桜才学園での生活   作:猫林13世

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珍しくシノ視点オンリー


シノの立ち位置

 何だか津田家にお泊りするときは、森がタカトシの部屋に泊まる率が高い気がするが、今回はじゃんけんだったからな……普段弱いヤツほど、こういう時に一人勝ちするんだなと思った……

 

「シノっち、そんな恨みがましくタカ君の部屋の方を睨みつけなくてもいいのでは?」

 

「カナは焦らないのか? タカトシと森は、二回もキスしてるんだぞ! タカトシも若干意識してる風だし、今夜二人が合体するかもしれないと思うと……教育的指導をするしかないだろ!」

 

「私は別に、NTR属性がありますので、それはそれでありだと思います」

 

「その前に、タカ兄もサクラ先輩も真面目ですから、シノ会長が考えてるようなことは起こらないと思いますよ」

 

 

 さっきまで机で死んでいたコトミも会話に加わってきたが、そんなことは私だって分かっている。タカトシも森も真面目で私たちのように思春期真っ盛りな考えをしていないと言う事くらいは。だが、理屈では分かっているが、万が一が起こるかもしれないと思ってしまうのも仕方ないのではないだろうか。

 

「私的には、サクラ先輩がお義姉さんでも全然かまいませんけどね~。タカ兄も結婚生活の大半をツッコミで費やしたくないでしょうし」

 

「私たちって、そんなにタカ君の時間を浪費させているのでしょうか?」

 

「カナ会長は会う時間がそう長くないので分かりませんが、シノ会長やアリア先輩は結構タカ兄の時間を浪費させていると思いますよ」

 

「そうだったのか……」

 

 

 私たちはタカトシの時間を無駄に奪っていたのか……

 

「つまり、シノ会長たちはボケる回数を減らせば、それなりに可能性は高まると思うんですよね」

 

「コトミちゃんは、勉強は苦手だけどこういった分析は得意そうですね」

 

「そりゃ、タカ兄の事を一番近くで見てきたのは私ですから!」

 

 

 確かに、学校では私たちの方がタカトシと過ごす時間が長いが、コトミは家に帰って来てからずっと一緒なのだ。タカトシがバイトに行っている間は兎も角として、休日や放課後、一番長くいられるのは妹のコトミだろう。

 

「コトミから見て、タカトシとサクラはどう思う?」

 

「はっきり言わせていただくならば、一番お似合いだと思いますよ。絵的にも美男美女ですし、纏ってる空気も似てますしね」

 

「ちなみに、コトミちゃんから見て二番目にお似合いだと思う相手は?」

 

「二番目ですかー……アリア先輩……いや、カナ会長? スズ先輩もなかなか……」

 

「おい、何故私の名前が出ないんだ!」

 

「どうしてもシノ会長とタカ兄だと、会長副会長のイメージが強いんですよね~」

 

 

 前に新聞部のアンケートでも、そんな意見が多数あったと、畑から聞かされたな……確かに会長と副会長の間柄ではあるが、男と女だぞ? 何故そっち方面で噂が立たないのだろうか……

 

「それで、結局二番目は誰なんですか?」

 

「僅差でアリア先輩ですかね。スズ先輩だと身長差がありますし、カナ会長は本気なのかどうか疑わしい部分も感じられますし」

 

「私だって本気ですよ? ただ、NTR属性が邪魔してるだけで」

 

「それがあるので、カナ会長は三番目ですかね」

 

「結局私は何番目なのだ?」

 

 

 コトミからの評価もこれほど低いとなると、私は大分出遅れているのだろう。

 

「隣にいてしっくりくるのは、シノ会長がダントツですけど、それイコールお似合いかと言われると……って感じですよね。正直言って、タカ兄とシノ会長がお付き合いしてる光景を想像出来ないんですよ」

 

「アリアやカナは出来るのに、私では出来ないというのか!?」

 

「出来ないわけじゃないんですけど……どうしても途中から備品の買い出しとか、そんな光景にすり替わっちゃうんですよ」

 

「私とタカトシは事務的な関係でしかないと?」

 

「シノ会長って積極的なのか消極的なのか分かりにくいんですよ。アリア先輩やカナ会長はぐいぐい行きますし、スズ先輩も最近はかなり積極的ですし、同級生の強みって言うんですかね? テスト前とか一緒に行動する理由が作りやすいですし」

 

 

 言われてみれば、確かにあの二人はテスト前になると行動を共にしてる感じがするな……一年の時はそんなことは思わなかったが、やはりタカトシが実力を伸ばしてきた事と関係があるのだろうな。

 

「その人たちと比べると、シノ会長は若干のアピール不足ですかね。せっかく萌え要素をいっぱい持っているのに、それを活かしきれていない気がします」

 

「確かにシノっちは『ツンデレ』『貧乳を気にしている』『生徒会長』という萌え要素を持ち合わせているのに、イマイチタカ君にはアピール出来てない気がしますね」

 

「イマイチ納得出来ないが、私はアピール不足だったのか……」

 

 

 別に近くにいられる事で満足していたわけではないが、確かに思い返せばアリアや萩村は積極的にアピールしている気がする……それが上手く行っているかどうかは別にしても、アピールしない事には異性として意識されなくて当然だったな。

 

「良し、明日からはもっとタカトシにアピールするぞ!」

 

「私的には、誰がお義姉さんになっても嬉しいですから、頑張ってくださいね」

 

 

 コトミに勉強を教えた代わりに、私はコトミから色々と学んだ気がする。まさかコトミがこんなに頼もしいと思う日が来るとは思ってなかったぞ。

 翌日、決意新たにリビングに降りていくと、キッチンで朝食の準備をするタカトシと、それを隣で手伝う森の姿があった。今はあの位置にふさわしいだけのアピールが出来ていないが、何時かあの位置に立ってみせる!




これが変な方向に行かない事を祈る……

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