともかく、萩村さんは怖いんじゃないのでしょうか。

 

「そうね、その意見には賛成」

 

 

 でもまぁ、萩村さんの意見には賛成するんだけどね。

 

「長くトイレに入っていると、大便と間違われるものね」

 

「貴女の口から、そんなデリケートな事言われても……それに、誰が勘違いするんですか?」

 

「えっ? 津田君以外に誰か勘違いする人がいるの?」

 

「……さっさと検証して来い!」

 

 

 津田副会長に怒られたので、私と天草さん、七条さんと萩村さんの四人でトイレに入った。

 

「トイレと言うと、やはり花子さんか?」

 

「いえ、違います。ここのトイレは異世界に繋がっており、夜に使用すると便器から悪魔の手が出てきて引きずり込まれるとか」

 

「ここが入口なのか…」

 

 

 天草さんと七条さんが興味津々なのに対して、萩村さんは一向に便器に近づこうとしない。

 

「ただ、これには対処法があってね」

 

「……どんなですか?」

 

 

 怖がっているのなら、安心させてあげればいいのよね。

 

「聖水を掛ければ浄化するそうです」

 

「聖水なんて、普通持ってませんよ」

 

「いや、トイレに来たんだから、出るでしょう?」

 

「えっ?」

 

 

 結局ここも何も起こらなかったので、私たちはトイレから出て、津田副会長と合流した。

 

「何もなかったんですか?」

 

「萩村さんの面白いポーズが撮れたんだけど、見る?」

 

「あんたいつ撮った!」

 

 

 さっきの驚いて股に力を入れる萩村さんの写真を見せようとしたけど、寸前で萩村さんにカメラを取り上げられてしまい、消去されてしまった……せっかく最近、萩村スズ親衛隊なるものが結成され、高く売れると思ったのにな~……まぁ仕方ないですね。




そっちの「聖水」をすぐ思いつく人は、まず普通ではない……

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