桜才学園での生活   作:猫林13世

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珍しい組み合わせだ……


無人島探検

 釣ってきた魚を調理しながら、私たちはテントの組み分けをすることにした。

 

「倫理的に考えれば、タカトシが端っこでその隣がコトミ、後二人で問題解決なんだが――」

 

「ん? シノ会長、私の顔になにかついてます?」

 

「コイツが信用出来ないからな。公平にくじ引きで決める事にしよう。ただし、タカトシは一番最後に引くこと」

 

「はぁ……」

 

 

 タカトシが先に決まっていると、ほぼ百パーセントの確率で森が同じテントになってしまうからな。

 

「それでは年功序列で、まずは出島さんから」

 

「私は一のテントですね」

 

「次は私か……二、だな」

 

「次は私ですね……二です」

 

「私は一だったよ~」

 

「お嬢様と同じテント! これは夜が長そうですね!」

 

 

 一人興奮しておかしな反応を見せている出島さんを無視して、私は頭の中で計算を始める。

 

「(残り四人で、私とタカトシが私と同じテントになる確率は二分の一。これはかなり高い確率でタカトシと同じテントになれるという事! 次は萩村だし、ここで一が出ればほぼ確実に私はタカトシと同じテントという事になるな)」

 

 

 萩村が引くのをじっと見つめる。何故見つめられているのか分からないのか、萩村は引き辛そうしていたが、ゆっくりとくじを引いた。

 

「あっ、一です」

 

「よし、次は森の番だな」

 

 

 ここで一が出れば、必然的にコトミとタカトシが二のテントとなる。つまり、私はタカトシと同じテントという事になるのだ。もし森が二を引けば、引き続き二分の一の確率でタカトシと同じテントかそうじゃないかという事になるが、出来る事なら森には一を引いてもらいたい。

 

「二です」

 

「それじゃあ次は私ですね~。そりゃ!」

 

 

 勢いよくコトミがくじを引き、その数字が露わになった。

 

「ありゃ、一ですか。ということは、タカ兄は二のテントだね」

 

「つまり、一のテントは出島さん、アリア先輩、萩村、コトミの四人で、二のテントはシノ会長、カナ義姉さん、サクラさん、俺の四人という事か」

 

「ちょっとまって、ツッコミが追い付かないんですけど」

 

「まぁ、ボケ五、ツッコミ三の割合ですからね……」

 

 

 森が同情的な視線を萩村に向ける。私には良く分からないが、ツッコミは大変らしいからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼食を済ませて、私たちは島を探検する事にしました。グループ分けは、使用するテントで決めようとしましたが、萩村さんが駄々をこねたので、もう一度くじ引きで決める事にしました。

 

「それじゃあ、せっかくだし二人ずつにするか」

 

「シノっちがそれでいいなら構いませんよ」

 

 

 タカ君と二人きりで島を探検できるとは、ありがたい事ですが、こういう時大抵サクラっちがタカ君とペアになるんですよね……たまには他の人が――出来れば私がタカ君とペアになりたいです。

 

「それでは発表します。まず第一組は、お嬢様とコトミさん」

 

「よろしくねー」

 

「次に第二組、萩村さんと魚見さん」

 

「スズポンですか」

 

 

 まぁ、脅かせば面白そうな相手ですから、不満ではありません。ですが、まだタカ君とサクラっちが残っているのが気になります。

 

「第三組は、タカトシ様と私」

 

「という事は、第四組は私と森か」

 

「珍しい組み合わせになりましたね」

 

 

 確かに、タカ君と出島さんという組み合わせは、ありそうでなかったような気がします……というか、初めてではないでしょうか。

 

「それでは、五分おきに出発する形で。これがこの島の地図とコンパスになります」

 

「携帯の電波は通じてるから、迷子になったら出島さんに電話してね~。すぐに迎えに来てくれるから」

 

「その代わり、皆さんの困った顔を写真に収め、畑様に桜才新聞に掲載していただくことになりますので」

 

「何処でそんなことが決まってたんですか……」

 

 

 タカ君が呆れながらツッコミを入れたけど、迷子になるような感じはありませんし、普通に探検して終わりそうですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全員迷子になることなくスタート位置に戻ってこれたので、出島さんは少しつまらなそうな表情を浮かべていたが、時よりタカトシ君の方を見て顔を赤くしているのを見ると、何かあったんじゃないだろうかと勘ぐってしまう。

 

「出島さん、タカトシ君と何かあったの?」

 

「いえ……ちょっと足を挫いてしまいまして、タカトシ様に肩をお貸頂いたのです」

 

「つまり、探検中ずっとタカトシ君と密着してたって事?」

 

「そんな甘い雰囲気ではありませんでしたが、タカトシ様の逞しい身体に触れていたのを思い出すと、思わず興奮してしまいます」

 

 

 鼻息を荒くする出島さんを、タカトシ君は呆れながら眺めている。それにしても、出島さんが足を挫くなんて珍しい事もあるものね……

 

「もしかして出島さん、わざと足を挫いたんじゃない?」

 

「そ、そんなことありませんよ! 不詳出島サヤカ、普段ならともかくこの島でそんなことは致しません! お嬢様の身の安全を第一に考えれば、怪我などしてる場合ではありませんから!」

 

「そうね……疑っちゃってゴメンなさいね」

 

「いえ、お嬢様に疑いの眼差しを向けられ、思わず興奮してしまいました」

 

「あらあら」

 

 

 やっぱり出島さんは私の事を大事に思ってくれてるのね。それなのに疑っちゃって、本当に申し訳ない事をしちゃったわね。




コトミに信頼ってあるんですかね……

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