桜才学園での生活   作:猫林13世

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下キャラとして早めに登場


OG来訪

 生徒会室にやってくると、見覚えのない人が会長の席に座っていた。

 

「誰?」

 

「卒業生かな?」

 

 

 来客があるなんて聞いていなかった私とタカトシは、生徒会室の入口前で固まってしまった。

 

「何してるんだ?」

 

 

 生徒会室に入らない私たちを見て不審に思った会長が声を掛けてきたので、私は見たままを会長に伝えた。

 

「会長の席に人がいまして……」

 

「どれどれ~?」

 

 

 私の言葉に興味を持った七条先輩が喜々として生徒会室を覗き込んだ。

 

「古谷先輩じゃないですか」

 

「おー七条、久しぶりだな」

 

「何で先輩がここに?」

 

「天草も久しぶりだな。ちょっと用があって学園に来たんだが、懐かしくなってつい生徒会室に立ち寄ったんだ。そしたら鍵開いてるから」

 

「昼休みに使った後閉めるの忘れてたのか」

 

 

 会長にしては珍しいミスだが、私もタカトシも気づかなかったので反省しなければ……

 

「今から会議か? それじゃあ私は別の席に座るとするか」

 

「今先輩の好きな昆布茶とかりんとう用意しますね」

 

「し、渋いですね……」

 

 

 緑茶ならまだしも昆布茶とは……てか、何で常備されてるのか分からない組み合わせね……

 

「うわぁ!?」

 

「おっと、今は君の席だったか……天草を驚かそうと思ってたんだが」

 

「また古典的なトラップを……」

 

 

 私がクッションの上に座ると、昔懐かしのブーブークッションが仕掛けられていたようで、私は思わず跳び上がってしまった。

 

「誰だ、今チナラしたのは!」

 

「横島先生は変わりませんね」

 

「お前、古谷か! 随分と見た目が変わったな」

 

「華の女子大生ですから、ナウい恰好しなきゃですしね」

 

「な、ナウい……?」

 

 

 かなり昔に流行った言葉のはずだけど、何でそんな言葉をこの人が……もしかして、大分中身は古い人なのだろうか……

 

「ところで、君が桜才生徒会初の男子役員だよね」

 

「はぁ、そうですが」

 

「なるほどなるほど、かなりのしょうゆ顔だね」

 

「しょうゆ顔?」

 

「確か、日本風の顔って意味よ」

 

 

 それとは逆に、西洋風の顔の事はソース顔というんだっけ……また古い言葉を使うわね、この人は……

 

「天草や七条の雰囲気が変わったのは君のお陰なのか?」

 

「古谷先輩!」

 

「ちょっとこっちに来てください!」

 

「おっ? なんだいったい」

 

 

 会長と七条先輩に引き摺られて行った古谷さんを見送りながら、私はタカトシの方に視線を向けた。

 

「何だか大変そうな人ね……」

 

「昔のシノ会長やアリア先輩を知ってるという事は、あの人はツッコミなのか?」

 

「いや、恐らく一緒にボケてたんだと思うわよ」

 

 

 いなくなった先輩たちの代わりに、私とタカトシは溜まっている仕事を少しずつ片づけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古谷先輩を廊下に引っ張り出し、私とアリアは必死になって言い訳を始めた。

 

「べ、別にタカトシの為に変わったわけじゃないですからね」

 

「へー、タカトシ君というのか、彼は」

 

「とにかく、古谷先輩はもう用事が済んだんですよね? いつまでもOGとはいえ部外者が校内に居座るのは問題ですよ」

 

「お堅いのは相変わらずなのか」

 

「ところで古谷先輩は何故生徒会室に? 懐かしいとかおっしゃってましたけど、用事が無ければ立ち寄らないと思うんですけど」

 

「ああ、七条の言う通り用事があったんだ。今度ウチの大学の文化祭があるから、お前たちを招待しようと思てな」

 

 

 そう言って古谷先輩は、胸の谷間から招待券を取り出してきた。

 

「で、デカい……」

 

「七条には負けるけどな」

 

「でも、先輩も十分大きいですよ~」

 

 

 次元の違う話に、私は心が折れそうになった……何で私の周りにはこう、大きい人しかいないんだ……

 

「天草さんに七条さん、そちらの方は?」

 

「おっ、五十嵐じゃないか、久しぶりだな」

 

「その声……古谷会長ですか?」

 

「見りゃわかるだろ」

 

「いえ……だいぶ雰囲気変わりましたね」

 

 

 私の前の生徒会長なので、当然五十嵐とも面識はある。だが、五十嵐が言ったようにだいぶ見た目が変わってるから、一見しただけじゃ分からないんだよな……

 

「そう言えば男嫌いの五十嵐にとっては、共学化なんてたまったもんじゃなかったんじゃないか?」

 

「え、えぇ……転校しようかとも思いました」

 

「それにしては、だいぶ攻めた下着つけてるな」

 

「いきなりスカートを捲らないでください!」

 

「下着と言えば、七条が穿いてるなんて珍しいな。お前も彼の影響で変わったのか」

 

「タカトシ君、下ネタとかそういった行動が嫌みたいですから」

 

「男なのにか?」

 

「私たちが言い過ぎたってのもあるんでしょうが、アイツの妹がド思春期で下発言が酷いんですよ」

 

「なかなか面白そうなヤツだな」

 

 

 コトミに興味を持ったのか、辺りを見回し近くにいないか探し出した古谷先輩だが、コトミの事知らないのにどうやって探すつもりだったのだろうか……

 

「まぁ、五十嵐も雌だったって事が分かった事だし」

 

「なんですかそれ!」

 

「お前もあのタカトシ君の事を意識してるんだろ?」

 

「てか、ブチューってしちゃってますしね~」

 

「畑か、久しぶりだな」

 

 

 いきなりの登場にも全く動じない古谷先輩。まぁ、畑のこれは昔からだからな……

 

「これがその時の写真です」

 

「随分と大胆な水着だな……この後ヤッたのか?」

 

「ヤッてません!」

 

 

 何をと聞かないあたり、やはり五十嵐はムッツリスケベなんだな……まぁ、全校生徒が分かってたことだが……




出番少ないですけどね……

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