桜才学園での生活   作:猫林13世

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自分は常人ですね……


常人と超人

 シノ会長とカナ会長とアリア先輩にみっちり教え込まれたおかげで、トッキーより私の方が先に限界を迎えてしまった。

 

「だらしないぞ、コトミ。まだたったの三時間ではないか」

 

「常人は三時間もぶっ通しで勉強したらこうなるんですってば……」

 

「三時間くらい余裕だろ?」

 

「余裕ですね」

 

「普段からそんなものだしね~」

 

「三人が異常なだけですって!」

 

 

 私は仲間を求めて視線を三人からトッキーグループへと移した。

 

「三時間くらいどうってことないでしょ」

 

「まぁ、出来なくはないですね」

 

「私もテスト前はそれくらいしてますし」

 

「な、何だこの空間は……まるで私やトッキーが異常者みたいではないか」

 

 

 スズ先輩もカエデ先輩もサクラ先輩も優秀な人だし、タカ兄はそれくらい楽にこなしちゃうだろうしな……

 

「そうだ! マキは!」

 

「私は二時間くらいしか集中力がもたないかも……」

 

「二時間でも十分だと思うけどね。ほら、甘いもの作ったから休憩にしろ」

 

 

 今回もタカ兄は私とトッキーのどちらにも勉強は教えず、場所の提供と食事の準備を担当している。それにしても、我が兄ながら料理の腕はさすがだな……嫁に迎えたいくらいだ。

 

「さっきから厨ニが出てるぞ」

 

「タカ兄は三時間くらい楽勝で勉強出来るでしょ?」

 

「普段学校で六時間勉強してるだろ」

 

「あれは休憩を挟んでるし、ここまでスパルタじゃないもん」

 

「てか、コトミはたまに寝てるだろ」

 

「あっ、トッキー! それは言わないでっていったじゃん!」

 

「いや、お前が授業中に居眠りしてるのは聞いてるし、そのせいで内申に響いてるのも知ってる」

 

 

 さ、さすがタカ兄……教師からの信頼も厚いので、私の事なんてすぐ伝えられちゃうのか……まぁ、お母さんたちが出張がちだから、実質タカ兄が私の保護者みたいなものだし、仕方ないんだろうけどもね……

 

「シノ会長たちも、少し休憩してください」

 

「すまないな。私たちもいただくとしようか」

 

「相変わらず美味しそうですね」

 

「タカトシ君なら、すぐにでもお店を開けるだろうね~」

 

「あくまで家庭料理レベルですよ」

 

「いえいえ、この美味しさは一個千円でも売れるレベルですって」

 

「何処から湧いて出てきた、アンタは」

 

 

 しれっとタカ兄のケーキを食べている畑さんに、タカ兄は拳骨を振り下ろす。

 

「だって、美味しそうな匂いにつられて」

 

「また張り込んでたのか……」

 

「てか、最初から畑さんの分も作ってたでしょ、タカ兄」

 

「いるのは分かってたし、後から文句言われるのも面倒だったからな」

 

 

 気配察知において、タカ兄に勝てるはずもないし、そもそもタカ兄はケーキ食べないんだから、一個余る計算だったしね。

 

「では、休憩が済んだらまた勉強するからな」

 

「特にコトミちゃんは赤点すれすれじゃ駄目なんだから頑張らなきゃね」

 

「日ごろの悪評がここでのしかかってきますね」

 

「平均届かないと補習とか、いじめですよ……」

 

 

 授業態度や提出物でマイナス査定を喰らっているので、赤点すれすれではアウトなのだ。それにしたって平均点を取らなきゃ補習は横暴だと思うけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 晩御飯もご馳走になり、畑さん以外はお風呂もいただき、いよいよ部屋決めの時間になった。

 

「今回はトッキーがリビング、コトミが自室で決定しているから、リビングに三人、コトミの部屋に二人、そしてタカトシの部屋に二人だ」

 

「客間がありますけど」

 

「いや、タカトシに教わりたい人もいるだろうし」

 

「……分かりました」

 

 

 客間よりタカトシ君の部屋が良いと、私たちの気持ちを感じ取ったのか、特に抵抗することも無くタカトシ君は部屋に戻っていった。

 

「それでは今回はコトミに作ってもらったくじを引いてもらう」

 

「間違ってもタカ兄と合体は許しませんから――あだっ!?」

 

「お前はさっさと風呂に入れ」

 

「タカ兄、一緒に入る?」

 

「大人しく風呂に入るか、説教されてから入るか選ばせてやる」

 

「大人しく入ります!」

 

 

 タカトシ君に脅され、コトミちゃんは脱兎のごとく洗面所へ逃げ出した。

 

「大変だね、タカトシ君も」

 

「先輩たちが大人しくなったので、多少マシにはなりましたが」

 

「アリア、次はお前の番だぞ」

 

「はーい」

 

 

 シノちゃんに呼ばれ、私はくじを引くためにタカトシ君の側を離れる。

 

「今回こそタカトシの部屋に……」

 

「タカ君の部屋でトレジャーハンティングを……」

 

「ツッコミの機会が少ない部屋が良い……」

 

 

 それぞれ思ってる事が声に出ちゃってるけど、幸いタカトシ君は部屋に行っちゃったから誰もツッコミを入れることは無かった。

 

「くそっ! コトミの部屋か……」

 

「私はリビングですね」

 

「私もだ……」

 

 

 三人が外れを引いたので、私がタカトシ君の部屋になる確率は二分の一ね……緊張してきた……

 

「私はコトミさんの部屋ですね」

 

「あっ、私リビングだ。よろしく、トッキー」

 

「……という事は、タカトシの部屋に泊まるのはアリアとサクラの二人だな」

 

「サクラっち、じゃんけん弱いけどくじ運は良いですね」

 

「余り物には福がある、ってやつですかね……今回も最後に引きましたし」

 

「それじゃあタカトシに結果を伝え、布団の用意をしてもらうとするか」

 

 

 リビングを片付けたり、お布団を用意したりと、家主じゃなきゃ出来ないことだもんね。そういうわけで私とサクラちゃんとでタカトシ君の部屋に向かい、お布団の用意をお願いする事になったんだー。




畑さんは大人しく――かは置いておくとして、帰りました

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