桜才学園での生活   作:猫林13世

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劇場版って何をやるんだろう……


奴隷ゲームの結果

 タカトシさんが奴隷のくじを引いたため、私たちはタカトシさんが何番を指名するかで緊張していた。誰を選んでもキスの流れだというのは、恐らく的を射た発言だったのだろうと私も思う。だって、ここで指名されればタカトシさんとキスする事が出来る絶好の機会、まだキスをしたことが無い天草さん、カナ会長、そして萩村さんにとっては願ってもないチャンスなのだから。

 

「さぁ、タカトシ様は何番の人とキスがしたいですか?」

 

「キスする事を前提に会話をしないでくれません?」

 

「でもタカ君。あのカエデっちですら息を荒げているんですよ? どう考えてもタカ君の唇を狙っているメスにしか見えませんよ?」

 

「その表現にはツッコミを入れたいですけど、確かに息は荒いですね……」

 

 

 一度キスした事があるはずの五十嵐さんですらああなのだから、一度もしたことが無い天草さんや萩村さんの目が血走っているのは仕方がない事なのかもしれませんね……それにしたって、タカトシさんの唇を凝視しているのはちょっと――いえ、かなり怖いですね。

 

「ちなみにですが、キスは禁止にしたら――いえ、何でもないです……」

 

 

 タカトシさんが珍しく引き下がりましたが、それも仕方がないでしょうね。私を含め全員がタカトシさんに鋭い視線を投げ掛けたわけですし……

 

「さぁタカトシ! キスの相手を指名しろ!」

 

「その表現止めて!」

 

 

 天草さんのストレートな表現にツッコミを入れたタカトシさんは、一つため息を吐いてから考え込みました。恐らくは一番ダメージが少なく済む相手を希望しているのかもしれませんね。

 

「それじゃあ――」

 

 

 タカトシさんが指名した番号が自分ではないかと、全員がくじを睨みつけたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさかサクラさんまでキス希望とは思ってなかったので、俺は誰を指名しても一回はキスしなければいけないんだと諦め、それだったらあまり暴走しない相手が良いなと考え込んで、本当に嫌々番号を指名した。

 

「それじゃあ、五番で」

 

 

 もしシノ会長やアリア先輩、出島さんがこの番号だったら大変な目に遭うだろうし、カナ義姉さんだったら後々家で会うのが気まずくなるのではないかと考えながら、俺は誰が手を挙げるかを大人しく待った。

 

「くっ、何故私は四番なんだ!」

 

「残念です、タカトシ様にあんなことやこんなことを命じるつもりだったのに……」

 

「あらら、外れちゃったわね」

 

 

 この三人じゃなかったのは、俺にとっては非常にありがたい。特に出島さん、アンタ俺に何をやらせるつもりだったんだよ……

 

「それで、五番は誰なんですか?」

 

 

 もういい加減諦めている俺は、未だ名乗り出ない五番のくじを持った人に問いかける。残っているのはカナ義姉さん、スズ、カエデさん、サクラさんの四人だ。カナ義姉さん以外の三人なら、それほど気まずさは無いかな……特にカエデさんとサクラさんは、キスしたことあるし……

 

「私です」

 

「ほんとサクラっちはくじ運が良いですね」

 

「じゃんけんは弱いですけど」

 

「それじゃあサクラさん、命令をお願いします」

 

 

 こんな物騒なゲームは金輪際参加しないと決意しながらも、今回は仕方ないと俺はサクラさんの命令を待つ。

 

「タカトシさんから私に抱きついてもらえますか?」

 

「はっ? まぁ、そのくらいなら別に」

 

 

 キスをねだられると思っていたが、まさかそんな事で良いなんてな……俺は特に気にすることなく腕を広げて待っているサクラさんに抱きつく。

 

「本当にこんなことで良いんですか?」

 

「はい。すごく幸せです」

 

「まぁ、穏便に済んで俺的にも嬉しいですけど」

 

 

 これだけの人前でキスするのはさすがに俺も恥ずかしいし……まぁ、これ以上の人前でキスした事はあるが……

 

「さぁ! 次だ次!」

 

「まだやるんですか?」

 

「当たり前だろ! まだ全然やってないからな!」

 

 

 なんか他の人の視線が鋭い気がするが、何かあったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局あの後、タカトシが奴隷のくじを引くことは無かったけど、私が指名した番号がタカトシだった事は数回あった。だが、タカトシが「そういった命令」をすることは無く、特に盛り上がりも無く最後の一回を迎えたのだった。

 

「最後だから、誰が奴隷を引いてもキスという事で」

 

「男女比を考えてくださいよ」

 

「女の子同士かもって思うとドキドキね」

 

「お嬢様と熱いキスを……」

 

 

 一人既に鼻血が噴き出そうになってるけど、キス縛りは仕方ないかもしれないわね……だって、本当に盛り上がらなかったんだもの。

 

「全員引いたな? では、誰が奴隷だ」

 

「私です……」

 

「最後の最後でサクラっちですね」

 

「ここまでくじ運良かったのに、最後に女の子とキスするかもしれないなんて災難ね~」

 

 

 失念しているかもしれないが、キスの相手がタカトシの可能性だって七分の一であるのだ。確率的には低いが、サクラさんならその番号を引き当てるかもしれないと思わせるから性質が悪い……これが会長とかなら安心してみてられるのに……

 

「それでサクラっち、何番を指名しますか?」

 

「……それじゃあ、一番で」

 

 

 全員が瞬時に自分の番号を確認する。良かった、私ではないわね。

 

「誰が一番ですか?」

 

「俺です……」

 

「やっぱりくじ運が良かったのね……」

 

「誰だ、最後はキスにしようって言ったの……」

 

「シノっちですよ……」

 

 

 こうして、結局私たちはタカトシとサクラさんのキスを見なければいけなくなったのだった……何でサクラさんばっかり美味しい思いを……




くじ運は仕方ない……

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