桜才学園での生活   作:猫林13世

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1話に収まらなかった……


お見舞い 前編

昨日の会長の誕生日パーティー、楽しかったけど相変わらずのツッコミ所満載の所為で、最近疲れてるんだよな……でも今日も校門で服装チェックがあるし、そろそろ起きないと間に合わないな……

 

「タカ兄ぃ、今日も生徒会の仕事あるって言ってたよね。そろそろ起きないと」

 

「あぁ……」

 

「タカ兄ぃ?」

 

 

あれ?何か世界が回ってるような……

 

「ハァハァ……」

 

「タカ兄ぃ、何興奮してるの?」

 

「ちげぇよ!……あっ」

 

 

これは駄目だな……今ツッコんだ所為で完全に熱が身体中に回った。立とうとしたが足に力が入らずにその場に倒れこむ。

 

「えっ、タカ兄ぃ?」

 

「ゴメン……風邪引いたっぽい」

 

「大変!すぐにベッドに入って!」

 

「おぅ……」

 

「それから氷枕持ってくる!」

 

 

朝から騒がしい妹だな……まぁ、それだけ心配してくれてるって事だよな……とりあえず萩村と柳本にメールしておこう……生徒会の仕事出来ないのと、学校行けないのとでメール送る相手が違うのも、何だか面倒な話だがな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遅い……普段ならとっくに来てる時間なのに。津田のヤツ、今日に限って遅刻かしら……

 

「萩村、さっきから携帯なってるぞ」

 

「えっ?」

 

「メール?」

 

「電話ですね」

 

 

イライラしてて気付けなかった……津田のヤツ、来たらただじゃおかないんだから!

 

「もしもし?」

 

「あっ、萩村……俺」

 

「津田?」

 

 

声に力が無いけど、この声は間違いなく津田の声ね……何かあったのかしら。

 

「メールしたけど返信無かったから一応電話したんだけど……」

 

「メール?」

 

 

言われて確認したら、確かにメールが届いていた……これもイライラしてて気付けなかったわね……

 

「俺、風邪引いたっぽいから今日行けないって連絡したんだ……」

 

「風邪?それで、大丈夫なの?」

 

「38.9℃、多分明日も駄目……」

 

「分かったわ。会長と七条先輩には言っておくから、ゆっくり休みなさい」

 

「うんありがとう……」

 

「お大事にね」

 

 

電話を切って会長と七条先輩に伝える。

 

「津田が熱出して今日明日は無理だそうです」

 

「何!?」

 

「津田君が!?」

 

「そんな!?」

 

 

……あれ?今、1人多かった気が……

 

「おや~津田君が熱を出して何故風紀委員長が驚くんですかね~?」

 

「五十嵐!?」

 

「それに、畑さんも」

 

「や!」

 

 

五十嵐先輩は兎も角、何で畑さんがこんな時間に……またある事無い事探してるのかしら。

 

「それで~、何故風紀委員長が津田君が風邪引いたってだけでそんなに驚くのか、お話聞かせてもらえませんかね~」

 

「それは……」

 

「それは~?」

 

「せっかく仕事を覚えてもらったのに、居ないんじゃ無駄骨だったなって……」

 

「はい、ダウト!」

 

「ヒッ!」

 

「風紀委員長が嘘吐いて良いんですか~?」

 

「う、うぅ……」

 

 

畑さん、ここぞとばかりに攻撃的ね……スクープの匂いでも嗅ぎつけたのかしら。

 

「なら皆で津田君のお見舞いに行きましょう」

 

「お見舞い?」

 

「えぇ!」

 

「そっか……お見舞いか!」

 

「それって私も?」

 

 

津田を家に招いた事はあるけど、津田の家に行くなんて思ってもみなかったわね……

 

「もちろんカエデちゃんもよ?」

 

「わ、私も!?」

 

「シャッターチャンスはお任せあれ!」

 

「何も無いわよ!」

 

「おや~?風紀委員長は何を思い浮かべたのですかね~?」

 

「正直に言った方が良いぞ~」

 

「さぁ、カエデちゃん!」

 

「「「さぁ!!」」」

 

「ヒィ!何か増えてる!!」

 

「………」

 

 

津田、アンタが熱出した理由が分かったわ……これじゃあ疲労も溜まるわよね……

 

「そ、そんな事よりも、放課後に津田君の家に行くって言っても、誰も場所知らないんじゃないですか?」

 

「それなら大丈夫だ!」

 

「会長?」

 

「畑が追跡して津田の家の場所はバッチリだからな!」

 

「……追跡?」

 

「おホホホホホホ」

 

 

畑さん、何で津田を尾行したんですか……

 

「それじゃあ、放課後は津田君のお見舞いね」

 

「途中でお見舞いの品を各自購入しよう」

 

「そうね」

 

「そうですね」

 

 

会長と七条先輩と畑さんの見舞いの品って何だか心配だけど、そこまではしないわよね……さすがに場をわきまえるくらいの常識は持ってると信じますからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だか下が騒がしい……この声はコトミと……えぇ!?

 

「何でこんなに大勢で!?」

 

 

聞き間違いじゃなきゃ5人来たって事だよな……お見舞いにしては大げさってか随分と大勢で来てくれたな……嬉しいようなちょっと不安なような。

 

「タカ兄ぃ、起きてる~?」

 

「あぁ」

 

「お見舞いだよ~。しかも美人さんが!」

 

「からかうなよ」

 

 

コトミがドアを開けて、想像通りの5人が部屋に入ってきた……会長たちは兎も角、何で五十嵐さんと畑さんが?

 

「津田、大丈夫か?」

 

「本当は私の主治医を連れてこようとしたんだけど……」

 

「さすがに大げさです!」

 

「……それ、私も言ったわ」

 

「そうなの。スズちゃんに止められちゃったの」

 

 

萩村、ナイス!七条先輩はやっぱり世間からズレてるな……普通の高校生が風邪引いただけで主治医なんて呼ばないでくださいよ……しかも七条先輩の主治医って事は相当な腕の持ち主だと想像出来るし……恐れ多くて頼めませんよ。

 

「わ、私は来る予定じゃ無かったんだけど……」

 

「そんな事言って、一番真剣にお見舞いの品を選んでたくせに~」

 

「畑さん!?」

 

「私が見てないと思ったんですか~?」

 

「こ、この人は……」

 

 

五十嵐さんの気持ちが良く分かる……畑さんは他人の迷惑をまったく考えませんからね。

 

「ゆっくりしていってくださいね」

 

「そうですね、もてなせませんが、せめてゆっくりしていってください」

 

「あっ!」

 

 

コトミが大きな声を上げて口を押さえる……何かあったのか?

 

「ゆっくりって言っても……兄が遅○って訳じゃ無いですからね!?」

 

「……これがアンタの妹なの?」

 

「……恥ずかしながら」

 

 

コトミの発言を聞いて、会長と七条先輩は何故か喜び、畑さんはメモを取り、萩村に同情され五十嵐さんは気絶した……本当に残念なんだよ、俺の妹は。




なるべく早く次を投稿するつもりです。

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