桜才学園での生活   作:猫林13世

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やはり暗躍する人が……


キワドイ写真

 リビングで騒がしく遊んでいるようだったので、俺は一人で買い出しに出かけた。

 

「おんや~?」

 

「何か用ですか」

 

「いえいえ、勝者とお買い物デートに出かける予感がして張り込みをしていたら、副会長一人で出てきたので」

 

「何処で聞いてるんですか貴女は」

 

 

 家を出てすぐ畑さんと遭遇したが、まともに相手するだけ無駄なので軽く会釈だけして横を通り抜けた。

 

「ちなみに、これが七条さんのツイスター中の写真だけど、買う?」

 

「まだ商売してるのかアンタ」

 

「新しいカメラを買う為に必死なんです。部費じゃ買えないですし」

 

「新聞部で使うなら部費で良いじゃないですか」

 

「いえ、これは私個人で使う為の資金ですから」

 

 

 あぁ、取材とは関係ないものを追いかけるためのカメラなのか……

 

「? でもそのカメラで新聞部の取材とかもしてますよね?」

 

「新聞部の活動中は、データカードが違いますから」

 

「公私混同してますね、そのカメラ……」

 

 

 半分は部活で使ってるのだから、部費で落とすかとも思ったが、意外と律儀だな、畑さんも。

 

「新入生を鍛えるのに部費使っちゃったし……」

 

「鍛えるって何だよ!」

 

「具体的には――」

 

「言わんでいい!」

 

 

 どうせろくでもないことなんだろうから、俺は畑さんの説明を聞かずにスーパーに急いだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白熱したツイスターゲームも終わり、勝者の出島さんがタカトシと買い物に出かける事になったのだが、気が付いたらタカトシは買い物から帰って来ており、既に昼食の準備を始めていた。

 

「おいタカトシ! 何故買い物に行ってしまったんだ!」

 

「はい? 何故って食材が無かったですし、皆さん何か騒がしかったので無視して出かけただけですが? 何か問題でも?」

 

「いえ、何でもないです……」

 

 

 タカトシに睨まれ、私はそそくさとキッチンからリビングへ逃げ帰った。

 

「シノっち、何逃げてきてるんですか」

 

「カナ……あの目は駄目だ。人を殺せる……」

 

 

 ギャーギャー騒がしかったのと、新年早々押しかけて来たのと、料理の邪魔をされた事の三重の意味でイライラしているのであろうタカトシの視線は、いつも以上に鋭かった。

 

「視線で人が殺せるわけないじゃないですかー。おーい、タカ兄」

 

「あっ、バカ……」

 

 

 私の言い分が信じられなかったのか、コトミがキッチンに特攻を仕掛け、涙目で戻ってきた。

 

「あれがタカ兄……ほんとに視線で人が殺せそうな勢いでしたね……」

 

「こういう時こそ、何時もの厨二発言じゃないのか?」

 

 

 コトミが好きそうなシチュエーションだが、どうやらそれどころではないらしい……コトミの厨二すら封じ込めるとは、さすがタカトシだな……

 

「ところでシノちゃん、出島さんの優勝賞品はどうなるの?」

 

「とりあえず、タカトシの手伝いを出来る権利に変更だ」

 

「それでは、お手伝いさせていただきましょう」

 

 

 タカトシの手伝いをすべくキッチンに向かった出島さんは、コトミのように涙目で戻ってくることは無く、しっかりと手伝いをしているように見える。

 

「さすがは出島さんだな。料理には真剣のようだ」

 

「いや、シノっち。よく見てください」

 

「何をだ?」

 

「出島さんの表情、恍惚の笑みを浮かべていますよ」

 

 

 カナの指摘に私とアリア、そして萩村までもが乗り出して出島さんの顔を確認したが、特にそのようなことは無かった。

 

「引っ掛かりましたね」

 

「くそぅ!」

 

「それにしても、まさかスズポンまで釣れるとは思ってませんでした」

 

「わ、私は別に……」

 

 

 私たちの背後では、森が呆れたような表情で私たちを眺めているが、私たちの興味は森ではなく萩村に向いていた。

 

「スズちゃんもタカトシ君に躾けられたいの?」

 

「『も』って何ですか!」

 

「だって、私もタカトシ君に躾けてもらいたいし」

 

「まてアリア。お前はお嬢様として礼儀作法を身につけているだろ? 今更躾けも何も無いと思うのだが」

 

「それだったら、シノちゃんだって礼儀作法完璧じゃない? これ以上何を躾けられたいの?」

 

「てか、私は躾けてもらいたいなんて言ってないですからね!」

 

「じゃあ、出島さんを躾けたかったの?」

 

「ロリっ子が私を躾けてくれると聞いて!」

 

「言ってないわ! てか、ロリって言うな!」

 

 

 物凄い反応で出島さんがキッチンから飛んできたが、せめて包丁は置いて来てください……さすがに危ないので。

 

「あっ、申し訳ございませんタカトシ様。この駄目メイドにお仕置きを!」

 

「バカな事言ってないでさっさと終わらせますよ」

 

「放置プレイ!? でもそれが良い……」

 

「ほんと、ダメだこの人……」

 

 

 勝手に気持ちよくなっている出島さんに呆れた視線を向けながらも、タカトシは料理を再開すべくキッチンへと戻っていった。

 

「あっ、そう言えばシノ会長。さっきのゲーム中の光景を畑さんが写真に撮っていたんですが、どうやらまだ商売してるようでしたよ」

 

「なにっ!? あんな光景を撮られたというのか!?」

 

「アリア先輩とシノ会長とカナさんの写真は確認しましたが、他の人のもあったのかな……」

 

「ちょっと畑を捕まえて来る!」

 

 

 タカトシの口から名前を呼ばれた私、アリア、カナの三人で畑を捜索すべく津田家から飛び出し、そしてすぐ発見することが出来た。

 

「今すぐデータを消せ!」

 

「分かりました。これでよろしいですか?」

 

「シノちゃん、こっちに本命のデータカードを発見したわよ」

 

「でかした!」

 

 

 アリアが発見したカードの中身を確認すると、案の定きわどいアングルの写真が多かったので、私はその場でデータを消去し、念の為他のカードも確認してから津田家へと戻ったのだった。




ドSには敵わない……

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