桜才学園での生活   作:猫林13世

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ほぼオリジナルの話です


試験後の評価

 期末試験が終わってから、俺の周りからの評価はガラッと変わった。前までは結構やる男子だったらしいのだが、期末試験後はかなり出来る男子になったとか……正直自分的にはまだまだだと思ってるので周りの評価など気にしてないのだけど。

 

「タカトシく~ん! 勉強教えて」

 

「三葉? もしかして補習か?」

 

「部活補正で何とか補習は免れたけど、もう後が無いからね~」

 

「なるほど」

 

 

 このようにクラスメイトから勉強を教えて欲しいと頼まれる事が多くなったのだ。俺から言わせて貰えば、俺なんかより萩村に聞いたほうが確実だと思うのだが、このクラスに萩村と知り合いな生徒は何人いるか分からないんだよな……迂闊に断って調子乗ってるとか思われたくないので教えてるが、俺だってテスト前に必死になって勉強してあの点数を取ったのだから、何でもかんでも分かる訳では無いのだ。

 

「津田ー! 俺の代わりに補習受けてくれー!」

 

「いや、お前が駄目だったから補習なんだろ? それを俺が代わりに受けたら意味無いだろ。そもそも代わりに行ったところでバレて追い返されるのがオチだって」

 

「もう勉強したくねーんだよ!」

 

「いや、してないから補習なんだろ……」

 

 

 クラスメイトの男子から、泣きつかれる事もしばしば……俺が補習に出たからと言って、お前らの頭が良くなる訳じゃ無いんだけどな……

 

「お前は良いよなー、勉強も運動も両方優れてて、しかも見た目まで良いんだから」

 

「勉強も運動も努力した結果だ。見た目は俺の力関係無いし、そもそも自分が優れた見た目をしてるとは思って無いよ」

 

「ケッ、モテる男はこれだからな」

 

「何不貞腐れてるんだよ」

 

 

 頼りにされる反面、こうやって嫉妬される機会も増えた気がする……何時俺がモテたと言うんだ……好意をもたれてるかもとは思ったことはあるが、その相手の中身は殆どが思春期真っ盛りなんだぞ!

 

「津田……頼む! この課題の意味を教えてくれ!」

 

「柳本……お前、大丈夫か? 随分とやつれてるが」

 

「補習に出ても意味が分からないんだよ……」

 

「授業中に寝てるからだろ……」

 

 

 そもそも授業ちゃんと聞いてれば赤点補習になどならないと思うんだけどな……中学の時にそう言ったら友達に殴られたっけ……お前だけだそんなのは! とか言われて。

 

「それで、何が分からないんだ?」

 

「……ぶ」

 

「は?」

 

「全部だよ!」

 

 

 聞き取れなかったのでもう一回聞いたら、柳本は泣きそうな声ではっきりとそう言った。全部ですか……そりゃ泣きたくもなるわな……先生が。

 補習は恐らく分かりやすく説明してくれてるんだろうが、それでも全部分からないってなると、相当なおバカと言わざるを得ない事になるんでは無いだろうか……

 

「それじゃあ説明してくがな……」

 

 

 一個ずつ丁寧に分かりやすく説明していくと、柳本の周りに他のクラスメイトも集まり始めた。男子も女子も今だけは隔たり無く集まってるのを見ると、このクラスの大半の生徒は授業では理解してなかったのだと分かった。

 

「えっと、今の箇所までで質問はあるか?」

 

「いや、大丈夫だ。さすが津田だな! 先生より分かりやすいぜ!」

 

「多分先生も同じように説明してると思うんだが、先入観で分からないと思い込んでるんじゃないか? 先生の言ってる事は難しいから無理だって」

 

「……そうかもな。考えた事も無かったぜ」

 

 

 中学の時にも同じ事を言ってやった次の日には理解出来るようになった友達も居たし、これで少しは補習内容が頭に入ってくれるだろう。

 

「じゃあ説明はもう良いな? 俺は生徒会の仕事が……」

 

「もうちょっと教えてくれ!」

 

「津田君、私からもお願い!」

 

「もうちょっと! もうちょっとで良いから!」

 

 

 何だかおかしな展開になって無いか? 俺は柳本に教えてただけなのに、何時の間にか周りのクラスメイトにまで教えてる事になってる……いっそのこと全員補習授業に出れば良いのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラスでの即席授業を終えて、俺は急いで生徒会室に向かっていた。そしたら……

 

「今日は津田副会長にインタビューしたいと思います」

 

 

 いきなり現れた畑さんに捕まってしまった……てか、インタビューって何に使うんだろう?

 

「ずばり、津田副会長の好きな女性のタイプは?」

 

「……答えなきゃ駄目ですか?」

 

「もちろんです!」

 

「……あっ! 笑顔の素敵な子とか良いですね」

 

「アヘ顔の素敵な子だそうです」

 

「ワザとらしく聞き間違えるな! 後アヘ顔ってなんです?」

 

 

 この人の事だから恐らく卑猥な事なんだろうけど、さっぱり分からないな……コトミに聞けば分かるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんの質問攻撃を追い払って、俺は漸く生徒会室に辿り着いた。

 

「終わったー!」

 

「今日は大変だったね~」

 

「スミマセン、俺が遅れたから……」

 

 

 仕事を終え伸びをしている会長と七条先輩に謝る。萩村は用事だとかで来れなかったし、俺もクラスメイトに頼まれて解説とかしてたから、実質今日の生徒会作業は会長と七条先輩の二人だけで終わらせたのだ。

 

「事情が事情だからな、気にする事は無いさ」

 

「そうだよ~……あっ! ホック外れちゃったよ~このブラもう合わないな~」

 

「グヌヌ……」

 

「会長、そんなに悔しがらなくとも……」

 

 

 如何やら小さいのを気にしてるらしい会長は、七条先輩の胸を羨ましそうに見て、もの凄い勢いで歯噛みをしている。

 

「津田君」

 

「なんでしょう?」

 

「このブラ欲しい?」

 

「いらねぇよ!」

 

 

 外したブラを取り出して人に押し付けてくる七条先輩……如何してこの人はこんななんだろう……

 

「てかアリア、○首が透けてるぞ」

 

「此処なら大丈夫でしょ~? それに、帰るときは車だから~」

 

「じゃあ平気だな!」

 

「いや、駄目だろ……」

 

 

 居ずらい雰囲気の中、俺はコッソリと生徒会室を出た。仕事が終わってるのならこれ以上あの空間に居たくなかったのだ。

 

 




実際授業をちゃんと聞いてれば、テスト前に焦る事は無かったですね。それが普通なのか如何かは知りませんが……

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