桜才学園での生活   作:猫林13世

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みんな運動神経は良いですからね


みんなでテニス その2

 カナ会長とタカトシさんとお喋りをしながらテニスコートに向かうと、既に桜才学園メンバーは待機していた。

 

「カエデっちも早いですね」

 

「せっかく誘っていただいたので、出来るだけ長く運動したいと思いまして」

 

「これで全員だな。ところで、アリアと出島さん以外に経験者はいるのか?」

 

 

 天草さんの確認に、誰も反応を見せなかった。つまり、経験者と言えるのはアリアさんと出島さんの二人だけという事だ。

 

「それじゃあペアを決めようではないか」

 

「どうやって決めます?」

 

「こんな事もあろうかと、既にくじを作ってあります」

 

 

 出島さんが取り出したくじをタカトシさんが確認して、問題なしと判断して出島さんに返す。不正などをしたら容赦なくお説教したのでしょうか……

 

「とりあえずアリアと出島さんは最後に引いてもらう」

 

「そうだね~。私と出島さんがペアじゃ、大抵の相手には勝てちゃうもんね」

 

「そういうことだ。前にビーチバレーでやったように、勝ったチームは負けたチームに罰ゲームをさせる権利が発生するからな」

 

「またあれをやるんですか?」

 

 

 タカトシさんが嫌そうな表情を浮かべたが、他の皆さんは嬉しそうな表情をしている。他の人は兎も角、何故萩村さんまで……

 

「厳正なくじ引きの結果、天草様とお嬢様、魚見様と萩村様、五十嵐様と私、タカトシ様と森様というペアに決定しました」

 

「相変わらずくじ運いいですね、サクラっち」

 

「残り物には福があると言う事でしょうね……」

 

 

 七条さんと出島さんを除いて一番最後に引いたので、こればっかりは恨まれる筋合いは無いんですが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずテニスに慣れる目的で、私たちは壁打ちをすることになった。これくらいなら簡単に出来るのか、タカトシは出島さんに言われてボールを二個にして壁打ちをしている。

 

「よく戸惑わないわね……」

 

「タイミングを間違わなければ簡単だからな」

 

 

 私が話しかけてもタカトシは特に問題なく壁打ちを続けている。さっきから魚見さんがちょっかいを出そうとしているけど、それすら気にした様子はない。

 

「なぁアリア、さっきから気になってるんだが」

 

「どうしたの、シノちゃん?」

 

「この、壁に開いている穴はなんだ?」

 

「あぁ。それは壁穴プレーの為の穴だよ~」

 

 

 最近控えていたけど、良く聞くと下ネタを言ってるのよね、先輩たちも……

 

「さて、十分に身体もあったまったでしょうし、さっそく試合と行きましょうか」

 

「最初は私たちのペア対カエデちゃん・出島さんペアだね~」

 

「両チームに経験者がいるから、いい試合になりそうですね」

 

 

 アリア先輩は全国まで行ったらしいけど、出島さんってどれほどの実力者なのかしら……

 

「審判はどうしましょうか?」

 

「タカトシ様、お願いできますでしょうか」

 

「俺ですか? まぁ、審判くらいなら出来るかと思いますが……線審は他の人にお願いします」

 

 

 こうして、私と森さん、魚見さんは線審をすることになった。タカトシもだけど、私たちはテニス初心者なんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリアと出島さんもだが、五十嵐の奴もだいぶ鋭い珠を打ってくるな……返すだけで精一杯でなかなか攻められないぞ……

 

「シノちゃん、そっちに行った!」

 

「分かってる!」

 

 

 アリアに言われるまでもなく反応していたが、正直ギリギリ追いついた所為でチャンスボールになってしまった。

 

「貰いました!」

 

 

 出島さんが高くジャンプしてスマッシュを――打たなかった。強打が来ると思って後ろに下がったアリアの動きをしっかり見ていたので、裏をかいてドロップショットを打つ。

 

「させない!」

 

 

 アリアが飛びついて何とか返したが、待たしてもチャンスボールだ。

 

「今です、五十嵐さん!」

 

「は、はいっ!」

 

 

 チャンスボールに五十嵐が飛び込み、倒れているアリアの後ろに強いボールを打ち込む。さすがに私が追い付ける距離ではないので、何とかアウトになってくれと思いながら一応追いかける。

 

「くっ!」

 

 

 思いのほか伸びが無かったので、何とか追いつきそうだったので飛び込んだが、やはり届かない。は、判定はどっちだ!

 

「ゲームセット」

 

 

 タカトシの判定で、私たちが負けたと理解した。やはりアリアといえでも出島さんには勝てなかったか……

 

「さて、我々が勝利した訳ですが、お嬢様には後で私とねっとりべっとりとベッドで過ごしていただきましょうか」

 

「仕方ないね……あっ、一応言っておくけど、性的命令は無効だから、一緒にベッドで過ごすだけだからね」

 

「分かっています。あくまで一緒に寝るだけですから」

 

「それじゃあ、天草さんには後でお茶を買ってもらいましょうか」

 

「それくらいならいいぞ」

 

 

 五十嵐ならおかしな命令をしてくるはずはないと思っていたが、やはりそう言った感じの命令だったな。これがカナだったら何をさせられていたか分かったもんじゃないからな。

 

「次はタカトシ君・サクラちゃんペア対カナちゃん・スズちゃんペアだね」

 

「タカ君相手なのですから、少しハンディをください」

 

「俺も初心者なのですが」

 

「でも、性別差は考えるべきだと思いますが」

 

「それじゃあ、タカトシ君は前衛禁止ね。サクラちゃんはリターンが済んだら前に出る事」

 

「分かりました」

 

 

 その程度でタカトシが大人しくなるとは思えないが、確かに前衛から強烈なショットが来ないだけでもマシなのかもしれないな。




出島さんがそれで終わるとは思えないですが……

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