桜才学園での生活   作:猫林13世

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何故飛びつこうと思ったのか……


スズの失敗

 クラスメイト達と雑談をしていたら、スズから電話がかかってきた。

 

「ちょっとすまん」

 

 

 クラスメイト達に断りを入れてから、俺は電話に出る事にした。

 

「スズ? 何かあったの?」

 

『えっと……倉庫まで来てほしいんだけど』

 

「倉庫?」

 

 

 高いところのものを取ろうとして届かなかったのだろうか?

 

「分かった、すぐ行くよ」

 

 

 スズにそう答え、クラスメイト達には生徒会の仕事だと言ってその場を離れ、俺は倉庫までやってきた。

 

「スズ? いるか?」

 

 

 そう声を掛けて中に入ると、棚の上にスズが体育座りをしているのが目に入った。

 

「この荷物降ろしてくれないかな。後私も」

 

「何でこうなった……」

 

「この荷物を取ろうとしたけど、ちょうどいい踏み台も無かったし、ジャンプすれば届くと思ってやったら、今度は降りられなくなったのよ……」

 

「ジャンプする前に気付いてほしかったよ……」

 

 

 とりあえず先に荷物を降ろし、スズを降ろす為に手を伸ばす。

 

「受け止めるから飛んでくれ」

 

「で、でも……」

 

「何か問題でも?」

 

「外で畑さんがスタンバってるのが気になるんだけど」

 

「大丈夫。後でカメラごと押収して、データの全てを消去するから」

 

 

 どうせフェイクのデータカードを用意しているんだろうから、それもまとめて消去すればいいだろう。

 

「じゃ、じゃあ行くけど……ちゃんと受け止めてよ?」

 

「大丈夫だよ。スズは軽いから。それに、これでも鍛えてるから女子一人くらい受け止められるって」

 

「わ、分かったわ……」

 

 

 覚悟を決めたスズが、俺目掛けて飛び降りて来る。俺はしっかりとスズを受け止め、ゆっくりと床にスズを降ろす。

 

「ありがとう。この事は絶対に会長たちに言わないでよ!」

 

「別に言わないし、言う必要も無いと思うけど」

 

 

 何を心配してるのか分からないけど、スズは何度も念を押してきた。そんなに俺って口が軽いと思われているのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシに助けてもらい、無事に荷物を手に入れた私は、タカトシに荷物を持ってもらい生徒会室に戻ってきた。

 

「最近肩が凝っててな」

 

「確かに、数値高いですね」

 

 

 横島先生が持っていた筋肉の硬さを測る機械を覗き込んだ会長が、数値を見て横島先生の肩をもみだした。

 

「私の力じゃ凝りをほぐす事は出来そうにないですね……タカトシ、ちょっと揉んでやってくれ」

 

「俺がですか?」

 

 

 会長に頼まれたからか、タカトシは荷物を置いて横島先生の肩をもみ始めた。

 

「確かに、だいぶ凝ってますね」

 

「おっ、おぉ……利くなぁ~」

 

「年寄りくさい事を言わないでくださいよ」

 

 

 そう言いながらも、タカトシはしっかりと横島先生の肩を揉み解して行く。

 

「タカトシ君、次は私もお願い出来るかな?」

 

「アリア先輩もですか? 別にいいですけど、何でそんなに肩が凝るんです?」

 

「胸が大きいと肩が凝るんだよ」

 

「そうなんですか」

 

 

 特に慌てた様子もなく、タカトシは七条先輩の肩こりの理由に納得したようだった。それにしても、七条先輩のは相変わらず大きい……

 

「ん? なんだ、萩村?」

 

「会長は、肩凝りそうにないなと思いまして」

 

「喧嘩したいなら喜んで相手しようじゃないか!」

 

「スズ、今のはさすがに酷いと思うぞ」

 

「……ゴメンなさい」

 

 

 タカトシに怒られ、私は素直に会長に頭を下げた。七条先輩に嫉妬するあまり、会長に喧嘩を売っても意味ないのにな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄と一緒に家に帰ると、中にカナお義姉ちゃんがいた。

 

「あれ? どうかしたんですか?」

 

「叔母さんから連絡があって、コトミちゃんの勉強を見てやってほしいって」

 

「何でお母さんがカナお義姉ちゃんと連絡をとってるの!?」

 

 

 何時もならタカ兄にお願いするのに、何故カナお義姉ちゃんにお願いしたんだろう。

 

「タカ君に任せるのもいい加減可哀想だし、私なら成績も申し分ないからって」

 

「少しは娘の成長を信じてくれても良いんじゃないかな……」

 

「信じられるだけの成績を残してないからだろ」

 

 

 私の愚痴をバッサリと切り捨てて、タカ兄は洗濯物をしまう為に庭に出て首を傾げた。

 

「パンツが一枚無いんだが……」

 

「お、おかしいですね。わ、私は取ったりしてませんからね?」

 

「カナお義姉ちゃん。ポケットから布が出てるよ?」

 

「こ、これは違うんです!」

 

 

 私が指摘すると、お義姉ちゃんは慌ててパンツを取り出し正座をした。よく見ればタカ兄のパンツだ。

 

「何で義姉さんが俺のパンツを持ってるんですかね?」

 

「ちょっとした出来心なんです! 戻そうと思ったらタカ君たちが帰って来ちゃって……ゴメンなさい」

 

「……今回は未遂ですから許しますけど、今後同じような事したら分かってますね?」

 

「はい、重々承知しております」

 

「分かりました。それでは、義姉さんはコトミの勉強を見てやってください。俺は洗濯物をしまって、買い出しに行ってきますので」

 

「タカ兄、私も一緒に――」

 

「コトミちゃんは私と一緒に部屋で勉強をしましょうね」

 

 

 カナお義姉ちゃんに腕を掴まれ、私はそのまま部屋まで連行されてしまった。

 

「お義姉ちゃん、震えてる?」

 

「タカ君のあの目……今後冗談でもふざけたりしないようにしなくては」

 

「まぁ、タカ兄は怒らせると怖いですからね」

 

 

 結局その後はカナお義姉ちゃんにみっちりと勉強を教えられ、夕食までの時間を私は部屋で勉強する事になってしまったのだった。




ウオミーが出しやすくなった

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