桜才学園での生活   作:猫林13世
<< 前の話 次の話 >>

236 / 503
コトミの厨ニは治るのだろうか……


高総体 三日目

 高総体三日目、今日は柔道の個人戦の応援にやって来た。我が桜才学園からは、三葉とトッキーが参加する事になっている。

 

「三葉は何をしているんだ?」

 

 

 先ほどから、正座をしてピクリとも動かないので、私は手近にいた柔道部員に尋ねた。確か、中里と言ったか……

 

「あれは精神統一をしているんですよ。ああやって心を落ち着かせているのです」

 

「そうなんだ~。あんなに長い時間正座出来るなんて凄いね~」

 

「アリア先輩は、お稽古事などで長時間正座する機会があるのでは?」

 

 

 タカトシの疑問に、私と萩村も頷いて同調する。アリアのお稽古事には、確か華道や茶道もあった気がするし。

 

「お稽古事の時は兎も角、普通の時に正座すると、踵がちょうど当たるからイケナイ気分になるんだよね」

 

「パンツを穿いてください」

 

 

 事務的にツッコミを入れ、タカトシはアリアから視線を逸らした。やはりタカトシは普通の男子高校生ではないな。目の前の美人な先輩がノーパンだと知って、あそこまで冷静に対処出来るとは。

 

「あら。時さん、その右足どうしたの?」

 

「あぁ、昨日の試合でちょっとな。まぁ大したこと無いんで」

 

 

 萩村がトッキーの足を心配していると、その背後からコトミが現れた。

 

「おや、トッキー。『静まれ、私の右足!!』とは斬新だね」

 

「………」

 

「放っておいていいですよ」

 

 

 厨二発言をしたコトミをどう扱おうか悩んでるトッキーに、タカトシが声を掛けた。さすがは、長年コトミの兄をやって来ただけの事はあるな。

 

「ところでタカトシ」

 

「何でしょう、シノ会長」

 

「前から思っていたのだが、君は何か部活はしないのか?」

 

 

 あれだけの運動神経だから、どの部活に入っても大活躍する事間違いなしだと思う。もちろん、生徒会を優先に考えてくれている事はありがたいが、もし兼任でもやる気があるなら、私はタカトシを生徒会に縛るつもりは無いのだ。

 

「今更ですよ。それに、部活に割ける時間がありませんし」

 

「生徒会の事なら気にするな。君がいなくても何とかする」

 

「いえ、生徒会の業務ではなく、ツッコミが……」

 

「何時もすまない……」

 

 

 私はボケようとは思っていない――いや、前まではわざとボケたりはしてたが、それほどまでにタカトシの時間を奪っていたとは……もっと反省して、少しでもタカトシの浪費していた時間を浮かせ、そしてゆくゆくは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前の試合を、オール一本勝ちで決めた私は、お昼の為にスズちゃんたちと合流した。

 

「さすがムツミね。オール一本勝ちとは」

 

「へへ、頑張って練習してきたもんね」

 

「最早男子より強いんじゃない?」

 

「さすがのタカトシ君も、ムツミちゃんには勝てない?」

 

「どうでしょうね。リーチの差があるので、多少はまともに戦えるかとは思いますが……組んだら勝てそうに無いですね」

 

「(ひょっとして、か弱さが足りない?)」

 

 

 タカトシ君は十分強い人だけど、もしかしてタカトシ君はか弱い女の子が好みなのかな? そうなると、これまで猛者たちをオール一本で倒してきた私って、タカトシ君の好みから外れてるのかも……

 

「余計な事考えてるわね?」

 

 

 スズちゃんに睨まれ、私は慌てて両手を振って否定した。否定した所為で、何を考えていたか忘れちゃったけど、とにかくお昼にしよう。

 

「今日のお昼は、出島さん特性カツまみれ弁当です」

 

「こっちは俺から」

 

 

 七条先輩が持ってきてくれたお弁当も美味しそうだけど、タカトシ君の用意してくれたお弁当も美味しそう。

 

「これは、津田君が作ったの?」

 

「まぁ、一応は」

 

「へー。家事も出来るって噂は聞いてたけど、こりゃ女として危機を覚えるね」

 

「そう言いながら、中里さん全然気にしてる様子じゃないけど?」

 

「あっ、やっぱり分かる?」

 

 

 チリと楽しそうにお喋りしながら、タカトシ君はコトミちゃんに視線を向けた。

 

「コトミ、行儀が悪いから胡坐をかくなといつも言ってるだろ」

 

「良いじゃん別に。タカ兄だって胡坐座りなんだし」

 

「そういう問題じゃ……」

 

「ほうらよ。おんにゃのきょがあぎゅらは――」

 

「ムツミ。行儀悪いから食べるか喋るかのどっちかにしなさい」

 

 

 コトミちゃんに注意しようとしたら、私がスズちゃんに怒られちゃった。

 

「(もぐもぐ)」

 

「コミュニケーションを放棄したわね……」

 

 

 食べる事に専念した私に、スズちゃんがそんなツッコミを入れてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後の順調に勝ち進み、ムツミちゃんとトッキーさんは優勝したよ~。

 

「強かったね~」

 

「さすが、我が桜才学園柔道部の主将と期待のホープだったな」

 

「しかし、今回は英稜学園の選手が怪我で出場辞退してましたし、次の大会は苦戦を強いられる可能性は十分にありますからね」

 

「萩村、事実かもしれんが、今は勝ったことを喜ぼうではないか」

 

 

 シノちゃんの言葉に、スズちゃんも軽く謝ってから勝利を喜びだしたみたい。やっぱり、勝った時はお祝いしなくちゃね。

 

「皆若いわね……私の涙なんてとっくの昔に枯れ果てたわ」

 

「あっ、横島先生……おられたのですね」

 

「ずっと隣にいたわよ! お昼の時だって、私いたんだけど!?」

 

 

 存在感が薄かった横島先生が必死にアピールしてるけど、シノちゃんたちはそれに取り合うことは無かった。とりあえず、無事に高総体が終わって良かったよ~。




存在感の薄い人が……ある意味濃いんですがね


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。