桜才学園での生活   作:猫林13世

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今回は堂々と登場させられる


放課後の生徒会室

 放課後はもはや日課の生徒会業務をこなすため、スズと一緒に生徒会室へと向かう。

 

「そう言えばそろそろ定期試験だけど、アンタの妹大丈夫なの?」

 

「さぁ、どうなんだろうな……また直前に泣きついてくるんじゃないかな」

 

 

 実際コトミが家で勉強してるところなんてみた事無いから、外で勉強してないんだったらそうなるんだろうな。

 

「私たちも手伝いましょうか?」

 

「そうだね。きっと時さんも一緒だろうし、会長たちも便乗して来るかもしれないしね」

 

 

 何処で聞きつけたのか分からないが、毎回のようにシノ会長やアリア先輩、カエデさんもいたりする。この三人は同じ学校だから分かるんだが、何故かカナさんやサクラさんも参加する時があるんだよな……

 

「会長」

 

「はい?」

 

「あれ? 何でカナさんがここに?」

 

 

 生徒会室の扉を開けたら、何故かカナさんとサクラさんがいた。

 

「今日って交流会の日でしたっけ?」

 

「違います。普通に遊びに来ただけです」

 

「すみません……私じゃカナ会長を止める事が出来ませんでした」

 

 

 サクラさんが申し訳なさそうに両手を合わせて頭を下げてきたが、そこまで謝られるとかえって困るんだけどな。

 

「それで、何故カナ会長はシノ会長のジャージを?」

 

「実はですね、ここに来る途中トラックに水を撥ねられまして……今洗濯してもらってるところです」

 

「そうでしたか。それで、本当に遊びに来たんですか?」

 

「英稜は今日、生徒会業務がありませんでしたので」

 

「まっすぐ帰るのかと思ってましたが、気付いたら桜才学園の前でして……」

 

「サクラさんも疲れてるんですね……」

 

 

 途中で気づきそうなものだが、顔色を見るにだいぶ疲れているようだった。まぁ、邪魔さえされなければいても問題は無いわけだし、知らない間柄でもないから問題はないか。

 

「それで、シノ会長は?」

 

「シノちゃんなら、カナちゃんの服の洗濯、乾燥を頼みに行ってるよ~」

 

「そうですか。じゃあ、帰ってくる前に片づけちゃいましょうか」

 

 

 何時もの場所に腰を下ろし、溜まっている作業を片付け始めると、前から視線を感じた。何時もなら正面は空席なのだが、今日は英稜の二人がいるからそのせいだろう。

 

「タカトシさん、画面もキーボードも見ずに打ち込みが出来るんですね」

 

「慣れですね。家でもたまにやりますし、最近はエッセイも手書きから打ち込みに変えたので余計にですね」

 

 

 何故か俺の仕事になっている新聞部のエッセイだが、手書きだと面倒になってきたのでパソコンで打ち込んで印刷したものを畑さんに渡している。データで渡してもいいのだが、どこかで取引しそうな雰囲気を感じたので、大事を取って印刷物を渡す事にしているのだ。

 

「スズポンも電卓を使わずに計算してますし、桜才の役員はスペックが高いですね」

 

「そんな事ないと思いますけど」

 

「いえいえ、見た目完全にロリのスズポンが領収書の計算を簡単にやるなんて、誰も思いませんって」

 

「よっし喧嘩だ!」

 

「スズ、落ちつけ」

 

「カナ会長も、仕事の邪魔しちゃだめですよ」

 

 

 俺とサクラさんでスズとカナさんを宥め、とりあえず平穏を取り戻した。

 

「待たせたな。洗濯と乾燥が済んだから貰って来たぞ」

 

「シノ会長、長かったですね?」

 

「途中で畑に捕まってな。インタビューを受けていたんだ」

 

「そう言う事ですか。とりあえず今月のホームページの更新と、必要書類をデータ化して保存しておきました。後で確認してください」

 

「こちらも、領収書の計算が終わりましたので、後は会長がチェックして終わりです」

 

「うむ、ご苦労だった。それでタカトシ」

 

「はい?」

 

「カナが着替えるから廊下に出ててくれ」

 

「あぁ、そうですね」

 

 

 別に気にしないんだが、普通に考えて異性がいたら着替えられないか……俺はパソコンの電源を落として廊下へ出るために腰を上げ生徒会室から出ていく。

 

「あっ、私もちょっと用事があるので」

 

 

 サクラさんも立ち上がり俺の後に続くように廊下に出てきた。

 

「用事というのは嘘ですね?」

 

「あは、バレちゃいましたか。ちょっと最近お話出来てないので、この機会にと思いまして」

 

「バイトもなかなか時間が被りませんしね」

 

「タカトシさんがどんどん出世しちゃうからですよ」

 

「そんな事ないと思うんですが」

 

 

 精々新人教育を任されてるくらいで、そこまで出世したとは思わないんだが……まぁ、任された理由も、その子が桜才学園の子だからなんだけどな。

 

「最近、勉強が疎かになりがちなんですよね」

 

「何か悩み事でも?」

 

「卒業したらどうしようか、とかいろいろ」

 

「進学するのではないんですか?」

 

 

 てっきりサクラさんも大学に進学するものだと思ってたけど、何かやりたい事でもあるのだろうか?

 

「進学はするつもりですが、何をしたいかがさっぱり分からなくて……萩村さんのように留学するわけでもないですし、ただたんに進学するのもどうかと思いまして……それほど余裕がある家でもないですし」

 

「まだ一年ありますし、ゆっくりやりたい事を見つければいいのではないでしょうか? そもそも、やりたい事がはっきりして進学する人ばかりじゃないですし、とりあえず大学に通って、やりたい事を見つけるのも手だと思いますよ」

 

 

 何故か人生相談みたいなことになったが、サクラさんはスッキリしたような表情で頷いてくれた。とりあえずは良かったみたいだな。




ウオミーと萩村の相性の悪さ……

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