桜才学園での生活   作:猫林13世

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森さんアニメ化記念として、彼女が中心です


副会長の気持ち

 最近、タカトシさんの人気がますます上がっているらしいと、カナ会長から聞かされて、私はなんとなく焦りを覚えた。別に私とタカトシさんはお付き合いをしているわけではないのですが、それなりに親しい間柄だと自負している。彼が人気なのは知っていますし、カナ会長だけではなく、桜才の生徒会メンバーや風紀委員長の五十嵐さんもタカトシさんに好意を持っているのは、学校が違う私でも気づくことが出来る。

 タカトシさんも私たちの気持ちは気づいているようですが、あえて気づかない事で進展を避けている節が見られます。私や五十嵐さんとはキスしちゃっているのに、それでもアプローチしてこないなんて……ちょっと複雑な思いです。

 

「サクラっち、何か悩み事?」

 

「カナ会長……ちょっと今朝の事を考えていました」

 

「タカ君が横島先生に襲われそうになったって話?」

 

「そんなことは初耳です」

 

 

 そういえば、桜才には男子生徒を襲う生徒会顧問がいるって言ってましたっけ……まさかタカトシさんもその教師の毒牙に……

 

「返り討ちにした挙句にお説教したってコトミちゃんから速報が来たよ」

 

「あっ、何だ……」

 

 

 タカトシさんならそれくらい出来るだろうって分かってたけど、もしかしたらという考えが私の頭の中にあったのだ。初めてのキスの相手は私だけど、タカトシさんの初めてはほかにもある。それくらい私だって知っているし、出来ればその相手は私で……

 

「って! そうじゃなくって!」

 

「ん? どうかしたの?」

 

「い、いえ! ちょっと自己嫌悪に陥りそうになっただけです」

 

「そうですか。ところでサクラっち、タカ君の事が好きなんですか?」

 

「ぶっ!? な、何ですかいきなり!?」

 

 

 好意は持っていると自覚していますが、それが友人としてなのか、それとも……

 

「はっきり言いまして、タカ君の競争率は半端じゃないです。我ら英稜高校の女子生徒にも、潜在的タカトシハーレム要員は多いとの事ですし」

 

「何です? その『ハーレム要員』って?」

 

「タカ君の周りには、シノっち、アリアっち、スズポン、カエデっちと属性いろいろな女子が揃っています。そして更にピュワっこやドジっ子、実の妹までとありとあらゆるジャンルが存在しているのです」

 

 

 だ、だんだん会長が何を言っているのかが分からなくなってきた……そもそも属性って何でしょう?

 

「分かりやすく言うと、貧乳生徒会長、巨乳お嬢様、合法ロリツンデレ、ムッツリスケベなど、様々な属性を次々と虜に――」

 

「そんなこと本人に言ったら怒られますよ」

 

 

 タカトシさんはその手の話が嫌いらしいですし、話題を振っても見事に逃げちゃいますからね。

 

「まぁ、全て畑さんからの受け売りなんですけどね」

 

「あ、あの人は……」

 

「これ、サクラっちの分のタカ君のエッセイが載ってる桜才新聞」

 

「ありがとうございます」

 

 

 桜才学園新聞部の畑さんは、タカトシさんのコラムが載っている新聞を英稜に納品するためにちょくちょくこの学園にやってきている。その時にカナ会長に余計な事を吹き込んでるんだろうな……改めて考えると、タカトシさんの周りにはボケが多いんですよね……様々な属性とか言ってましたけど、そのほとんどがボケなのでは……萩村さんは七・三の割合でツッコミをしてるらしいですけどね。

 

「今日のシフト終わりに、タカ君に誰が好きか聞いてみましょう」

 

「会長が聞くんですか?」

 

「サクラっちが聞いても良いですよ」

 

 

 私は会長の申し出を丁重に断り、しかしその場には同伴する意思を伝えた。私だって女子高生ですので、素敵な彼氏が欲しいと思ったりするんですから、気になっている相手の恋愛事情に興味を持ってしまっても仕方ないですよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 恒例となっていたバイト終わりの寄り道の最中、カナさんが何の脈絡もなく恋愛話を始めた。

 

「英稜では確認されているだけで三十のカップルが存在しているんですよ」

 

「はぁ……桜才は全面禁止ですからね。三十が多いのか少ないのかよくわからないです」

 

「一学年に十のカップルが存在する計算ですから、割かし普通なのではないでしょうか? 私もお付き合いしたことないので分かりませんが」

 

「カナさんならすぐに良い人が見つかると思いますよ」

 

 

 社交辞令ではなく、割かし本気だ。もちろん、下ネタを控えればという条件付きではあるが……この人やシノ会長、アリア先輩は、黙っていれば美人だと俺も思っている。ただそういう対象で見るには、やはり下ネタを控えてもらわなければと思ってしまうのだ。

 柳本や他の男子からは羨ましがられるのだが、ツッコミポジションというのはそれなりに疲れるのだ。代わりたいなら喜んで代わってやるのだが、誰も代わってくれはしないのだ。

 

「タカ君は? かなりモテてるんでしょ?」

 

「生徒会の仕事と家事、バイトにコトミの面倒とやることが多いですからね。恋愛してる暇はないですね」

 

「じゃあ、その全てが一段落したと仮定して、誰かとお付き合いするとしたら、どんな子が良いの?」

 

 

 今日は随分とぐいぐい来るな……普段ストッパー役のサクラさんも、今日は何故かストップを掛けてこないし、何か聞きたいことがあるのか?

 

「そうですね……とりあえず、ボケ無い人が良いですね。お付き合いしてるのにボケとツッコミの関係じゃ、なんかしっくりこない気がしますし」

 

「そうなると、サクラっちみたいな子と言うわけですか?」

 

「っ!? 会長、何を急に……」

 

「サクラさんならいいかもしれないですね。境遇も似てますし」

 

 

 ツッコミの辛さは同じツッコミにしか分からないからな……互いに辛さを分かち合えば、大変だと思わずに済むかもしれないし。

 

「……ん? サクラさん、顔が赤いですよ」

 

「タカトシさんの所為です」

 

「はぁ」

 

 

 そんな反応されると、ちょっと悪い事をしたと思ってしまいますよ……でも、あれって照れてるんだよな。てことは、サクラさんも満更ではないと言う事か。うん、覚えておこう。

 

「おっと、すみませんが今日はここまでと言う事で」

 

「何か予定でも?」

 

「コトミが、夏休みの宿題を溜め込んでるので」

 

「そうですか、ではまた今度」

 

 

 カナさんとサクラさんと別れ、俺は家に帰りコトミの宿題を見るという仕事に向かう。何時もより溜めてないらしいが、残り一週間で終わる量なんだろうな……




一週間経ってますが、そこのツッコミは無しでお願いします

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