桜才学園での生活   作:猫林13世

257 / 871
アリア視点は難しいんですよね……


アリアの気持ち

 部屋にシノ会長とカエデ先輩がやって来て、私はみっちりと勉強をすることになった。

 

「お二人とも残念でしたね~」

 

「バカな事言ってないでさっさと始めろ」

 

「そもそも私たちはコトミさんの勉強を見るためにこの家に来ているのですから、この部屋に泊まるのはある意味で当然なんです」

 

「またまた強がっちゃって~。さっきからタカ兄の部屋の方を見てるじゃないですか」

 

 

 タカ兄の部屋行きのチケット――という名の当たりくじを引いたアリア先輩とサクラ先輩の事を恨めしそうに眺めていたのを、私は見逃さなかったし、今だって悔しそうにタカ兄の部屋を睨んでいるということは、二人の言葉が上辺だけだという事を証明するに値すると思うんだけどな。

 

「そんなこと言ってる余裕があると思ってるのか、コトミ? 我々がこの部屋に泊まるという事は、簡単には寝かせないという事だぞ?」

 

「今度の試験、平均以上を取れるようにみっちりと教えてあげますので」

 

「な、なんだか目が本気じゃないですか? 何時もの会長は何処へ!?」

 

「さぁ、勉強道具を出すんんだ」

 

「私たちが楽しい冬休みを提供してあげますね」

 

「だ、誰か助けてー!」

 

 

 私の叫びが部屋にこだましたが、誰も助けてはくれなかった……てか、タカ兄たちに聞こえてたとしても、助けに来てはくれなかっただろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういう部屋決めでタカトシ君と同じ部屋になるのは珍しい気がする。何時もサクラちゃんやカエデちゃんが当たりを引いてしまうので、私はこうしてタカトシ君の部屋に入る事すら久しぶりな気がする。

 

「キョロキョロしても良いものなんてないと思いますが」

 

「ううん、なんだか久しぶりな気がして」

 

「そうでしたっけ? まぁ、特に見られても困らないのでお好きなように」

 

「どこか行くの?」

 

「風呂ですよ。皆さん入り終わったようですし、最後に掃除もしなきゃいけないので」

 

 

 相変わらずの主夫発言に、私はついつい笑ってしまった。

 

「どうかしたのですか?」

 

「大したことないんだけど、普通の男子高校生なら、女の子が入った後のお風呂って緊張するんじゃないのかなって思ったんだ」

 

「まぁ、タカトシさん以外だったら緊張するかもしれませんね」

 

 

 シノちゃんやカナちゃん、カエデちゃんやサクラちゃんと、美少女が入った後のお風呂だ、緊張しない方がおかしいと思うんだけどな……逆に考えれば、私だと絶対緊張すると思うんだよね。

 

「でも、興奮してるタカトシ君は想像出来ないな」

 

「もう慣れてしまったからじゃないですか? タカトシさんは私たちといても特に緊張してませんから」

 

「むしろ中心となって引っ張ってくれてるもんね」

 

 

 普通なら会長職にあるシノちゃんかカナちゃんが中心となって引っ張っていくのだろうが、企画をするだけで後はタカトシ君に任せる事が多い。そりゃリーダーシップはシノちゃんやカナちゃんの方があるけど、冷静に物事を進行させる能力はタカトシ君の方が二人より高いのだ。

 

「とりあえず、男の子の部屋に来たらまずゴミ箱のチェックとベッドの下を確認するって本に書いてあった」

 

「どんな本を読んでるんですか……」

 

「出島さんが貸してくれたんだけど、男女の仲を進展させるって本だったかな」

 

 

 最近では自分で本も買わないから、出島さんにお薦めを借りたんだけどなかなか面白かったのよね。

 

「そう言えば最近、七条さんも天草さんもタカトシさんの前では下ネタを控えてるらしいですね」

 

「咄嗟に出ちゃうときはあるけど、基本的には我慢してるのよ」

 

「タカトシさんに意識してもらうためですか?」

 

「コトミちゃんに言われたんだよね、意識されるためには下ネタを控えた方が良いって」

 

 

 私たちには控えた方が良いと言ったコトミちゃんは、まったく控えてないけどね。

 

「まぁ、異性と捉えられてなかった節もありましたから、控えるのは良い事だと思いますよ」

 

「でも、サクラちゃん的にはライバルが増えたことになるんじゃない?」

 

「確かに、天草さんも七条さんも、私なんかでは敵わない程の美貌や知性をお持ちですが、私だって簡単に負けるつもりはありませんから」

 

「むしろカエデちゃんとサクラちゃんに追いつかなきゃって思ってるんだけどね」

 

 

 その二人はタカトシ君とキスしてるし、タカトシ君も少なからず意識している相手だもの。まずは異性として意識してもらえるくらいにはならないと。

 

「意識しているという事では、畑さんが一番の強敵なんだけどね」

 

「あの人は意識されているというよりは警戒されているのでは?」

 

「タカトシ君に思ってもらってるという事は一緒だよ」

 

「そうなのでしょうか……」

 

 

 サクラちゃんは首を傾げたけども、四六時中タカトシ君の意識の中にいられるんなら、警戒されていてもいいと私は思う時があるの。

 

「まぁ、七条さんが本気になったら、何一つ勝てる要素が私にはありませんけどね」

 

「そんな事ないと思うけどな~」

 

「だって七条さんはお金持ちのお嬢様ですし、その胸ですし」

 

「サクラちゃんだって大きいじゃない? それに、家柄はあまり武器にならないんだよ?」

 

 

 かえって警戒されるかもしれないし、自分には釣り合わないと諦める原因にだってなるんだからと説明すると、サクラちゃんは少し納得してくれた。それでも良い事に越したことは無いと言われ、私はそれもあるかもしれないと納得したんだけどね。




普通なら意識されて当然のステータスなんですがね……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。