桜才学園での生活   作:猫林13世

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する事ないなら帰ればいいのに……


生徒会室でトランプ

 生徒会室に集まったが、特に急ぎで片づける仕事も無かったので、ボーっとする事にした。

 

「珍しいですね、七条先輩がだらけてるだなんて」

 

「どうかしたのか?」

 

「私、暑さに弱い体質だからさ~」

 

 

 最近は梅雨が近づいて来ている所為か、じめじめするし、気温も上がってきてるから毎日困っちゃうのよね……

 

「タカトシ君の体質と交換したいくらいだよ」

 

「俺の? 何かありましたっけ?」

 

 

 どうやらタカトシ君は自覚してないようだけど、羨ましい体質だと思うのよね……

 

「ラッキースケベ体質」

 

「そんな体質になったつもりは無い!」

 

「でも、スキーの時サクラちゃんとブチューってしたじゃない? あれだってラッキースケベだと思うのよね~」

 

「あれはシノ会長が勢いよく雪玉を投げつけた所為でしょうが」

 

「それも含めて、だよ」

 

 

 頑なに認めようとしないタカトシ君だけど、少し顔が赤くなっているのを見ると、あの時の事を思い出したんだろうな~。

 

「私の唇と、どっちが柔らかかった?」

 

「そんなの、知りませんよ」

 

「えー? 私ともキスしたのに、感触とか比べなかったの~?」

 

「比べるわけないだろうが!」

 

 

 タカトシ君に怒られちゃったけど、ちょっとだけ気まずそうに視線を逸らしたって事は、私とのキスの事も思い出してくれたのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当にすることが無かったので、アリアの提案でトランプをすることにした。

 

「私の華麗なるカード捌きを見せてやろうじゃないか!」

 

 

 そう意気込んでシャッフルをしたが、見事にばら撒いてしまった。

 

「神経衰弱がしたかったんだ!」

 

「二枚以上めくれてますけど?」

 

 

 タカトシのツッコミに反論しようとしたが、これ以上のごまかしは不可能だと判断し、黙ってカードを拾い集める事にした。

 

「スズちゃんはシャッフル上手に出来る?」

 

「普通には出来ますけど、あまり華麗とは言えないと思いますよ」

 

「私も、普通にしか出来ないかな~」

 

 

 私をフォローしているのか、アリアとスズが普通にシャッフルし始める。確かに、華麗とは言えないが、堅実なシャッフルだった。

 

「タカトシ君は、シャッフルとかも得意そうだよね~?」

 

「普通ですよ、普通」

 

 

 そう言ってタカトシもカードをシャッフルするが、かなり手慣れた手つきで普通とは言えないくらいの手さばきだった。

 

「それで、何をするんですか?」

 

「ババ抜きで良いんじゃないか?」

 

「では、そうしますか」

 

 

 タカトシがシャッフルしてそのままカードを配り始める。その手つきは実に慣れているようだが、トランプでしょっちゅう遊んでるのだろうか?

 

「とりあえず三回勝負な。負けたヤツは全員分のお茶を買いに行くこと」

 

「まぁ、それくらいなら」

 

「次からは勝者が誰かに命令出来るようにするか」

 

「先に言っておきますが、キスとかそういうのは禁止ですからね」

 

「分かっているさ」

 

 

 先に潰されてしまったので、大人しく別の罰ゲームを考える事にするか……てか、タカトシに勝てるか分からないがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ババ抜きは結局、スズが二敗して罰ゲームを喰らう事になった。

 

「私は緑茶を」

 

「私は紅茶」

 

「俺はコーヒーのブラックで」

 

「分かりました。それじゃあ、買ってきます」

 

 

 スズが生徒会室から自動販売機に向かったため、残った三人でババ抜きを再開した。

 

「シノちゃんのポーカーフェイスはさすがだよね」

 

「アリアもなかなかじゃないか?」

 

「そもそもタカトシ君は無表情だったから、ババを持ってても分からなかったしね~」

 

「萩村は少し顔に出てたぶん、負けたんだろうな」

 

 

 確かにスズはババを持っていると、ちょっとだけ不機嫌な雰囲気を醸し出していたから、何処にババがあるのかすぐに分かったからな……

 

「萩村が戻ってきたら何をするか……」

 

「一回で勝負がつくとなると、やはりババ抜きが一番ですよね」

 

「ルールも分かりやすいしね」

 

 

 スズが戻ってくる間に二回勝負が決したが、アリア先輩と俺が一回ずつ負けた。やはり時の運だな、ババ抜きは。

 

「それでは、引き続きババ抜きでいいんだな?」

 

「ポーカーでも良いですけど、皆さんルール分かりますか?」

 

「私は一応知ってるけど、そんなに強くないわよ」

 

「私も知識はあるが、やったことは無いな」

 

「私は出島さんとやったことあるよ~」

 

「では、慣らしで数回やってから実戦と行きましょうか」

 

 

 ルールの説明が要らないなら、後は実際にやってみて感覚を掴んでもらえば問題ないだろうしな。

 

「何やら面白そうな雰囲気を感じ取って!」

 

「コトミ、ノックぐらいしろ」

 

「あれ、今日はトランプなんですか?」

 

「人の話を聞けよな! ……ちょうどいい、コトミも参加するか?」

 

「面白そー!」

 

 

 恐らくシノ会長やスズは生まれ持っての運がいいからブタは無いだろうし、アリア先輩も経験者だから駆け引きとかしてくるだろうしな。単純に楽しもうとする人がいた方が楽だから、コトミも巻き込んでしまえ。

 

「それじゃあ慣らしでやってみましょう」

 

 

 カードを配り終えて、それぞれチェンジしたのちの勝負すると、やはり会長とスズは強い役を揃えており、アリア先輩も堅実にツーペア、コトミだけがブタだった。

 

「相変わらず弱いな」

 

「タカ兄だって、私がいなかったら負けだよ?」

 

「まぁ、慣らしだからな」

 

 

 ちなみに、俺はワンペアで、コトミの言う通りコトミがいなかったら負けだったのだ……




意外と運ゲーに弱いタカトシ……

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