大雪の影響で休校になるかもしれないが、生徒会役員として一応学校へ向かう事になった。
「アンタも律儀よね」
「そう言うスズこそ。学校を挟んで逆方向だろ? 何でこんな時間にウチに来たんだ?」
「それは…その……」
「?」
何だか口籠ったが、深く追求するのは失礼かもしれないし、コトミの昼飯の準備も出来たし学校に向かうとするか。
「お待たせ。学校に行こうか」
「コトミちゃんは良いの?」
「こんな時間にアイツが起きるわけ無いし、朝飯と昼飯の用意はしておいたんだ。遅刻になっても文句は言われないだろう。そもそも、授業があるのかも疑わしいんだし」
「それはそうだけどね」
交通機関に影響が出る可能性もあるので、休校にするかもしれないと分かりつつ学校に行くんだから、なんとなく損だよな、生徒会役員って……
「とりあえず雪かきだよな」
「休校だろうが通常授業だろうが、とりあえず雪は退けないといけないものね」
「会長の事だから、楽しんで雪かきをしよう! とか言いそうだけどな」
「確かに、会長ならありえるわね」
スズと喋りながら学校へ向かい、到着すると案の定大門先生から休校になったという知らせを聞かされた。
「とりあえず生徒会室に行くか」
「そうね。たぶん会長たちも来てるでしょうし」
スズと生徒会室に向かうと、やはりシノ会長とアリア先輩も生徒会室に来ていた。
「生徒会役員は全員登校か」
「お休みになっちゃったし、今日はどうしましょうか?」
「俺はとりあえず雪かきをしようかと思ってますが。どっちにしろ明日しなければいけないでしょうし、今の内から退かせるモノは退かしておいた方がいいでしょうし」
生徒会室の隣の物置から雪かき道具を引っ張る出し、俺は早々に外へ向かう事にしたのと、コトミに休校の事をメールで伝える事にしたのだった。
雪の影響で休校になってしまったので、私とサクラっちは歩いて家に帰る事にしたのですが、途中桜才学園の近くを通りかかったので、せっかくなので寄っていくことにしました。
「誰もいないんじゃないですか? ほら、桜才学園も休校になったわけですし」
「でも、真面目なシノっちたちなら登校してるかもしれないし、もしかしたらタカ君もいるかもしれないですし」
「例えいたとしても、校内に入れないんじゃ確認出来ませんよ?」
「大丈夫、顔パスだから」
「それは用事がある時だけだろ!」
サクラっちにツッコまれて満足した私は、雪の中をずんずんと進んでいき、桜才学園が見える位置までやって来ました。
「あれは、タカ君でしょうか? 雪かきをしてる男子は」
「タカトシさんみたいですね。後は先生がいるだけですね」
「シノっちたちはいないのでしょうか?」
とりあえずタカ君を見つけられたので、私は話を聞くためにタカ君に近づくことにしました。
「こんにちは、タカ君」
「カナさん? あー、英稜も休校になって、電車も止まってしまったので歩いて帰ってるんですか」
「そんなところです。ところで、シノっちたちは?」
「会長たちなら、校内の雪かきをしてますよ」
「そうなんですか」
「良かったら一緒にやって行ったらどうですか? あっちは雪かきというよりは、雪遊びですから」
タカ君が視線を向けた先には、無邪気に雪で遊ぶ桜才学園生徒会役員女子たちの姿があり、そこに五十嵐さんや横島先生まで加わっていた。
「では、お言葉に甘えさせていただきます。サクラっち、行きますよ」
ここでサクラっちをタカ君の許に残していくと、また知らない間に進展してしまうかもしれませんからね……
雪かきを終えた我々は、英稜の二人と横島先生を交えて昼食を済ませ、横島先生の提案で王様ゲームをすることになった。タカトシは嫌そうだったが、結局は付き合ってくれることになったので、我々は如何にタカトシの番号を指名出来るかが勝負の鍵になると踏んだ。
「まずは私が王様だな! 3番が5番にチョップをしろ」
「何ですか、その命令……」
「私が3番だ~」
「えっ、七条さんに叩かれるんですか!?」
どうやら森が5番だったようだ。狙ったわけではないが、森にダメージがいくのはなんだか気持ちがいいな。
「ふっふっふ、次は私が王様ですね」
「カナか……どんな命令をするんだ?」
「4番が全員分のお茶を用意する!」
「おっ、私か」
「横島先生、お茶淹れられるんですか?」
「馬鹿にするな! 馬鹿にするなら、もっと呆れた視線を向けろ!」
「どっちだよ……」
タカトシに馬鹿にされたかったようで、横島先生はちょっとガックリしながらお茶の用意を始めた、やはりまだ過激な命令は出ないか。
「よし! 私の時代だな!」
「横島先生なら、なんだかすごい命令をしそうだな!」
「……何でシノ会長は楽しそうなんですか?」
「そうだな……よし、6番が2番にキスをしろ!」
「はっ?」
タカトシがそう呟いて、自分の番号を公開する。タカトシは2番、つまりされる側だ。
「それで、6番は誰だ!?」
残念ながら、私は1番だった……
「わたし~。それじゃあタカトシ君、いくよ?」
そう言ってアリアは喜々としてタカトシとキスをし、私たちに見せつけるよう、しっかりとタカトシの頭の後ろを押さえつけて長時間のキスをしてみせたのだった。
横島先生が恋のアシストを……