桜才学園での生活   作:猫林13世

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ツッコミペアの心配は尽きず……


二人の心配

 タカトシと出島さんが用意してくれた料理を食べ、私はなにか楽しめることは無いかとカナと相談する事にした。

 

「まだ時間はあるし、全員で楽しめることは無いのか?」

 

「トランプならありますよ~」

 

「でもコトミちゃん、トランプでどうやって盛り上がるの? 神経衰弱なんて、一回捲られたら覚えちゃいますし」

 

「そもそもタカトシとか萩村とか、次元の違うやつらがいる時点で神経衰弱は却下だ」

 

 

 完全記憶でも持っているのではないかと思うくらいの頭脳の持ち主だからな……私たちでも太刀打ち出来ないだろう。

 

「それでしたら格ゲーでもしますか?」

 

「テレビゲームはしたことが無いな」

 

「私もです」

 

「そ、そんな人間が存在するだと……」

 

 

 コトミの厨二発言はともかくとして、意外といると思うんだがな……まぁいいか。

 

「というか、何でこの話し合いにコトミが混ざっているんだ!」

 

「えっ? だって面白そうでしたし」

 

「……とにかく、皆が平等に戦えるものじゃなければ盛り上がらないからな」

 

「平等は難しいと思いますけどね。タカ兄の運動神経はずば抜けてますし、一人だけ男子ですから」

 

 

 確かにタカトシのスペックは女子である私たちでは太刀打ちが出来ないだろう。というか、男子でも太刀打ち出来ないのだから当然か……

 

「そうなってくると、やはりコトミちゃんが言うようにゲームの方が良いのでしょうが、コトミちゃんが無双して終わりそうですし」

 

「いえ、タカ兄もなかなか強いですよ。というか、私よりタカ兄の方が強いです」

 

「そんなにやり込んでいるのか?」

 

「いえ、タカ兄はコマンドが正確ですから、狙った技を確実に放つことが出来るんですよ」

 

 

 そこまでハイスペックとは、さすがタカトシだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長たちが何やら話し合いをしている様子ですが、私はとりあえず使った食器やコップを片付けるタカトシさんのお手伝いをすることにしました。

 

「タカトシさん、このお皿はここでいいんですか?」

 

「はい、そこでかまいません」

 

 

 本来の男女の構図からすれば、私が食器を洗ってタカトシさんが拭いてしまうのでしょうが、タカトシさんの方が早く終わるので、私が食器などを拭いて棚にしまう形になってしまっています。

 

「それにしても、まさかサクラさんまであのゲームをするとは思ってませんでしたよ」

 

「半ば強制的に参加させられまして……そうそうに負けましたけど」

 

「出島さんも何であんなものを持ってきたんでしょうね?」

 

「何でも『お正月ならこれくらい当然です』とか言っていましたよ」

 

 

 何が当然なのか私には分からなかったですが、七条さんたちは特に疑問に思って無さそうでしたし、カナ会長に関してはノリノリで参加してましたし……

 

「午後は大人しく過ごしたいものですが――」

 

 

 そう言ってタカトシさんは話し合いをしている三人に視線を向け、盛大にため息を吐きました。

 

「無理でしょうね」

 

「なら、どこかに出かけるのはどうでしょう? 騒がしくてもこの場にいなければ問題は無いわけですし」

 

「勝手に何かをされると困りますからね。コトミじゃ監視になりませんし」

 

「そうですね」

 

 

 家主であるタカトシさんが不在になってしまうと、この家に居辛くなるでしょうし、何かあった時に困りますからね。

 

「そう言えばタカトシさん、初詣には行かれましたか?」

 

「いえ、大勢で来ると聞いていたのでその準備に時間を割いてますし、そんな暇なかったですからね」

 

「なら後で一緒に行きませんか? この辺りで良いところ知ってます?」

 

「近所の神社で良ければ案内出来ますが」

 

「なら、片づけが終わったらお参りに行きましょう。そのくらいならタカトシさん不在でもこの家は大丈夫だと思いますし」

 

 

 逆を言えば、それ以上はこの家が危ないという事になってしまうのですが、この面子ではそれも仕方ないのかもしれません。普段はしっかりしている面子ですが、羽目を外すと大変な事をしでかすかもしれないですし……

 

「そうですね。サクラさんとなら落ち着いてお参り出来るでしょうし」

 

「またスズさんには頑張ってもらいましょう」

 

 

 不本意ながら、タカトシさんと私がいなければこの面子でここまで平穏に過ごせないのも確かなのです。最近では大人しくなってきているとはいえ、新年で無礼講だと天草さんが言ったため、今日だけは羽目を外しているようで先ほどから下ネタが飛び交う場面もしばしば見受けられました。

 

「それじゃあ、準備するので少し待っていてください」

 

「分かりました」

 

 

 タカトシさんは外出の準備のため一度部屋に戻り、私は上着を置いてあるリビングに向かいました。

 

「片付け終わったんですか?」

 

「ええ。ところで、スズさんは何をしているのですか?」

 

「出島さんに料理のコツを習っているんです。他は兎も角、料理に関してはこの人は尊敬出来ますので」

 

「随分と熱心に聞いてこられるので、私も張り切って教えているところです」

 

「スズちゃん、ちゃんと料理出来るのに出島さんに習うなんて、何か目的でもあるの?」

 

「なっ、目的なんて無いですよ! ただ、もう少し上手になりたいだけです」

 

「なら、タカトシ様にお願いしてキッチンをお借りして実戦と参りましょうか。食材は手配しますので」

 

 

 何やら二人きりで外出出来そうな流れですけど、出かけている間にこの場所が無くならないように神様にお願いした方が良いのでしょうか? ちょっと心配です……




萩村も頑張ってるんですが、森さんの方がリードしてますね……

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