桜才学園での生活   作:猫林13世

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高総体 一日目

 いよいよ始まった高総体、その初日。我々桜才学園生徒会メンバーはソフトボール部の応援にやって来た。

 

「今日は暑いな」

 

「そうですか? まぁ、若干湿度が高いので暑く感じるのかもしれませんね」

 

「タカトシは感じないのか?」

 

「ええ」

 

「そうか……じゃあ、私が重ね着をしてるからだろうか――」

 

「それじゃあ暑く感じても仕方ないですね」

 

「ブラを」

 

 

 私が重ねているものを告げると、タカトシは私に呆れた視線を向けてきた。これは下ネタじゃなく事実だから問題ないよな?

 

「それにしても、初戦の相手が英稜高校とはね」

 

「何かと縁があるよな」

 

 

 私とタカトシの間に入ってきた萩村が、初戦の話を始めると、タカトシもそちらに加わった。

 

「こんにちは、タカ君。そしてその他大勢の皆さん」

 

「会長、それじゃあ失礼ですよ……」

 

「カナ! その他大勢とは何だ! 私たちはちゃんと名前があるぞ!」

 

「会長、なに言ってるのか不明ですよ……」

 

 

 カナには森がツッコミを入れ、私には萩村がツッコミを入れた。

 

「今日は敵同士ですし、馴れ合いは不要です」

 

「そうだな! 試合が終わるまで、我々は敵同士だ!」

 

「今日は舐めあいだ!!」

 

「その表現、誤解されそうだぞ」

 

 

 カナの表現が卑猥に感じたのは、きっと私だけではないはずだ。

 

「ところで、今日は魚見さんは参加しないのですか?」

 

「この間は選手が急用で来れなかったから臨時で出ただけです。私はソフトボール部ではありませんので」

 

「じゃあ、遠慮なく桜才を応援出来るね~。カナちゃんが出てたら、知り合いだし応援しようかとも思ってたけど」

 

「アリアっち、チアガールのコスがお似合いです。そのままプレイにも使えそうですね」

 

「ありがと~」

 

「今のは褒め言葉だったのか?」

 

「私に聞かないでよ……」

 

 

 タカトシと萩村、そして森も今の会話をどうやって受け取るべきかで悩んでいる。まぁ、結局は特に意識しないで終わったようだが……

 

「一応確認しますが、七条先輩」

 

「ん~?」

 

「ちゃんと下、穿いてますよね?」

 

「ちゃんと穿いてるよ~、使い捨てスパッツ」

 

「使い捨て?」

 

 

 私もそんなスパッツは初めて聞いたな……新商品だろうか?

 

「使い終わったら破きながら脱ぐの」

 

「そんな使われ方は想定していませんよ」

 

 

 森にツッコまれて、アリアはスパッツは再利用出来るものだと知ったようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵同士とはいえ知り合いなので、私は桜才学園の皆さんと一緒に観戦する事にしました。もちろん、サクラっちも一緒です。

 

「ところでシノっち」

 

「何だ?」

 

「胸のあたりに不自然さを感じるのですが、パットでも入れてるのですか?」

 

「……ブラを重ね着してるだけだ」

 

「そうですか」

 

 

 シノっちの謎も解明したところで、私は試合に集中する事にしました。

 

「ファールボールだ!」

 

「ボールに注意しろ!」

 

 

 タカ君とシノっちの声に反応して、観客たちがボールの行方に集中しました。その先には――

 

「z」

 

「おや、萩村が寝てるな……」

 

「タカ君が担ぎ上げましたね……」

 

 

――お昼寝中のスズポンがいて、そのスズポンをタカ君が担ぎ上げて運んでいきました。

 

「お昼寝してる幼女を誘拐した図、には見えませんね……」

 

「タカトシはペドでもロリでもないからな」

 

「タカトシ君は真面目だしね~。英稜高校でもタカトシ君は有名人みたいだし、おかしな想像をする人はい無さそうだね」

 

 

 アリアっちの言っている事は全くその通りなのですが、逆にアリアっちの姿を見ておかしな妄想をしてる男子は結構いるみたいですね。さっきから試合そっちのけでアリアっちのチアコスをガン見して、前かがみになってる男子が大勢いるようですし。

 

「萩村がおねむということは、結構な時間なのか? タカトシ、今何時だ?」

 

「えっと……あっ、電池切れてる」

 

「時計ならあそこにありますよ」

 

 

 タカトシの腕時計の電池が切れていたようで、森がフォローするように学校の時計を指差した。

 

「そろそろ試合も終わりそうだな」

 

「そうだね~。このままだと延長になりそうだけどね~」

 

 

 アリアがそう言ったタイミングで、英稜の選手がホームランを打った。これで二点差になった。

 

「これは厳しいな……」

 

「我が校は様々な部活に力を入れてますからね。特に、桜才学園には負けないようにと!」

 

「くそぅ!」

 

 

 カナの言葉通り、我が校のソフトボール部は研究されていたようで、一対三で敗れてしまった。

 

「残念でしたね」

 

「私、途中覚えてないんだけど……」

 

「スズちゃん、寝てたからね~」

 

 

 昼寝から覚めたのか、萩村が試合結果を見て残念がっていた。

 

「友人が出場していたので、なんて声を掛けるべきでしょうか……」

 

「これは勝負の世界だ。慰めは不要だと思うぞ」

 

「そうだよ~」

 

 

 私の意見に、アリアが同意を示してくれた。やはり、生徒会長としてたまには威厳を示しておかないとな。

 

「慰めは、個人でするものだよ」

 

「う~ん……」

 

「私が言ったのはそういう意味じゃないぞ?」

 

 

 コトミや畑に言われたからではないが、少しは自重しなければな……

 

「まぁ、今日は残念だったがまだ終わりじゃない! 明日も気合い入れて応援するぞ」

 

「そうですね。まだ高総体は始まったばかりですものね」

 

 

 萩村が予想以上に張り切っているが、私は別の意味でも張り切らなければな。この期間中に、少しでもタカトシに意識してもらえるように……




自分よく腕時計を放ったりぶつけたりするんですが……それって心理テスト的にどうなんでしょうね

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