桜才学園での生活   作:猫林13世

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ちょっと久しぶりにあの人が


夏休み明け

 夏休みも終わり、今日から新学期――なのだが、生徒会役員である俺たちは何故か午前六時に学校に呼び出された。

 

「シノ会長、何の用事があってこんな時間に召集されたのでしょうか?」

 

「うむ。我々生徒会役員は、この後行われる始業式で全校生徒の前に立つわけだが、休みボケや寝ぼけ眼では示しがつかない。そこで、我々生徒会役員はラジオ体操をしてから始業式に臨むことにした」

 

「そう言えば、ラジオ体操って大胸筋鍛える動きが多いよね~」

 

「なっ、それとこれとは関係ないぞ!」

 

「ほんとうに~? だって、普通に考えればシノちゃんや私、スズちゃんにタカトシ君が夏休みボケになる可能性は低いでしょ~? それなのにいきなりラジオ体操っていうから、てっきりシノちゃんがバストアップするための運動に付き合わされるのかと思ったよ~」

 

 

 アリア先輩の言葉に、シノ会長は動揺を見せた。これはつまり……

 

「正直に言ってください。会長の目的の為に俺たちは付き合わされるのでしょうか?」

 

「……正直そういう意図もあった」

 

「一人でやるのが恥ずかしかったの~?」

 

「だって! 萩村がいれば誤魔化せると思って」

 

「その点、詳しく聞かせてもらいましょうか」

 

「萩村なら容姿相応に見えなくもないだろ? ……って、萩村? そのバットは何処から取り出したんだ?」

 

 

 萩村が何処からか取り出したバットを振り上げ、会長を追いかける。俺とアリア先輩は、その二人を生暖かい視線で見守ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝から生徒会役員が何かしていたみたいだけど、結局は声を掛ける事無く始業式の時間になってしまった。

 

「おんや~?」

 

「ヒィ!?」

 

「……声を掛けただけでその悲鳴は、いくら私とはいえ傷つきます」

 

「あっ、ごめんなさい畑さん……」

 

「お詫びという事で、夏休みにどれくらい副会長でソロプレイをしたのかを――」

 

「そんなにしてません!」

 

「つまり、一回以上はしたと」

 

「知りません!」

 

 

 畑さんの質問に、私は顔が熱くなっていくのを感じていた。自爆したようだけど、とりあえずは逃げ出すことが出来たので善としよう。

 

「五十嵐、何か問題でもあったか?」

 

「いえ、津田さんが初日から遅刻しかけたくらいですね」

 

「妹が本当に申し訳ありません……遅刻扱いでも構いませんので」

 

「い、いえ……ギリギリ間に合いましたので」

 

 

 さっきの畑さんとの会話の所為で、まともに津田君の顔が見れない……男性恐怖症とは別の理由で、津田君に触れないかもしれないわね……

 

「カエデちゃん、タカトシ君の事意識してるのバレバレよ?」

 

「んなっ!? な、何を言ってるんですか、七条さん」

 

「大丈夫、十分距離は取ったし、タカトシ君は今シノちゃんと段取りの最終確認中だから」

 

「……夏休みの間、あまり会えなかったので」

 

「分かるよ。だからあんなにソロプレイを――」

 

「貴女もですか!!」

 

 

 噂では津田君の前では下ネタを言わないように気を付けてるらしいけど、やはり七条さんは七条さんなのね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜才学園でも始業式が行われた今日、私とサクラっちはいつも通りバイトだった。

 

「最近タカ君に会えてませんね、サクラっちは」

 

「会長は先日、桜才学園のプールで会えたんですもんね」

 

「サクラっちも誘ったのに、用事があったんでしたね」

 

「大した用事じゃなかったんですが、会長に誘われるより先に入ってた予定でしたので」

 

 

 サクラっちはそっちの約束を優先したがために、タカ君に会うチャンスを逃してしまったんですよね。

 

「今日はタカ君、シフト入ってないですもんね」

 

「タカトシさんは忙しそうですし、仕事も出来る人ですから私たちと中々同じシフトにならないんですよね」

 

「人が減ってしまったので、タカ君が期待されるのも仕方ないんですけどね……」

 

 

 サクラっちもだけど、私だってもっとタカ君と会いたい。タカ君とイチャコラしたいんです!

 

「別に私はそこまで言ってませんけど……」

 

「あら? 声に出てましたか?」

 

「えぇ、はっきりと……」

 

 

 これはいけませんね。心の声が外に漏れてしまうと、私の本性を全員に知られてしまうことになってしまいます。気を付けなければ……

 

「おはようございます」

 

「おや? タカ君がどうして?」

 

「新しい人が入ったらしいので、その研修に」

 

「指導員は私ではなくタカ君でしたか」

 

「同時期に入ったのに、タカトシさんは凄いですね」

 

「いえ、その新人ってのが、桜才学園の子らしいので、それで店長に任されました……」

 

 

 同じ学校の子だからって理由で任すとは……店長、考えるのが面倒になったんですね。

 

「それじゃあ、私は裏で作業してますので、表は基本サクラっちがお願いします」

 

「俺も一応表にいますが、基本的にはサクラさんと新人の方に任せますので」

 

 

 ちなみに、新人の子はあまり見たことない方でした……いわゆるモブキャラなのでしょうが、相変わらず桜才学園のモブキャラのレベルは高いですね。

 

「一応ツッコみますが、メタ発言は控えてくださいね」

 

「あら? また声に出てましたか?」

 

「いえ、顔に書いてあります」

 

「さすがタカ君ですね」

 

 

 読心術が使えるタカ君ですので、私が考えている事などお見通しでしたね……気を付けなければいけません。




これでまた出せる機会が増えたな……

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